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卒業式はシャネルスーツで

先日、長く在学した大学を卒業した。
通信教育、カッコよく言えば Web lerninigだった。
子育ても終え、夫婦二人になり、鳥巣症候群に陥る前に手っ取り早く思いついたのがリカレントの学び直しだった。
専攻は心理学、後付けの入学理由として「人知をもってしてもどうにもならない世の中にあって自分を立て直そうと思った」と動機を尋ねられたらこう答えを用意していた。
有名大学は費用も通学生と変わらないし、何より入学試験がある。こちとらとりあえず何か勉強したいという輩なのでできるだけ費用も頭の準備も抑えたいわけだ。学びたい姿勢はいい加減ではないがどこかそんな希望を叶えてくれるところはないかと探した。

そうこうしているうちに東京の郊外にある大学にたどり着いた。
由緒ある仏教系の大学だった。 
学費は安い。
通信教育部が通学部と並行独立してる。
心理学専攻がある。
心理士やカウンセラーの資格が取れそう。
実験実習?対面講義?スクーリングもあって時々東京に行ける!
決まりでしょ、これは、もう。

こんな軽い気持ちで編入して自己学習を始めたのだった。

通信教育は己との戦い、自己肯定気取って始めても結局一人学習は困難を極める。
しかし、スクーリングで同士ができたり、多少は上手いことレポートを書きこなして、我が引き出しのほぼ全部を使いきり所要単位を満たし、先日卒業を迎えた。通信とて4年大卒業で学士さまだし、修めれば認定心理士なる資格も申請できる。

ここの通信教育はコロナ禍にあっても元来のシステムが秀でていて盤石だった。
通信教育とは何ぞや、ですよ。自宅学習、自己学習が基本のきの字。
単位習得へのガイドラインがシステマティックに明確にナビゲートされている。試験もコロナ以前の元よりwebで行われていて問題なし。

スクーリング集中講義などはzoomでひとまず乗り越え、G suiteが整ってからはオンライン授業はスイスイで、若い通学生を抱える他の大学が構内立ち入りを禁じ自宅学習を強いていた中、早い時期からコロナ禍だからといった規制を受けなかったのだ。もはや対面授業とオンライン授業の併用は当たり前のこととなっているが、システム的には大して通信教育と変わらないと言ったら言い過ぎだろうか。

なんてことを言えるのも途中下車せずに卒業できた自分に拍手を送りたいがためである。
卒業式には袴で参列したかったのだが、ご時世下、式次第の超短縮と終了後は速やかに帰れとのことで貧乏性が災いして手持ちのスーツを着ることにした。
このスーツといったら、私が学生時に就活をしていたときのもので、当時は紺や黒の暗黙の縛りもなく、自由な業界狙いだったこともあり、濃紺のベルベットのシャネルスーツを母が買ってくれたのだった。
それ以降手を通した記憶も定かではないが、体型が変わらなかったことと流行に左右されなかったものであったことに感謝しつつ、クローゼットの奥から引っ張り出した。

卒業おめでとう、わたし。


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