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2023.03.06 LaLiga第24節 レアル・ベティスvsレアル・マドリー

・はじめに

おはようございます。こんにちは。こんばんは。
前節のピリッとしないデルビから1週間。
眠い目を擦ってるのか、ただ花粉症で痒いだけなのかよく分かんなくなりながら観たベティス戦を振り返り。

以下、スタメン。

両チームのスターティングメンバー

ようやく!リーグ戦で!!スタートから4-2-3-1を使う日が来ました!!!
筆者の本懐です。(ちなみに人選は理想ではない)
最初に述べておくと、本稿はほぼ4-2-3-1の功罪について書き連ねると思うが、ご容赦願いたい。
怪我で戦列を離れていたバスケスが久々に先発出場したことも大きなトピック。
ベティスは前回対戦でも得点を決められたカナーレス、前回対戦でも即行で負傷退場したエースフェキルの2枚が欠場している飛車角落ちの苦しい状況
GKはかつてバルセロナでも活躍したブラボ。
最前線にはお馴染みのパンダ発見

・試合内容

・詰めが甘いハイプレスと理に適ったベティスのプレス回避起点

4-2-3-1を使うことによって挙げられる利点。
それはモビリティに優れ、CBチェックと相手のピボーテを消すカバーシャドウをサボらないロドリゴを旗頭にするハイプレスを敢行できること。
そしてハイプレスから敵陣で即時奪回を繰り返し、ずっと俺達のターンにできること。
(ソースはCLのMD3シャフタール戦)

しかし、この試合2つの理由でこのハイプレスが上手くいかなかった。

1つ目、チームとして後方からの押し上げが不足していたこと。
ベンゼマやロドリゴが相手のCB、時にはGKまで勢いよくプレスをかけに行くのだが、後ろからの押し出しが甘く、ついてこれない。
2トップとドブレピボーテの距離感が非常に遠く、間延びして生まれたスペースを利用して前進されるシーンが多く見られた。

2つ目、ベティスがプレス回避起点をヴィニシウス周辺に持ってきたこと。
ベティスは自陣でビルドアップをする際、ドブレピボーテの一角であるギド・ロドリゲスがペッセーラの右側に降り、3バックを形成するような陣形に。
(クロース降りの右サイドver.と言えば分かりやすいだろうか。)
そして、ヴィニシウス周辺のこのエリアを起点として、上述の中盤間延びスペースに鎮座するカルバーリョや押し出したサバリにパスを通す事でボール循環をスタートさせる。
マドリーで守備に難のあるヴィニシウス周辺を起点として安全にボール保持できるこのプレス回避戦術は非常に理に適っていた印象。
ちなみに、万が一この方法でボールを進められない場合にも、イグレシアスのフィジカルを拠り所としたロングボールの空路逃げ道を用意し、選択できるのも流石であった。

ベティスのビルドアップ概略図

・3枚ではなく2枚で晒される中盤センター

主に撤退時4-5-1ブロックで構える際に3枚でセンター3レーンを固められる普段と比べ、この試合ではセンターがクロースとチュアメニの2枚で晒されることになる。
上でも述べたが第一プレス網を簡単に回避され、中盤にかなり大きなスペースが生まれるシーンが多発。
チュアメニはともかく、クロースに広大なオープンスペースを管理しろと言うのは少し酷。(ちなみに球際は今季超頑張ってる)

そして中央ゴール前でのスペース管理の難しさが発現したのが前半8分のシーン。
自分達のミスからパスを繋がれ、CFへ簡単に楔のパスが入った流れからシュートを被弾している。

前半7分のピンチシーン

片側に寄ったギド&カルバーリョのドブレピボーテから左サイドへ展開。
スライドの最中で楔のパスコースを遮断することができず、イグレシアスへ斜めの楔パスが通る。
この際ポイントとなったのが左SHを務めたアヨセ・ペレス。
アヨセは内側にポジショニングし、チュアメニに認知負荷をかけるとともにバスケスの監視から逃れる。
チュアメニがバスケスにアヨセのマークを任せて前進したタイミングで楔のパスが入ってしまい、ゴール前で簡単にポストプレー→ミドルシュートの構図を作られてしまった。
どうしても空いてくる中央スペースをどう管理するか迷った一瞬の隙が悪い方向に噛み合ってしまったことで招いたピンチであった。

・縦の距離感、横の距離感

ベティスが偉かったのが、クロースとチュアメニへの監視意識の高さ。
トップ下に入ったロドリ、ドブレピボーテのギド・ロドリゲスorカルバーリョの前進によって常に中盤に圧力をかける。
その結果、チュアメニとクロースがボールを受けるために低い位置に降りざるを得なくなる。
そしてチームとして縦の距離感が遠くなり、ロドリゴが上手く顔を出したタイミングぐらいでしか局面をひっくり返すことが困難になっていた。
どうせ降りていくクロースより前と後ろを繋ぐ役割のチュアメニに対してよりタイトなマークを付けていたことも重要ポイント。
前の4と後ろの4を繋ぐ位置を阻害し、チームを分断させるアプローチに苦労させられた。

そしてこの試合で気になった要素がもう1つ。
ロドリゴのプレーエリア意識である。
この試合のロドリゴは思っていたよりも右サイド寄りの加勢に回るシーンが多かった。
そのため、ヴィニシウスと遠くなるシーンが増える。
同じブラジル人同士のフィーリングを噛み合わせて打開するプレーの破壊力は言わずもがな。
ヴィニシウスがチームのストロングポイントである分、2人の横の距離感が遠くなるのは少し勿体なかった。
一方でボックス幅で行うベンゼマとのナローな2人称コンビネーション打開は強力。
前半11分のベンゼマゴール未遂FKもロドリゴが獲得したもの。
ベンゼマの基礎技術の高さを活かしたダイレクトプレーとロドリゴの小スペースでもスピード感を持ってゴール方向へ前進できる良さを絡めたこのプレーの再現性が高かった。

・両SBの人選の意図

ドブレピボーテのタイプを考慮すると、重心が後ろに重くなり、前4枚で攻撃を完結せざるを得ないシーンが多くなることは予想されていた。
そのため、この試合ではCB的なSBナチョではなく、攻撃の5人目、6人目としての加勢を求めてカマヴィンガとバスケスを起用したと個人的に推察。
前者は本職MFであり、SB位置からピボーテ位置、IHの位置への移動で効力を発揮する。
後者はご存知の通り、元々右WGの選手。
今季もタイミングの良い攻め上がりでチャンスに顔を出すプレーを見せていた。(ちなみにマドリーの今季LaLiga得点第1号はバスケス)

カマヴィンガは離れ気味な前と後ろを繋ぐ役割にトライしつつ、比較的決定機創出にも絡めていた印象。
例えば、前半34分のシーン。
左に流れたベンゼマとパス交換でカマヴィンガが左HSを打開し、そこからヴィニシウスへ送ったクロスで決定機創出。
(ボックス内で合わせるという慣れないプレーでシュートをふかしてしまったヴィニシウスはご愛嬌。いや、決めてよ。)

一方のバスケス、この試合では悔しい出来に。
後半52分のシーンでは、右サイド低めの位置でクルトワからボールを引き取ったバスケスがロスト。
その流れでイグレシアスのシュートという決定的なシーンを作られるも、クルトワがセーブし、事なきを得た。
そして肝心の攻撃でも54分のシーンに代表されるように大外からのプレー選択の幅が狭いのが致命的であった。
クロスの狙いは工夫が無く単純で、そのボールの質にも合格点は与えられない。
なんなら手前の選手に引っ掛けるシーンも散見。

後半59分にカルバハルと交代させられた際のブチギレシーンがこの日の彼の出来と悔しさを表すには十分すぎるものであった。

・良かった交代と意図が分からない終盤のプラン

カルバハルとバスケスの交代は優位に働いたと個人的には感じる。
大外だけでなく、内側レーンでのプレーを苦にしないカルバハルを投入したことにより、右サイドでの攻撃のバリエーションが向上

交代直後の後半60分、早速カルバハルが良いプレー関与を魅せる。
バルベルデの自陣からの爆キャリーに並走し、カルバハルとのダイレクトプレーでポケット突撃。
フェリペを釣りつつそこから上げたクロスをロドリゴに届けるもシュートが枠に飛ばず。

後半60分のシーン

今シーズン、このようなカルバハルとバルベルデの2人称前進は再現性が高い。
このシーンも例に漏れず、バーティカルな展開でシンプルにゴールに迫る好プレーであった。

そして、個人的に不可解だったのが安易にチュアメニを下げる采配
後ろでフィルターとして働き、配球もかなり高次元でこなせるチュアメニをわざわざベンチに追いやり、どんどんバルベルデを後方へ下げていく采配は今季よくやるムーブであるが、あまり納得はいっていない。

後半アディショナルタイム91分のシーンのように、単純な外からのクロスに期待感がない今のマドリーで、効果的なポケット突撃を繰り返せるバルベルデをなぜ後方に回すのか。
おそらく後ろの守備力も担保しつつ前向きの姿勢はあくまでも崩してませんよ的な配置なのだと思いますが。

最近パワープレー要員的に起用されているアルバロ投入後の攻撃の目的意識もかなり曖昧。
空中戦を競っているのがロドリゴであったり、アルバロを放っといてベンゼマとロドリゴのコンビネーションに拘ったり、そもそもクロスを上げなかったり。

モヤモヤしつつもそのまま0-0で試合は終了。
LaLiga2戦連続ドロー。

・まとめ

かねてからの本懐、4-2-3-1をスタートから観ることができ、良かった点と悪かった点を論い自分なりにこのシステムへの解像度を少し向上させられたのは個人的に良かった。

しかし、結果が芳しくなかったことは別問題。
狙いたいプレーの精度が低く、選手の距離感と特性がマッチしない。
重たい2人で組むドブレピボーテの欠点を隠して利点を押し出す設計についても詰めが甘かった。
この辺りはどうしても試行回数を重ねて練度を高めるなり、別の組み合わせ・ユニット構築を試していくなり、長期的に見ていきたい部分である。
オプション止まりにしておくには少し勿体無いと思うのは私だけでしょうか。

ライン間の小スペースで前を向いてプレーできるロドリゴの強みは今のマドリーには貴重であり大きな武器。
それを最大化させることができれば、4-2-3-1システムは再度猛威を振るうことになるはずという希望的観測。

そして、均衡〜劣勢時の攻め方に工夫を足すのはいつになるのでしょうか。

・おわりに

デルビは10人相手に引き分け、コパクラシコでは敗北を喫し、この日ベティスにも打開策を見出せずスコアレスドロー。
明らかにチームとしては低調気味だが、これがリヴァプールとの2ndLegに響かないことを祈りつつ筆を置きます。

稚拙な文章、お読みいただき誠にありがとうございます。
よければ拡散等していただけますと幸いです。今のところLaLiga全試合レビューするつもりではいます。多分。

それでは!

※画像はTACTICALista様、レアル・マドリー公式様を使用しております。

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