國分功一郎 『スピノザ 読む人の肖像』読書会レジュメ(2023/10/8)2/3

2章 準備の問題

●『知性改善論』
準備の問題 準備の無限遡行
準備→ 準備のための準備→ 準備のための準備のための準備……

方法の三つの形象  道具・標識・道
・道具… 知的道具としての方法 →それを作るための道具 に遡行してしまう

・標識… それに照らせば知の確実性が確認できる基準・標識
(例 明晰判明 マニュアル)
→その基準・標識の真理性を確認するための別の基準・標識が必要になる

認識が真であることは、認識することの中で認識と同時に確かめられる p93
→ 公共的な真理はあり得ない (分かった奴だけ分かる)
観念の外側に真の基準を置くことができないので、そうならざるを得ない。

・道(スピノザの方法)
方法≠それに従えば物事を進められるマニュアル
観念Aを駆動させて観念Bを導きだしていく。そのように観念Bが獲得された時、観念Bを導き出す行為によって観念Bが真であることが保証される。
観念を獲得する道(方法)はそれを獲得する行為と一体のものとしてある。p97
→ 道は真なる観念を与えるだけではなく、我々がどんな理解能力を持つかを教える方法でもある。 (認識そのものについての認識=反省的認識)

然るべき順序について
然るべき順序はいったいどこから始めるべきか →最高完全者の観念 p100
然るべき順序とは →発生の秩序に従って諸々の観念を導き出すこと p105

発生的定義 (存在に追いついた観念)
定義は「事物の内的本質」を明らかにするもの
→ 特性ではなく、それがどのように発生するか、によって定義する
円の例
× 中心から円周へ引かれた諸線が等しい図形
○ 一方の端が固定されていて他方の端が運動する線分によって描かれた図形

→しかし、神は発生的定義によって定義づけることができない。 p107

・知覚の四様式
1聞き覚え 2漠然たる経験 3推論 4本質の認識

●『短論文』
『デカルトの哲学原理』に反して、「神が存在すること」「神とは何か」の順に論じる。

『短論文』の神…
無限数の属性を有する。無限個ある属性の中に存在なる属性も含まれている。
『エチカ』の神…
無限に多くの属性からなる実体、と定義されるが、神の属性は存在のようなものではない。

・悪魔について
悪魔… 神と完全に相反するものであり、神からいかなるものも受け取っていない何か。
→存在を維持するには外部から何かを受け取らねばならないが、それをしない。
→存在しえない

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