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自宅飲み

つい先日のことだ。会社の若い奴から「そういえば小室哲哉の引退はやっぱりショックなんですか?」ということを尋ねられた。僕がそういう世代だから聞いてみた、という些細な世間話のノリだ。

「うーん・・・」

僕は言葉に詰まってしまった。確かに幼い頃は彼の音楽を聴いていた。TM Network。「Come on Let’s dance」とか好きだったな。でも思春期に入ってからは彼の音楽からは遠ざかり、洋楽ばかりを聴くようになってしまったから、今現時点でミュージシャンとしての彼に思い入れがあるかというと、まあ特に無いかな、という結論になる。きっとそういう人は多いんじゃないだろうか。

「最近の彼の音楽活動とかよく知らないから、今更引退と言われてもなあ」

それでもあのニュースを受けて、多くの人が心に影を落としている。その理由は「ミュージシャンとしての彼が好きだったから引退が残念」ということじゃないだろう。その苦い思いを吐露する記事もここでたくさん見かけた。

僕も僕が感じたことをまとめてみようか、とずっと考えていた。けれどまともな文章にできずにいた。それは僕の両親が父の不倫で離婚していることや、昨年、唯一の親友と思っていた男の不倫によって人間関係を滅茶苦茶にされたことなどが影響しているのだろう。正直なところ僕はあのニュースをどう受け止めてよいのか分からない。

ただひとつ思ったことは、もう僕は第三者の不倫を知りたくない、知らぬままでいたいということ。不倫の是非とかさんざん今まで色んな人と論じてきたけれど、結局「これが正解」という結論が導き出された試しはない。当たり前のことだ。みんながみんな当人たちにしか分からないそれぞれの背景や事情を背負っているのだから。人様の不倫についてあれこれ考えるのは不毛だ。

けれど知ってしまえば考えざるをえなくなる。そしてその思考は落とし所が見つからぬまま虚しく漂い続けてしまう。それが苦しい。

だから僕は小室氏の謝罪会見の映像を見ていない。これからも見るつもりはない。ニュース記事は一本だけ読んでしまったけどそれくらいだ。僕はテレビを見ないから、期せずして見てしまうことも無いだろう。

「まあ、なんというか、放っておいてやれよ、って思うよね。」

その場で口に出して言える感想としては、それが精一杯だった。

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