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『人間の大地』(プラムディヤ・アナンタ・トゥール)

#推薦図書

プラムディヤ(Pramoedya Ananta Toer, 1925年2月6日 - 2006年4月30日)は、インドネシアの小説家。
生前は、「アジアにおけるノーベル文学賞の最有力候補」と言われていた。

1965年に同国で発生した軍事クーデター「9月30日事件」で、インドネシア共産党との関与を疑われ、政治犯として10年以上の流刑生活を送る。
本日取り上げる『人間の大地』は、その獄中で創作されたもので、インドネシア文学史上最高傑作の呼び声が高い。
1980年に発行されると、初版の1万部が12日間で売れるという衝撃の話題作となるが、その影響力を恐れたインドネシア政府は本書を発禁処分とした。

本書は、19世紀末のオランダ領インドネシアが舞台となっており、プリブミ(ネイティブのインドネシア人)の青年の悲恋を中心に、植民地主義の理不尽さを説く。
主人公のミンケはジャワ貴族出身で、彼が民族意識に目覚め、成長していく歩みを、インドネシア民族主義の勃興とともに描いている。

より詳しいあらすじは、以下のサイトをチェック。


『人間の大地(原題:Bumi Manusia)』は、2019年の夏に映画化もされている。

日本でも配信されているかは不明(もし視聴できても英語字幕?)だが、植民地時代のアジアの雰囲気が分かって興味深い。

ぼくは公開初日に現地の映画館で鑑賞したが、3時間という上映時間があっという間に感じられるほど、面白い内容だった。


冒頭でリンクを貼ったように、小説版は日本語訳も出版されているので、是非読んでみてほしい。
重厚感のある作品だが、引き込まれるストーリー展開で、なおかつ日本語訳も非常に流暢なので読みやすいと思う。

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