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建築や空間で、コミュニケーションの迂回路をつくる。

ぼくは、もともと建築を勉強していて、今は団地をつくったり、直したり、壊したりする仕事しています。
思うところあって、
「書く」を学び合い、「書く」と共に生きたい人の共同体「sentence」に参加し、
ちょっとずつ「書く」機会を増やしている今日この頃。

今回のnoteは、
そのsentenceさんでおこなっているadvent calender企画に参加して、今年のふりかえりと来年の指針にしたいこと、来年やることを書いていきます!

**目次
①今年のふりかえり「心を動かされたこと」
 1-1 批評家・作家 東浩紀さんインタビュー
 1-2 TOKYO WORK DESIGN WEEK 2018 鼎談「これからの都市、新しい経済」
 1-3 建築/空間を用いた調査研究機関「Forensic Architecture」

②来年について「屋上の空間的な魅力を伝えること」**

①今年のふりかえり「心を動かされたこと」
 1-1 批評家・作家 東浩紀さんインタビュー

一つは今年の11月にでた『文學界 12月号』のインタビュー。

特集が『書くことを「仕事」にする』で、
批評家・作家であり、株式会社ゲンロンの社長である、東浩紀さんのインタビューに感銘を受けました。

文學界 12月号
『職業としての「批評」』より

東さんは、批評家を「本来は存在しえないはずのコミュニケーションの回路を作る人たち」定義していらっしゃました。p12

東さんはtwitterでもつぶやいて。

自分もそのような側面があるので反省しなければいけないのですが、
今の世の中は情報が溢れかえっていて(それが直接の原因なのかはわからないけれど)実際に見たことがなくても見た気になるし、やったことがなくてもやった気になってしまう人が多い。

どういうことか、ちょっと考えてみます。
たとえば、目の前にヤカンがあるとする
それをどう捉えるか、どう見るか。

「見えるもの・すぐ分かるもの」としては、白いとか、メーカーの名前、柄とか。これだけだとカワイイぐらいのコミュニケーションしか生まれないのかもしれない。

さらに、「触ってみる・持ってみる」ことで、熱いのか、重いのか、水がどれだけ入っているのがはじめて分かる。
 そこで、はじめて別様のコミュニケーションの回路が開ける、もっと豊かなコミュニケーションが生まれるんじゃないか。

ただ、迂回路をつくるにも色々ある。具体的にどういうことなのか、さらに自分に当てはめてどうすればいいかはまだ答えが出ていません。

**1-2 TOKYO WORK DESIGN WEEK 2018 鼎談

「これからの都市、新しい経済」**

ここでおもしろいなと思ったのが、
今年11月に開催されたTOKYO WORK DESIGN WEEK 2018の中のプログラム「これからの都市、新しい経済」というタイトルで行われた、

SPEAC共同代表/東京R不動産ディレクターの林 厚見さん と
黒鳥社 編集者/『WIRED』日本版 前編集長の若林 恵さんの鼎談。

建築を勉強してきた身としては(今も建築系の仕事ですが)、都市とか空間とか建築の話はとても興味があり、かつおもしろく拝聴していました。

↑会場でグラレコ(中尾仁士さん作)が書かれていたのでこっそりシェア。すごい!!

一番おもしろいなと思ったのが

「いろんな問題は(特に都市や街の問題)、空間を用いたら解ける話がけっこうあるんじゃないか」

と林さんがおっしゃってたこと、
さらに、

「個々のissueよりも、Vision(ストーリー、絵姿)から考えるのがいいんじゃないか」

ということ。

たしかに、どういう空間を街につくって行くのかを考えることは、
どういう人材を街に呼び込むかを考えることとと同義なのかも。

当日も話題になっていたのですが、
たとえば福祉のことを考えた時に、
現状は制度設計に留まっていて、各論(保育の話や介護の話など)がバラバラに取り扱われています。
しかし、総論(空間のイメージ)から、
子どもが街のどこにいて、その近くにおじいちゃんおばあちゃんがいて、という設計をした方が解けることもあるんじゃないかと。
空間を用いてコミュニケーションの迂回路をつくるのであれば、このようなことがありうるかもしれません。

**1-3 建築/空間を用いた調査研究機関

「Forensic Architecture」**

また、本来の存在しえないはずのコミュニケーションの回路を、空間を用いてつくっていると思われるのが、forensic architectureです。
このチームの活動にも今年、度肝を抜かれました。
英語苦手なので、リンクを貼るのにとどめますが気になった人は詳細を見ていただければ。

↑リンク先
Eyal Weizman “Forensic Architecture VIOLENCE AT THE THRESHOLD OF DETECTABILITY”書評より

建築家、ソフトウェア・エンジニア、映像作家、ジャーナリスト、弁護士らを擁し、Amnesty Internationalなどの名だたるNGOと協働する彼らは、ゴールドスミス・カレッジを活動拠点とするイギリスの研究機関である。若干15名程度の彼らが取り組むのは、例えば国境警備隊によるデモ参加者の射殺疑惑、アレッポの病院に対する執拗な爆撃の解析、パレスチナを襲った空襲の被害測定など…。つまり、人権の侵害が疑われる事件の調査だ。
〜中略〜
ここで彼らが素材として用いる「メディア」は、事件現場から投稿・拡散された写真や動画なのだ。まずインターネットを通じて収集したメディアが、どの場所から/どの時間に/どの画角で撮影されたのかを特定する。
そうして得られた複数の情報の、いわば空間的・時間的な“視差”を用いることで──事件が発生した瞬間を三次元的に再構成するのだ(書影のイメージがそれだ)。

彼らはインターネットの投稿された写真や動画、もしくは証言等のバラバラになってしまった情報を空間的に統合することによって、本来存在しえないコミュニケーションの回路をつくっています(見えていなかったものが見えてくる)。
実際、彼らの作品が国連などの人権侵害の国際裁判に使われているとのこと。

**②来年について

「屋上の空間的な魅力を伝えること」**

Forensic Architectureには足下にも及ばないですが(笑)、ぼく自身来年は屋上にまつわるプロジェクトを始動させる予定です。
屋上のおもしろさ(奥行き、豊かさ)を伝えること、それも建築的に、空間的な側面を伝えることができれば。

最近は屋上が活用されるようになり、
バーベキューをやる場になったり、フットサル場になったり、ビアガーデンの場になったりと、コンテンツを突っ込むハコの役割を担う側面が増えてきました。

ちょっと前にも書いたように(↑)屋上の魅力ってもっと色々あるはずで、来年はそれを伝えていくことをしていきます。

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