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できない!を楽しむ八重山旅

年がら年中ぬるっと繁忙期っぽい会社で働いている私だが、2-3月の大大大繁忙期を抜けたこの時期は、次なる大大大繁忙期との隙間時間で、比較的ゆるやかに(当社比)過ごせる時期なのである。

ということで、この期間、八重山諸島(沖縄本島のさらに南の石垣島あたりの島々)を旅することが恒例行事となっている。

と言っても、自分の性分的に、完全なる大連休はなんだかリズムが狂いそうなので、ワーケーションという名目で、平日の午前中だけ仕事をすることにしている。

例年のひとり旅では八重山諸島でも1.2を争うのどかな島である黒島ばかりいきがちなのであるが、今年は3月末に仕事を辞めて絶賛無職中の相方と連れ立って行くので、なかなか1人では「アクティブな人らが行くとこ」と敬遠しがちだった西表島にも行ってみることになっていた。

今、西表の民宿のテラスで、これを書いている。

八重山に行く時は「何もしないことをしに行く」というコンセプトを自分の中に持っており、リゾートホテルなどではなく、飛行機と最低限の設備のある安い民宿だけを押さえて予定を決めずにのんびり過ごすのが私の流儀である。

だけど今回の旅は「何もしない」というよりは「できない」ことが多発した旅だった。

島に渡れなかった

八重山諸島の旅では、石垣島を起点として様々な離島に渡るのだが、今回満を持して訪問予定だった鳩間島への便が欠航したのである。残念。

鳩間島は数年前にも船の欠航により断念したことがあり、これで2度目。
仕方がないので鳩間のお宿にキャンセルの連絡を入れ、急遽石垣の宿を取り、粛々と仕事に励むことに。

突発的に宿泊を余儀なくされた宿にはかわいいかわいい看板柴犬。

また今回、実は、旅の直前のソフトぎっくり腰から併発した坐骨神経痛に苦しめられていた。不運。

あまりのタイミングの悪さに整骨院の先生も笑っちゃうくらいの「そういう星の下」っぷりであるが、「なんとか行かせてあげたい」という先生の懸命な治療と、自らの執念と根性と、がっぷりしたコルセットを巻くことで八重山行きが叶ったのだった。

カヌーをこげなかった

だけど、そんなわけで、今回珍しく西表島でやってみよう!と言っていたカヌートレッキングツアーには参加できなくなった。

なので、時間をたっぷりと持て余し、宿でだらだらコーヒーを飲みながら久しぶりのnoteの更新などしている今である。

相方はハンモックに寝そべりながら宿に置いてある「お〜い!竜馬」を禁門の変あたりまで読み終えてご満悦だった。

そういえば昨年私も黒島の宿でスラムダンクを山王戦の直前まで読破した。

尻は痛いが海は綺麗

他にも、目星をつけていた飲食店がことごとく定休日や臨時休業だったり、こまごまとできないことの多い旅だが、不思議と不足感はない。

2日連続、全く同じ商店で買った全く同じ弁当メシ(うまし)

いろんなことができなかった時間には、柴犬を心ゆくまでモフモフできたし、マングローブを見学できる遊覧船にも乗れたし、ちょうど来た船に勢いで乗り込んで久方ぶりに竹富島で散歩もできた。

思いがけずできたこともたっぷりあって、むしろ満足度は上がっている。

マングローブだらけ
西表焼の窯元にも行けた

しばしば、ダイビングもシュノーケルもしないのに、なぜそんなに島ばかり行くのかと心底不思議そうに聞かれるが、何もしないために出る旅だってあるのである。

こうして外的・内的要因によりできなくなってしまうことや予定が狂うことに対して鷹揚に構えていられるのは、私の人間性というよりは、ひとえに八重山の魅力と空気感のおかげである。 

今回できなかったことは、また次来るときの理由や目的となる。


そして旅は続く。

これから船でしか行けない船浮集落へ。

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