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旅の楽しみ方は”気づく”もの【長野県高山村】

4月から新年度が始まって仕事がバタバタし、少し落ち着いた4月中旬。この時期になると毎年のように、「ゴールデンウィークにどこに行くか?」という問題が私を悩ませます。

京都や沖縄といった観光名所はどこも人が多く、混雑が苦手な私は行く気が起きず。かといって、せっかくの連休をずっと家で過ごすのはあまりにも味気ない。さほど混雑しておらず、しかし非日常感や解放感といった旅の雰囲気を味わえる場所を探すことが、毎年の課題になっています。

今年も中々行く場所が見つからず、何かヒントはないかとスマホで調べていると、とても興味の惹かれるツイートを見つけました。

絶景の中のサウナ、自然の中に佇む露天風呂、厳選された食材を使った食事。こんなに素晴らしい旅館だからきっと予約も一杯だろうと半ば諦めながら予約サイトを確認すると、ギリギリ空いている日がありました。

とはいえ私にとって重要なのがこの観光地の混雑具合。調べてみるとこの旅館は「長野県上高井郡高山村」というところにありました。初めて聞く地名で、るるぶにもまっぷるにも載っていません。もしかしたらここは穴場的な観光地で人もそんなに多くないのでは?と思い、急いで予約を済ませて今年の旅先をここに決めました。

宿泊した「梅の屋リゾート松川館」

松川館、そして高山村での旅は予想していた通りとても素晴らしいものになりました。しかしそれは、サウナや露天風呂や食事が良かったからだけでもなく、人混みがほとんどなかったからだけでもありません。

私はこの高山村での旅を通して、旅の新たな楽しみ方に気づかされました。

この街には、何度行っても回りきれないほど多くの名所がある京都的な魅力も、多種多様なアクティビティを何日でも満喫できる沖縄的な魅力もありません。むしろ一見すると、少し古くなった温泉街と辺り一面の自然しかなく、現代人が旅に求めているものとは合わない街のようにも見えました。

しかし、だからこそ、私は高山村を京都や沖縄とは違った感覚で満喫することができました。高山村の大自然や絶景サウナが、旅の新たな楽しみ方に気づかせてくれました。

そんな私が高山村で感じた感動を、少し紹介したいと思います。

レンタルさせてもらった電動キックボート

私が泊まった松川館では、宿泊者限定で電動キックボードのレンタルができました。最近は都内でも見る機会が増えましたが、道幅が狭くてとても楽しめるものではありません。電動キックボードは高山村ならではの楽しみだと思いレンタルしました。

電動キックボードで自然の中を走っていてまずはじめに気がついたのは、自動車や自転車よりも一層自然を感じられることです。特に坂道だと自転車は漕ぐことに気を取られてしまいますが、その必要がない電動キックボードでは全身で自然を感じることに集中できました。

同時に、自然の中で「自由」でいられる感覚がありました。例えばこれが散歩の場合、体力や運動能力的な問題で、私はそんなに早くは進めません。逆に自動車の場合は最低でも時速2,30km以上で走らないと迷惑なので、ゆっくり進むことができません。

高山村を流れる松川

電動キックボードは何の制約も受けずに、好きな速度で好きな走り方で走ることができます。

例えば時速10kmでまったりと崖の下を流れる川を眺めながら走ることもできるし、少しスピードを出して爽快感を味わったり自然を感じたりすることもできます。また、素敵な橋を見つけたらそこを走る様子を動画に収めるべく、何度も往復することもできます。(※道路交通法とマナーの範囲内で)

これらは実際に私が電動キックボードに乗ってやったことです。電動キックボードで走ったのと同じ道を前日に車でも通ったのですが、そのときは崖の下を流れる川に気がつきませんでした。車で通ったときは、その道は移動のための道としか認識できていなかったのです。電動キックボードという自由な乗り物のおかげで、街をより高い解像度で見ることができました。

走る様子を動画に収めたのも、私の自由な楽しみ方の一つでした。そこでそうすることが推奨されていたわけでも、有名なインフルエンサーがその様子をインスタグラムに上げていたわけでもありません。そこでその街を味わっていると、自然と「これを動画に収めたい!」という気持ちに気づくことができ、自分なりの楽しみ方で楽しむことができました。

松川館天空のサウナ

また、この旅の元々の目的であるサウナでも、同じように自由を感じられました。サウナに入る時間、水風呂に入る時間は人によって適切な時間が違います。その適切な時間は自分の身体だけが知っていて、サウナの中でそれを自らに問いかけ、探っていきます。

「まだいけるか?」「もう出た方がいいか?」そうやって身体と相談してベストなタイミングで水風呂に入ると、その後の外気浴がとても気持ちのよいものになり”ととのう”状態になります。高山村の絶景も相まって、まさに全身がととのいました。

松川館のサウナから見える景色

私が普段旅行に行くとき、有名な観光地の観光名所をいくつかピックアップして、ガイドブックに書いてあることと同じやり方で楽しもうとしてしまうことがよくあります。そしてその土地に行ってみると、みんなが同じ場所で同じ構図で写真を撮っていて、それはwikipediaやガイドブックに載っている構図と同じなのです。私だけでなく多くの人が、本やネットに書かれた決められた楽しみ方を無意識のうちにやってしまっているのです。

高山村での旅で、自由な楽しみ方に気がつくことができました。高山村はるるぶにもまっぷるにも載っておらず、楽しみ方の事前情報が全くありませんでした。だからこそ、そこで実際に見たもの、感じたことを頼りに、自分なりの楽しみ方に気がつくことができたのだと思います。それによって結果として、普段の旅行以上の非日常感や解放感を味わうことができました。

ひたすら動画を撮った高井橋

長野駅から新幹線で帰る予定だった私は、新幹線までの空き時間に善光寺に寄る予定でした。ただ、当日に旅館の女将さんに教えてもらった蕎麦屋が思った以上に混んでいて、時間的に善光寺に寄ることができませんでした。

しかし、それでよかったのです。善光寺はちょうど御開帳の時期だと知っていて、事前に調べこんでいました。なのできっと善光寺では、私はガイドブックに載っている通りの楽しみ方しかできなかったと思います。善光寺に行けなかったことは、今回の旅が自由な楽しみ方をした旅だったことを象徴する出来事のように思いました。

高山村での体験は、私がこれからも旅を楽しむ上で非常に重要なことに気がつかせてくれました。そしてそれは、この街が素晴らしい自然と温泉街を持っているからで、そして今回宿泊した松川館のサウナと食事が素晴らしいものだったからだと思います。

またいつか、再度高山村を訪れたときには、さらに新しい楽しみ方に気づかせてくれるかもしれないと、そんな期待をしながら、これからも色んな土地を自由に旅したいと思います。

善光寺は行けずに断念

P.S. 高山村にも素晴らしい観光名所がたくさんあります!私の文章から、「高山村には温泉と自然しかない」と思われないよう、いくつか写真で紹介したいと思います。

山田牧場「Redwood Inn」で食べたピザ
野沢菜の食感がピザと合って美味しい!
「雷滝」別名「裏見の滝」
滝を裏から覗ける高山村屈指の観光スポット
「八滝」
展望台から自然と共に鑑賞できる

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