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L'Arc〜en〜Ciel「Blame」

L'Arc〜en〜CielがARENA TOUR【UNDERGROUND】で、「Blame」を演奏していると知って、動揺した。

1994年にリリースされた2ndアルバムであり、メジャーデビュー後に発売した最初のアルバムでもある『Tierra』の3曲目に収録された楽曲を初めて聴いたときに、これはまるで自分のことのような曲だなと思った。

「君を今を想う日々が 僕の全てだとしても
いつか時が膝を抱えた僕を連れてゆくよ」

当時、私は20歳だった。
大学では、ラジオDJになりたくて、放送研究会に入っていた。

ラジオDJになるというのは、私一人だけの夢ではなかった。叶えた先に実現させたいことがあった。

「この子は寂しそうな顔をしている」

当時、私の写真を見た祖母はそう言っていた。
祖母にだけは、私の心を見透かされているような気がした。

やがて私は、1995年、女子大生をアシスタントDJとして起用するという番組で、大学4年生のときにFM-FUJIで初めてレギュラー番組が決まった。そのときにはアルバム『heavenly』がリリースされて、「Vivid Colors」をラジオから紹介できる嬉しさは、この上ない幸せだった。

それから私は、大学を卒業して、アルバイトをしながら、プロのラジオDJになるためのスクールに通い、1997年にFM802のDJオーディションに合格して、今に至る。

2024年3月。
あと数日に迫った、国立代々木競技場第一体育館でのライブに備えて、「Blame」を聴いた。

「いつか時が膝を抱えた僕を連れてゆくよ」

初めてこの曲を聴いた時。
いつか、この思いは時が解決してくれるだろうと思っていた。
けれども、20歳から50歳になった、30年を経ても、ちっとも時が連れていってくれていないことに気づいて、曲を聴きながら、電車の中で泣いた。

今の私がライブでこの曲を聴いたらどんな思いになるのだろうか?
そんな感情と共に、2024年3月6日、国立代々木競技場第一体育館に向かった。

L'Arc〜en〜Ciel ARENA TOUR【UNDERGROUND】

その内容は、久しぶりに見る、L'Arc〜en〜Cielの闇の音楽の連続だった。
私は、彼らのそういう楽曲がたまらなく好きだったから、どんどん没入していった。

そして、「Blame」。
幸運なことに、360度回転するステージは、この曲のときちょうど私の正面だった。

イントロが奏でられた瞬間に身体が固まった。
この曲をライブで聴いたのは、私にとっては、1996年の日本武道館以来だった。

それはとても美しい光景だった。

hydeさんは、白いシャツに黒いネクタイ、黒い手袋といたったシンプルな装いで。だからこそ、その歌での世界観の表現に圧倒された。

2024年だからこその彼らの演奏力、そして、最新の音響システムが響かせる音は、まさに2024年の、今この瞬間にしか聴けない「Blame」だった。

モニターに映る映像はモノクロ。時折、赤いラインが入るのが、この曲が抱えた傷を表現しているかのようで、私にとっては共感しかなかった。

泣くだろうなとは思っていたけど、涙と共に胸が苦しくてたまらなかった。

「息が出来ず いくらもがいてみても
Please don't blame it on me」

こう歌い切ったあとに、思わず目を閉じてしまうくらい、涙が止まらなかった。だけど、この曲を生きてもう一度ライブで聴ける機会はもうないかもしれない。しっかり、今を見ておきたい。そう思って、目を開けた。

「果てない苦痛に歪まれた 足跡を辿れば」

今日まで。それはそれは、苦痛の続く人生だった。
けれども、あきらめずに、手離さずに生きてきたのは、

どうしたって、あのとき叶えると決めた夢があったからだ。
私が降りたら、決して叶えることはできない。
そう思って、あきらめずに歩いてきた道だった。

けれども、それがいつしか自分の首を絞めていた。

私は幸せになりたいと願いながら、
自分に幸せを許していなかった。

まだ果たせていない、まだ果たせていないと言い聞かせることで、今、この瞬間を生きる私よりも、過去の私を優先させていた。

もう解放しよう。
私は、私を解き放とう。

大切なのは、今だ。

2024年にライブで目の前で「Blame」を聴いたときに、そう思えた。
やっと、時が膝を抱えたままだった私を連れて行ってくれた。

「胸の奥に突き刺さったままの
情景が抜けない」

それは春の景色だった。
今でも、あの背中の情景は、私の胸の中から消えることはない。

「君を今も想う想う日々が僕の全てだとしても」

私の全てだったから、
私は今の私になれた。

私の全てだったからこそ、音楽と共に歩むことになった自分の人生が好きだ。
今の自分が好きだよ。

だからこそ、私は、私を幸せにする。
今、幸せだと感じられる全てを大切にするよ。

2024年のライブで奏でられた「Blame」には、後奏に、kenさんによる新たなギターアレンジが加えられていた。その音色が、私にとってはたまらなく美しく響いて、未来へ連れていってくれるような輝きを放っていた。

私は音楽に救われてきた。

2024年3月6日にライブで聴いた、L'Arc〜en〜Cielの「Blame」という、私にとって、彼らの楽曲の中で最も好きな曲は、私の人生で、さらにかけがえのない味方へと昇華していった。

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