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2023.02.19 LaLiga第22節 オサスナvsレアル・マドリー

・はじめに

おはようございます。こんにちは。こんばんは。
4-0と大勝を収めた前節から息つく暇もなく22節のオサスナ戦。
CLベスト16リヴァプール戦を間近に控え、欠場者と一部温存したいコアメンバーのバランスを取りつつ勝ち点3を拾いたいという思惑も見えた難しい試合を振り返る。

以下、スタメン。

両チームのスターティングメンバー

この日ベンゼマが欠場した影響でCFにはロドリゴが入る。
カマヴィンガを休ませるという報道もあったが、直前でチュアメニがインフルエンザに罹り、結局出勤する羽目に。
ナチョを右SBに起用し、カルバハルは温存の方向へ。
対するオサスナ、とりあえず“ガルシア“が多い。
ヴィニシウスに相対する右SBは前回対戦時IHを務めていたモンカジョラ。
ここのマッチアップはこの試合の1つの見所に。

・試合内容

まずは両チームの守備陣形から。
ホームのオサスナはトップ下のダルコを1列上げる4-4-2気味のミドルプレス。
2枚の前線がカマヴィンガを消すカバーシャドウとCBチェックを兼務。
時折りドブレ・ピボーテの一角が前進してカマヴィンガを監視する仕草も
しかし、このミドルプレス守備はさほどハマってはいない印象を受けた。
カバーシャドウにそこまで精度が無く、カマヴィンガは割と空く。
さらに、セバージョスも機を見てボールを引き取りに来るため、比較的容易に上記の第1ラインを突破してボールを逃すことができていた。
前進された後は基本的に左サイドからの攻めが多いマドリーに対して、ルベン・ガルシアを1列落として5-4-1ブロック気味で守る姿勢も見せる。
撤退した後の守備の方が練度があり、押し込んでからは少し攻略に苦労した印象。

一方のマドリーの守備はよく見るモドリッチを前に出す4-4-2気味ミドルプレスの形と4-5-1ブロックで撤退の形(ヴィニシウスの意識次第で左側は欠け)を使い分ける。
特にこの日は久々にスタートから右WGに入ったバルベルデの献身性が光っていた。

そして攻撃。
オサスナの特徴は2列目が流動的にポジションを入れ替えつつライン間を狙う意識の高さ
CFブディミルと前線を自由に動きつつDFラインを押し下げるトップ下ダルコによってできたライン間スペースを両サイドアタッカーが回遊。
特に右サイドのルベン・ガルシアは内に絞る傾向が高い。
左サイドはアブデに大外を取らせて左SBのマヌ・サンチェスがインナーラップを取る形も多用。

一方のマドリーの攻撃でまず気になったのが、この試合のバルベルデがいつもよりも大外にポジショニングする意識が高く見えたこと。
後ろがCB的な右SBナチョであったことも大きく関わっているのだろうと推察。

マドリー選手配置とオサスナDFライン特徴概略図

そして上記のオサスナの守備の綻びを付いたのがセバージョス→ヴィニシウスの裏抜けで決定機を創出した前半9分のシーン。
降りたロドリゴにウナイ・ガルシアがついて行き、DFラインに段差が生まれる。
カバーが不在で晒されたモンカジョラとヴィニシウスで走り合い。
モンカジョラが先にボールに触るが、その瞬間にヴィニシウスが奪取、そのままゴールに迫るも得点ならず。

前半18分、ミリトンの対角フィード→ヴィニシウスでチャンスメイク。
自陣深めの位置から一気に局面を変えられるこのプレーを得意とするミリトンを活かし、マドリーのストロングポイントのヴィニシウスによる1on1局面を構築できる効果的な武器であり、再現性も高い
このプレーでもモンカジョラとの勝負になっていた。

そもそもヴィニシウスと対峙して1on1で完封できるSBは世界的にも限られている+特段カバーの準備が整ってはいないという守備の穴を突くことができていた上記の2シーンは得点に結びつけたかった。

0-0のまま前半が終了。
笛が鳴るやいなやアンチェロッティがピッチ内に入り審判に直接抗議しに行くシーンはかなり印象的であった。

後半開始直後の46分、ロドリゴが惜しいシーンを作る。
SBとCBの間でセバージョスから縦パスを引き出し、得意のターン
左から角度を作って放ったシュートは惜しくもゴール右枠外へ。

この試合、ロドリゴの存在感が希薄であったことに不安を覚えた人も多かったはず。
ロドリゴが消えた理由として考えられるのが3つ。
①選手同士の間隔が広い」、「②降りるロドリゴに対する敵CBの迎撃意識の異常な高さ」、「③オサスナドブレ・ピボーテのパスコース遮断能力
①→コンビネーションによる打開を好むロドリゴにとって、両翼の間隔が広めのこの試合は孤立する時間が長くなり、ロドリゴ自身は活きなかった。
②→本項序盤でも述べたが、ウナイ・ガルシアが降りるロドリゴにしっかりついて行き、仕事をさせない意識が異常に高かった。
③→セバージョスが前を向いた際等、左降りを好むロドリゴへのパスコースをトロ、モイ・ゴメスの2人が立ち位置で分断する意識が高かった。
上記の要素が絡み合い、ロドリゴ自身が決定機に顔を出す機会が少なかったのは事実。
しかし、チームとしてはそれを逆手に取り、囮として使うことによって別のアプローチで攻めることができていたので、一概に悪かったとは言えないと個人的には感じた。

そんな状況を見かねた(のか志向なのか)アラバが10番の位置を取って中央に厚みをもたせるシーンも。
後半52分、アラバのスルーパスにヴィニシウスが抜け出してゴールネットを揺らすも、オフサイド判定。
この日のアラバさんは定期的にロドリゴへのパスコースと被ったポジション取りを取ることが多く、トップ下へのポジション上げがそこまで効果的であったかと言われると微妙。

オサスナは後半63分に負傷したルベン・ガルシアに代えてディエゴ・モレノを投入し、モンカジョラを1列前へ。
一方のマドリーも後半65分にセバージョスに代えてアセンシオを投入し、バルベルデをIHへ移動させる。

後半72分、ヴィニシウスの決定機逸。
アセンシオの裏へのボールに走り、ウナイ・ガルシアからボールを奪ってGKと一対一局面になるも、ドリブルで躱すことを選択し、シュートコースが狭まった結果、得点ならず。
前半のモンカジョラとの走り合いシーンでもあったように、ヴィニシウスはゴール方向へ向かうボールを処理するDFへ背中から圧をかける追い方が上手くなってきていることが感じさせられたシーン。(リヴァプール戦でも活きてましたね)
シュートはまぁ...。躱すなら躱せ。撃つなら撃て。

後半77分、バルベルデのゴールでやっと得点が生まれる。

マドリーの1点目

CK直後で陣形が整っていない中、アブデのトラップが大きくなったところをモドリッチが攫ってアセンシオへ。
アセンシオが対面2人のディフェンスを躱しながらボールキャリー。(これめちゃくちゃ素晴らしい)
再度隣を並走していたモドリッチ→左のポケットへ流れたヴィニシウスと繋ぎ、正対しながら時間を創っている間にボックス内に飛び込んできたバルベルデがゴール。
体を倒しながら上手くボールをミートする巧みなシュート。
今季ボックス外からの得点が多かった彼が、IHとしてボックス内へ飛び込んでこのような形のゴールを産んだのは今後に向けて好材料。

欲しかった先制点を奪い、マドリーは未来の種を蒔く。
後半87分、192cmの高身長本格派CFアルバロ・ロドリゲスを投入。

U-20ウルグアイ代表でも活躍していた彼は早速結果を残す。いや残しかける。
ハーフウェーライン右サイドからダイアゴナルに裏へ走ったアルバロにモドリッチからロングスルーパスが通り、ヴィニシウスのゴールをお膳立て。
しかし、モドリッチのパスがバルベルデに当たっていたことがVARで確認され、オフサイド判定。
幻となってしまったがこのシーンで見せたサイドからの良いダイアゴナルラン。
CFにコンバートされる前はWGを主戦場にしていたらしく、その時の経験がこのプレーに活かされていたのであろう

残念に思っていたのも束の間、再度アルバロが魅せる。
アディショナルタイムに入った後半91分、アルバロのアシストからアセンシオのゴールで追加点。

マドリーの2点目

アルバロがポストプレーで胸トラから反転して裏へアバウトなボールを供給。
カットはされるもののそのまま前プレを連動して実行し、リーチの長い脚を活かしてボール奪取
左側にいたアセンシオへ冷静にボールを流して先輩のゴールを再度お膳立て。

新星が結果を残して試合終了。
決定機を活かしきれたとは言えない2-0スコアながら、インパクトはかなり大きかった試合。

・まとめ

比較的対策がなされていなかったヴィニシウスの1on1局面を中心に攻撃を組み立てるも、一歩足らずにゴールが遠かったこの試合。
ロドリゴの存在感が希薄であったことに不満を覚えた方は多かったと思うが、ラインブレイク仕草でDFラインに圧をかけ、囮となって周囲のプレーヤーに時間とスペースを与えていたことは事実であるため、個人的に一概には責められないと思う。

右IHにポジションを移し、今季ボックス外からの得点が多かったバルベルデがボックス内へ飛び込んでこのような形のゴールを産んだのは今後に向けて好材料。
ボックス内に人がいない場面が少なくない中で、このようにクリエイターが多いベテランMF陣とはまた違ったアクセントを加えられる中盤は貴重

そしてなんと言ってもアルバロが短時間で1A(ほぼ2A)を記録し、結果を残したことも大きい。
2004年生まれの彼がマドリーのCFを担っている未来もそう遠くないのかもしれない

なんだかんだLaLiga2試合連続複数得点+クリーンシートを達成。
次はデルビ。絶対勝ちましょう。

・おわりに

リヴァプール戦直前の試合でクリーンシートで勝利を収めることができたことは好材料。
ここ最近の試合で少しづつカスティージャの選手を使い続けていた中で、この日送り出したアルバロという希望が結果を残したことはきっとこれからのマドリーにとって大きな意味を持つ試合になるだろう。

稚拙な文章、お読みいただき誠にありがとうございます。
よければ拡散等していただけますと幸いです。今のところLaLiga全試合レビューするつもりではいます。多分。

それでは!

※画像はTACTICALista様、レアル・マドリー公式様を使用しております。

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