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小説『億男』

川村元気の『億男』。

主人公の一男は宝くじで3億円を当てるも、
学生時代の親友である九十九に盗られ、
逃げられてしまう。

弟の肩代わりした多額の借金の返済をして、
家族とも元の関係に戻って、
幸せになれるはずだった。

しかし、逃げた九十九を探すため
九十九を知る3人の話を聞いていくうちに、
大金で得られる幸せについて考えるようになる。

私はお金に執着して生きてきた。
主人公と同じように、
父の借金を巡り揉めて、
家族のかたちが壊れたからだ。
大金があったら幸せになれる。
そう思い込んで生きてきた。

高校生になってアルバイトを始めるやいなや、
シフトをたくさん入れて稼ぐことに必死になった。
すべてはお金のために。

でも、その生活で得た幸せとは何だったのだろうか。
もしかしたら、あんなに必死になって働かなくても
良かったんじゃないか?
むしろ、勉強や遊びに力を入れられたんじゃないか?
なんて思わされた。

何より、家族のかたちが壊れたのは、
借金だけのせいではなかったんだと
本作品を読んで気づくことができた。

「もしあなたが本当に望んでいるなら、お金がなくても私たちはやり直せたはず。」

たしかにその通りだと思った。
母と父のすれ違いが大きな原因だったんだと。
だって、今はもうすっかり縁が切れてしまったんだから。
借金していなくたって、とっくに終わっていたんだと思う。

もう私はお金に執着する必要がなくなった。

もちろんお金は大事だけれど、
人間の心を満たすのはお金じゃない。
そう思えただけでも、
本作品を読んだ甲斐があったと思う。

映画化されていたようだけど、
日本の映画はまさにお金のことしか考えられていないような気がするので、観ないでおく。

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