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大阪で「みどり化」が必要な理由

大阪もようやく春本番。市内の桜はほぼ満開で見頃を迎えました。ちょうど入学式シーズンに重なって良かったですね。

トップの写真は、天王寺公園のエントランスエリアで、あべのハルカスを望む芝生広場の「てんしば」です。この日は、うじゃうじゃ、所狭しとお弁当を広げて春の日差しを楽しむ人でいっぱいでした。天王寺公園は今や、桜の季節だけでなく、春・秋の行楽シーズンの週末はいつもこんな感じで賑わっています。以前とは見違えるほど人が集まる、活気あふれる公園に生まれ変わりました。それにしても、人口密度が高い!

この天王寺エリア、大阪城公園エリアしかりですが、5年ほど前から大阪では「大阪らしいポテンシャルとストックを持つ象徴的なエリア」として6つを選定し、「みどり化」と交通インフラの開発・整備を行なっています。特に今、注目されているエリアは、2025年の大阪・関西万博開催予定地である夢洲(ゆめしま)と、2024年にまちびらきが予定されている「うめきた2期」でしょうか。この2つのエリアは、更地からの開発、ゼロからのまちづくりになるため、他のエリアとは少し趣が異なっています。

東京に比べて、緑が少ないと言われる大阪

JR大阪駅の北側にあった梅田貨物駅の跡地である「うめきた」。第1期の開発では「グランフロント大阪」が建設されました。そして、次の第2期で目指されているのは「みどりとイノベーションの融合拠点」。開発事業者も決まり、東京オリンピックが終わる2020年秋頃から着工される予定になっています。

このように、「みどり化」がかなり重要な要素として扱われていることが分かります。その心は、成熟した都市には必ず大きな公園があるからということもあるでしょうし、地球環境保護の観点から自然との融合や都市の緑化は重要という見方もあるでしょう。そしてもう一つ、そもそも大阪には緑が少ない、という現状からの改善もあるのではないかと思います。

狭い緑地エリアでギューギューになりながらお弁当を広げる光景を目の当たりにすると、やっぱり、都市の憩いで緑が果たす役割は大きいし、市民ニーズがあるのだと感じます。わたし自身も、“アウトドアはしないけど、青空の下でご飯を食べるのは好き”というライトなアウトドア志向の持ち主です。お天気が良ければ、カフェでもテラス席を選んでしまいます。

そもそもなぜ大阪に緑が少ないのか、ということについては「日本史の謎は地形で解ける」(竹村公太郎 著)にその考察が書かれています。

要するに、庶民の町だった大阪では大きな区画の土地が引き継がれず、人口が増えると、土地が分割され、その狭い空間に人が密集して暮らすことになり、緑地空間が減っていったからということです。

一方、東京は権力者の町。皇居は江戸幕府、浜離宮は6代将軍・家宣の庭園、小石川後楽園は水戸徳川家の上屋敷、新宿御苑は高遠藩内藤家の下屋敷・・といった具合に、かつての権力者達がつくった緑地を国や行政が引き継ぎ、存続できているのだと解説されています。

つまり、統治者がいなかった江戸以降の大阪では、街をデザインをする人がいなかったということかもしれません。行政機構としての大阪市が発達した後は、いち早く地下鉄を開通させたり、御堂筋を作ったりと整備されていきますが、当時、緑化の概念は薄かったことでしょう。

ということで、まさにこれから。ゼロから街をデザインしていくうめきたや夢洲がどんな町になるのか、すでにイメージパースもできつつありますが、緑がたくさんの空間になりそうです。今からまちびらきが楽しみで仕方ありません!

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