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ノルウェイの森

母がいよいよ危ないというので実家に帰省してた。

母は病院。家にはいない。

当時やってたバンドでこの曲やるはずだった。

ぼくはメインボーカルとブルースハープ。ハープのキィはDだったかな。

気を紛らせるため、母のいない家でブルースハープちょっと吹いてみた。音しなかった。

この曲の世界;

出会ったばかりの女の子の部屋に上がり込む

「どこでも好きなところに座って」彼女は言った

でも、椅子はない

仕方ないからラグに腰をおろし、彼女のワインを飲んで

待つ。その時を

やがて彼女は

「もう寝なきゃ」よっしゃー

「あした朝仕事なの」笑ってる

なんじゃそりゃ

「ぼくはひまだよ」言ったものの、結局バスルームで寝るはめに

起きたら、彼女はいなかった


This bird has flown
So I lit a fire
Isn’t it good Norwegian wood?

ラスト3行、文字通り訳すと

小鳥は逃げちゃった
そしてぼくは火をつけた
ノルウェイ風の部屋って、素敵だよね?

Norwegian woodをどう訳すかは自由なんだけど、母が生死をさまよっているあの時、ぼくは次の感じで理解してた。

母は旅立った
そしてぼくはハープを吹いた

(母のいない家は、行ったこともないし想像すらできない)ノルウェイの森

あの日、ぼくは予感していたのだろう。

この家に二度と母が帰ってこないことを。

そしてそれは、家がまるで知らない国の森のようになってしまうことを。

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