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心療内科医に怒った話

「人の話聞いてました?」って、心の中で思ったことは無数にありますが、面と向かって他人に言ったことは数えるほどしか無く、記憶に残っているのはたった1度だけです。なにしろ、裏を返すと「あなた人の話聞いてないですよね」という意味になりますから。相手の思考を咎める、相当に厳しい言葉です。簡単に使えるわけもありません。

僕は一時期、心療内科に通っていました。
SES時代、自社からも契約先からも無理難題を押し付けられ、評価も給料も上がらないのに毎日23時まで働く日々に消耗していました。僕はボクシングのおかげで根性があり、何度となく訪れたデスマーチも体力で乗り切り、職場でオラつかれてもオラつき返していましたが、さすがにメンタルは疲れていました。限界が来る前に疲れを認め、素直に病院に行ったことで、ダウンすることは免れました。
おくすり手帳を見ると、最後に心療内科に行ったのが2019年9月なので、もう3年以上前なんですね。今の会社に転職して1年で心療内科通いをやめたことになるので、まともな職場にありつくことが精神衛生上とても大切だということがよくわかります。

その心療内科というのが、ちょっとした有名クリニックですが、悪評広めるのが目的ではないので名指しは避けます。
とにかく回転のいい病院で、いつ行っても違うドクターでした。「最近どうですか。眠れてますか」「はい眠れてます」「何か悩みありますか」「ないです」「じゃあお薬出しておきますね」で診察終わりです。僕自身、ドクターに話をしたところで仕事が減るわけじゃなし、忙しくて病んでるんだから早く帰って休みたいので、それでいいと思っていました。
21日分の睡眠薬を出してもらって、疲れたときに頓服的に飲んでいたため、一ヶ月か二ヶ月ごとに病院に行っていました。あるとき、忙しすぎて病院にも行けず薬を切らしてしまったことがありました。そのときに当たったのがそのドクターです。

別に侮辱する意図はないので、ただ事実として述べますが、真っ赤な口紅を引いた派手な化粧の女性ドクターでした。平野ノラさんを彷彿とさせました。今にも机の上の受話器を取り「しもしも?」とか言わないか気が気でありませんでしたが、言いませんでした。
いつもどおり「最近どうですか」の質問から入ったので、ここ最近忙しくて病院にも来れてなかったこと、それで薬を切らしてしまったことを説明しました。無くても眠れることは眠れますが、夜中に起きてしまったり、やっぱり薬があった方がよく眠れますと。ドクターはふむふむと頷きました。また切らしてしまうと困るので、できれば出せるだけ出して欲しいとお願いしました。ドクターは肘をついて、うーん…と悩んだ風な顔をしました。くるっとこっちに向き直り、
「14日分。」
と言い放ったのです。いやいや、
「人の話聞いてました?」
前回21日分出てて、二ヶ月来れなくてお薬切れたから、今度は多めに出してくれたら助かりますって話をしたのに、なんで前回より減るんですか?血液検査の結果悪かったですか?そう聞いたら「あれおっかしいな」みたいな顔して電子カルテをカタカタ操作し出して。仕事に疲れて怒りっぽくなってたのもあり、自分でも驚くくらい面と向かって文句言ったと思います。
例えばね、そこで「35日。」とか言ったら、ブルゾンちえみかな?と思って面白かったんですけど、あんた平野ノラ(似)だろう。すべてにおいて中途半端。
「でも様子見をしたいので14日かなって」
「なんの様子見ですか?すでに前回21日分の処方を受けてるし、血液検査でも何の異常もなかったんですよね。21日分を二ヶ月かけて飲んでますし」
「…。」
なんか黙ってしまったので、言いたいことを言いました。
「百歩譲って21日分のままならわかりますけど、減るのは全く理屈に合わないです。また来ても結局『お変わりありませんね、お薬出しますね』なんですから、出せる量出してくれませんか?仕事忙しくて心療内科通いしてるのに、休日を潰したくないです。本当に21日分がマックスなんですか?」
ドクターの横で記録をとっている事務っぽい人も、おろおろして僕とドクターを交互に見ていました。ここまででいつもの倍くらいの診察時間がかかっています。ドクターも何を納得したのかわかりませんが、28日分出すと言ってくれました。しもしも?

あまりにも不可解な診断だったので、受付の人に小声で苦情を言いました。
言いづらそうに「実は非常勤の先生でして、当院とポリシーが合っていないということが、現実あり得るかもしれません…」とかもごもご答えていました。ドクターのせいにすんなよ、とちょっと思いましたが、本当に彼女が独自路線に走った可能性は否定できないので、納得しました。次の予約から、「常勤のドクターなら誰でもいいです」と言うようになりました(今思えばそれもおかしいんですよね。なんで担当医が決まってないのか)。

今ググったら、投薬制限というものがあるようですね。
睡眠薬(2) - ドクターズプラザ
これに照らし合わせても、「14日分。」はおかしな診断結果だったと言わざるを得ません。ていうか30日分出せたんじゃないか?

一読したきりで細かい内容は忘れましたが「精神科は今日も、やりたい放題」という本があります。心療内科通いしている人は一度読んでみた方がいいと思います。
要点は、心の病は治ったのかどうか、ドクターも本人もよくわからないということではないでしょうか。多少診断が間違ってたところで、誰にもそれがわかりません。「なんかこのドクター変なこと言ってるな」と思ったら遠慮なく突っ込んで聞くことです。
僕は自分のメンタルが疲れている理由を、会社や家庭にあることをわかっており、医者が根本解決してくれるわけがないことを承知していました。医者がホワイトな職場を用意してくれますか。円満な家庭を用意してくれますか。医者が対症療法してくれている間に、自分で根本解決する道を探すしかないのです。どうにもならない問題も、食って寝てまた挑んでいく気力と体力を戻して、いつか根本解決できるように種を巻き続けるのが良いでしょう。だからこそ、その対症療法を渋る医者とは距離をおかなくてはなりません。

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