見出し画像

【離党勧告】自民党規律規約を斜め読みしてみた【除名】

利用規約ウォッチャー みなしボウイです。

直近の報道によると、自民党が、派閥の政治資金規正法違反事件の関係者に対する処分を巡り、安倍派元幹部について、党規律規約の規定で2番目に重い「離党勧告」とする方向で最終調整に入ったとのことです。

この自民党規律規約とは、一体どのようなものなのでしょうか?軽く斜め読みしてみましたので、簡単にまとめておきます。

この投稿は、自民党を支持あるいは不支持のどちらの観点からも書いておりません。機会があれば、他政党の党則や規約についても見てみたいと思っています。



前文

自民党規律規約は、下記の前文からスタートします。

民主政治の要諦は、国民との信頼関係にある。わが党は、この理念を中心に据え、党活動を行っていくとともに、施政に対する信頼を確保するため、責任ある公党として、常に綱紀を厳正に保ち、信賞必罰を徹底し、政治倫理を確立する。そのため、党員一人ひとりに、政党人としての自覚を求め、かりそめにも、国民の信頼を裏切ることのないように、自らを厳しく律することを求める。
さらに、倫理憲章をはじめとする政治倫理確立のための諸規定を遵守し、公人としての名誉を保ち、もって、わが党政治に対する信頼の獲得に努めるものとする。
以上の趣旨により、党則第九十三条の規定に基づいて、本規約を定める。

自由民主党規律規約前文

国会議員の品位」的なことがよく叫ばれますが、党所属国会議員を含めた党員一人ひとりに自らを厳しく律することを求めていることがわかります。

自由民主党本部

自民党と総裁の関係性

自民党党則によると、総裁は「党の最高責任者であって、党を代表し、党務を総理する」とあり、原則として、党所属国会議員、党員、自由国民会議会員及び国民政治協会会員による選挙により選出(自民党ではこれを「総裁公選」と呼ぶ)されます。

党のみんなで選んだ党のトップが「総裁」ということになり、対外的にも党の代表としての顔を持ちます。では、党内でどれだけの権限を持つのかというと、党則によって細かく定められています。

総裁は、党の最高責任者とされていますが、トップダウンで全て決められるのかと言うとそうではありません。組織図を見てみると、「党大会」が総裁よりも上位に存在する機関であることがわかります。

自由民主党組織図

私は組織図を見て思ったことは、総裁とは企業における「CEO」であり、幹事長は「COO」、党大会は「株主総会」に近いのかなと。もっとも党大会には全ての党員が参加できる訳ではないので、種類株主総会で決めているといったところでしょうか。

党大会は、党の最高機関とし、次の各号に掲げる者をもって構成する。
一 党所属の国会議員
二 本党の都道府県支部連合会ごとに選出された四名の大会代議員。ただし、うち二名は、当該都道府県支部連合会の青年部及び女性部のそれぞれの代表者とする。

自由民主党党則第27条

党紀委員会

自民党党則によると、「党の規律を保持し、かつ、党風を振興するため」党紀委員会を置くとあります。党紀委員会に参加する党紀委員は、党大会にて選任することになっています。

(内訳)
党所属の衆議院議員から8名
党所属の参議院議員から4名
党所属の国会議員元職から総裁が推薦する2名
有識者から総裁が推薦する4名

上記のように総裁からの推薦メンバーも入っていますが、あくまで党紀委員の選任権限は党大会が有し、国会答弁等で「党紀委員会のほうで決めることになる」という一見歯切れの悪い受け応えになるのはこのためです。

自由民主党党紀委員会メンバー

現在の党紀委員長である逢沢一郎議員は、宏池会の流れを汲む谷垣グループ(解散)に属していた議員、党紀委員会副委員長である田村憲久議員は、現宏池会であった岸田派(解散)に属していた議員です。

岸田総裁のトップダウンで決めることは出来ないものの、意向は反映されやすい状況ではあるようには見えます。


自民党は2024年3月の党大会で党則改正を承認しましたが、「党ガバナンスコードを定める」ことを党則に盛り込むそうです。自民党ではこれまでにも党改革の一環としてガバナンスコードを策定してきているようですが、党則に盛り込まれたことで党所属国会議員はこれまで以上に党運営の指針に留意していくことになるのではないでしょうか。

なお本投稿における、発表内容は発表者個人の見解に基づくものであり、本投稿にて取り上げられている組織及びサービスの公式見解ではありません。

この記事が参加している募集

スキしてみて

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?