誕生日プレゼント



初めてのデートは新宿の紀伊國屋だった


本屋に行くと死にたくなる
という話はあえてしなかった


この世にはこんなに魅力的な本が存在しているのに、私が読んだ本は、きっと1%にも満たないんだもの

辛いよ

辛すぎるし痛すぎる

もうこんなに辛い思いをするくらいなら
いっそのこと本の存在しない世界に生まれればよかった

もう死んじゃいたい

でも本当は本屋が好きだ

本屋で本を眺めている人たちの横顔を見るのが好きだ

どんな人がどんな本を求めているのか
観察するのが好きだ

そして私はきっとその人が本棚を眺めている横顔に惚れたのだ




「昔から本が好きなんですか?」

「んー学生の頃からかな
 よく読むようになったのは

 そちらは?」

「んーわたし小さい頃おばあちゃん家に預けられることが多くて
でもおばあちゃん家おもちゃとかなくて
本しかなくて
だから本を読み始めました」

「え、それ、なんかめっちゃいいエピソードじゃないですか」

と言われて、なんか嬉しかった



気づくとわたしの片手には4冊もの単行本が抱えられていた

どうりで重たいなと思ったんだよ


文庫本ならまだしも
なぜよりによって単行本ばかり手に取ってしまったんだろう


これを買って持って帰るのだるいな

でも、ネットで買って届いて梱包された本を取り出すのもだるいし

段ボールとかだるいし

またこの本たちを棚に戻しに行くのもだるいし
しょうがない買って帰ろう

 


ほしいと思った本は、アマゾンのほしい物リストにいれておこう
誕生日には
本をプレゼントしてもらおう


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