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色のない街

米子と松江を比べてみるとむしろ松江のほうがまだましかも。

一応、市内中心部に観光地があるので観光客で賑やか。

それでも色がないというのは同じ。

色がないと書くと少々難解だけど華やかさがない・・・

そう書くと理解してもらえるだろうか。

今から50年くらい前は米子にお出かけなんてまるで

海外旅行に行く位興奮したもの。

当時の九号線は今みたいに整備されていなくて

若干砂利道めいたところもあった気が。

そこを父親の運転する軽自動車でトコトコ行くのだ。

FM放送局でもある。

中心部にあったアーケード商店街。

今ではほとんどの屋根が撤去された。

当時そこはまるであの夢の国の様(行ったことはない)

子供心に光と色にやられた。

それも今ではクスンだシャッター通り。

そんなシャッター通りから路地づたいに歩き

路地をさまようように歩くと

ある保育園の塀に差し掛かった時・・・

中学生??高校生??はたまた大学生なのか。

そんな若い連中が塀一面に壁画を描いている。

先生らしき大人があれこれと指導している。

やっと色を見つけた・・・

私はカメラを向けた。

ああ、まぶしすぎる。

歳を重ねた者、色んなものを捨ててきた者にはまぶしすぎる。

家族と父親の車で米子にお出かけした記憶なんて

私の脳内で作られた嘘記憶でそんな事は一度もなかったのだから。

思わずクルリと背を向けると窓ガラスに塀が写り込んでいる。

今の私には此の位が丁度いい。

ようこそようこそ。

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