太陽の塔


眩しかった。

憧憬に似たしめつけるおもいだけが、僕の胸を支配した。

それは全てをのみこんだ。


ジュラルミンの盾も。


村正の真っ赤な背中も。


幻想の中の故郷さえも。






#詩
#太陽の塔

・追記

彼は70年初期の学生運動で親友をうしなった。

結局あの夏、大阪万博には行けなかった。

彼は、お飾りでしかなかったはずのあの塔を見てみたかった。一目でいいから。

その願いは彼が革命に敗れてからひっそりと叶うのであるが、そのことは誰も知らないし、知らなくていいことだ。


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