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おっパブに行かなかった話

ある年、ボクシング仲間との忘年会であった話です。
トレーナー陣と練習生で、12人くらいいたと思います。楽しい酒の席で、退店時間になっても話が尽きなかったので、二次会に行こうという話になりました。ただ、ボクシングの集まりなのでみんな体重を気にし、「これ以上食べるのはちょっと…」という意見が多数派でした。


二次会はおっパブに行こう

なぜか、チーフトレーナーの発案で、おっパブに行こうという話になりました。おっパブとは「おっぱいパブ」の略で、席についてくれた女性スタッフのおっぱいを触っていい飲み屋さんらしいです。何それこわい。たしかにそれなら、これ以上カロリーを摂取しなくて済みますけれども。
僕は即答しました。「帰ります」
「ちょっと待ってください。楽しいですよ、ノリですよ、みんなで行きましょうよ」
「絶対イヤですが、参考までに、それいくらするんですか?」
「大体8,000円が相場ですかね。1万円はしません」
「はっせ…」
絶句しました。知らない人のおっぱいを揉んで、8,000円も払うのか、と。乗り気の学生連中は、財布の中に万札があるかどうか確認を始めました。友達の言い方が「そんなに高くないでしょ?」っていう調子だったので、こいつらとはボクシング以外ではわかり合えないかもしれないと思った瞬間でした。僕は貧乏育ちなので、お金には厳しいです。ノリでお金を払うことはありえません。8,000円て。10日分の食費じゃねえか。

そもそもなんで揉みたいんでしたっけ?

この時点で僕は行かないことを決定していました。同じように行かない派の学生たちが僕の後ろに付きました。チーフトレーナー率いるおっパブに行く派閥と、僕が率いるおっパブに行かない派閥が対立するような構図となりました。そんなもんの派閥リーダーになった覚えはありませんが。
「えー、寂しいじゃないですか、行きましょうよ」
「いや、そもそも、なんで知らない人のおっぱい揉みたいんでしたっけ?」
「嬉しいじゃないですかおっぱい」
「あまり嬉しくないです。その、女の子が通常は触らせてくれない性的な部位を、自分には許してくれるから嬉しいし興奮するわけじゃないですか?お金さえ払えば誰にでも触らせるのであれば、単にさわり心地がいいってだけで、スライムとかで良い気が」
「スライムwwwwwwwww」
笑うな酔っぱらい、こっちは真面目な話をしている
「それはなんかわかります。でも自分は揉みたいです」
学生が、真っ直ぐな目をして僕に言ってきました。そこまで言うのであれば、僕は止めはしない。せっかく飲み代を払ってやったのに、そんなことに8,000円を払うというのであれば、次の練習でちょっと強めのボディブローを打ち込んでやろうと心に決めた。
「そうか…そうかお前は行って来い。感想を待っているぞ」
「興味津々じゃないですか、行きましょうよ」
「絶対行かないです」

後日談

まぁ、エッチな気分になれたというより、アミューズメント的な方面で楽しかったようです。80kgくらいある女性スタッフを膝に載せて脚がうっ血しそうになった話とか聞いて笑い転げました。
男性客が長いソファーで横に並んで座り、同じ数の女性スタッフが順番に回るシステムだったと聞き、なんだか回転寿司を思い浮かべました。隣のトレーナーがしゃぶった乳首を、ローテーションで洗わずにチーフトレーナーがしゃぶることになり、
「なんで8,000円払って男と間接キスしてるんだろうと思った」
という感想を聞いて、今度こそ息ができないほど爆笑しました。

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