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バッテリーはバッテリーでも

1月2日であるが、久しぶりにバイクに乗ろうと思い立った。正月だし、きっと道は空いているだろうと思ってのことだ。さて、どこに行こうか。

東北自動車道方面は方角として好きなのだが、いつも帰りに渋滞に巻き込まれるのが嫌で、なかなか行くチャンスがない。しかし、今日はさすがにスイスイ走れるのではないかと考えた。ストライキで話題になった佐野サービスエリアに寄りつつ、どこかで佐野ラーメンでも食べることにしよう。

1月にしてはそれほど寒くないとはいえ、防寒のために電熱ウエアを着込んだ。これは内蔵したヒートパネルが発熱し、ライダーを冬の寒さから解放してくれるバイク用のウェアのことである。薄い肌着の上にこれを着て、その上にジャケットを着る。この電熱ウエアは、バッテリーに直接繋ぐことで電源を取っている。ウエアのスイッチを入れるとすぐにとても暖かくなるスグレモノで、冬は重宝している。

街中や首都高の長いトンネルを走っている間は全く寒くないので、電熱ウエアはオフにしてあったが、東北自動車道に入るあたりから身体が冷えてきたので、スイッチを入れた。

1月2日にも関わらず、久喜から羽生まで渋滞の表示が出ている。正月なのに全くどんな奴がこんなに走っているのだろうか。きっと自分のような奴だ。うんざりしてきた。久喜の手前で高速を降りて帰ろうかと迷った。

とりあえずガソリンを補充しておいたほうが良さそうだったし、少し休憩しておこうと、久喜の手前にある蓮田サービスエリアに入ることにした。

本線ではまだ渋滞が始まっていなかったが、サービスエリアの入り口がすでに渋滞していた。先が思いやられる。この状態で入るべきかどうか。こういうことで迷うのはいつものことだ。あのとき、ああしていれば良かったのにと後悔することはけっこうある。道路状況の判断はもちろんのことだが、運転すると些細なことでも常に生き方が問われるのである。

やっと二輪専用に指定してあるエリアに到着し、駐車するためにバイクのエンジンを切った。ここでハンドルをロックするためにイグニッションスイッチを長押しするのだが、今日はなぜかいくら押してもロックがかからなかった。試しに再度イグニッションをオンにしてみても、メーターパネルの表示が消えたままだ。これではハンドルロックどころか、エンジンをかけることができない。しばらくの間このバイクに乗っていなかったので、もしかしたらバッテリーがあがってしまったのか!?弱っていたところに途中で伝熱ウエアを使ったのがいけなかったのだろうか?

幸い目の前にはガソリンスタンドがある。スタンドまでは地面が下り坂になっており、重いバイクを押していくとしてもなんとか行けそうだった。

サービスエリア内で助かった。これが山道の途中であったと思ったらゾッとする。心を落ち着かせるためにコーヒーでも飲もう。それからガソリンスタンドへ行って、エンジンのジャンプスタートができるか聞いてみることにする。

結果、バイクはできないとのことだ。無情である。

次に自分のバイクのイマージェンシーサービスに電話してみる。バッテリーあがりは故障ではないので、加入している任意保険のロードサービスに連絡するように言われる。

ジャンプスタートでエンジンを始動させたとしても、一旦切ると不安なので、家に着くまで切りたくない。ということは、途中でトイレに行くこともできないので、あらかじめ行っておくことにする。そしてバッテリーに負担をかけないように、寒くても電熱ウエアは使えない。念のために持ってきていたインナーを着込んでおく。

ロードサービスの車両がサービスエリアに着いたが、入口が渋滞しているのでなかなか入れない様子だ。それでも電話してから結局40分ほどで来てもらったのではないだろうか。思ったより速くて助かった。

状況を説明してバッテリーを診てもらう。テスターで調べた結果、バッテリーには全く問題が無いらしい。なんらかの故障を疑ったが、もう一度通常の手順でエンジンをかけてみてくださいといわれ、やってみると、何度やっても点かなかったメーターパネルが、突然点灯した。切れかかっていたのはバイクのバッテリーではなく、キーのほうの電池だったのかもしれない。

このバイクは、キーレスライドという方式で、キーはポケットかどこかに持っていればよく、バイクのほうに差し込むための鍵穴は無い。キーがバイクと通信範囲内にあって、電池が充分あれば始動できる仕組みだ。逆に通信範囲外だったり、電池がなかったりすると、起動権限が無いと判断されてエンジンをかけることができない。

実はキーの電池が切れたときの始動方法も知っていたのだが、バッテリーが上がったものだとばかり思い込んでいたので、キーの電池には思いが及ばなかった。切れかけていた電池が温まったか何かの拍子でバイクとの通信に成功し、エンジンが始動できたのだろう。ジェンプスターターは活躍せず、ロードサービスの人には申し訳なかったが、事なきを得た。佐野ラーメンは食べずにもう帰ることにした。

帰り道も渋滞だった。iPhoneに入れてあるバイクのナビに効率の良いルートを案内すると言われるまま、途中で高速を降りて下道を走ったり、再び高速に乗ったりしたが、どこもけっこう混んでいた。

バイクで出かけるのはいいのだが、渋滞に遭わないときがほとんどないのではないか。これがいつも悩みの種だ。

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