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鶏白湯で整うまで

昨日は山に登った。普通の小さい山。
そして、山歩き後の食事は何故かラーメンとだいたい決まっている。今回は少し気分を変えて、山近辺の村人に人気のある店を訪ねた。全国的な認知はされていないものの、地域では何店舗か展開している老舗店。しかも都内みたいな大行列は無く、すんなり入れてしまう。田舎のそういうところ好きよ。

一人なのでカウンターへ通される。有名店らしく、厨房の中はピリピリと緊迫しながらも、お客様への愛想や声出しなどでポジティブな活気を感じさせるやり取り。これも味に影響する重要なエンタメ要素だ。そういえばかつて、二郎某店で店主夫婦がバイト君を叱責し続けるのを聞きながら山のような麺を啜った事もあった。ラーメンはうまかったのだろうが、あれは苦行でしかなかった。

完璧な絵面!

ハイ、鶏白湯ラーメンとオススメの有料トッピング、半ライス。
あ、今時のラーメンってこんなに美味いのか!とビックリするくらい斬新だった。
自宅だったら絶対、最後このスープにご飯ぶっ込むだろうな。
量もちょうど良かった。ぷはあ最高。

まるでこれは、二郎乃国という閉鎖的独裁国家から自由の国・ラーメン合衆国への大海原へと舟を繰り出してしまったかのような経験だった。山田拓美総帥を仰ぐ敬虔なジロリアンから後ろ指差されようとも、おれは甘美な世界をもう一つ知ってしまったのだ。知ってしまったことを消すことは出来ない。
ちょっとくらい浮気したっていいじゃないか。
マップは同じだけど、鍵をもらったら入れる場所が増えたダンジョンみたいな気分だ。
これからはより広くなったフィールドで、至極の一杯を求めておれはより一層と迷い続けるのだろう。

それから温泉に行った。
大浴場は少々ぬるめだった。
サウナはガテン系のじじいどもが占領していたが、空きスペースを見つけて潜入。これもぬるめだったので10分ほど頑張り、汗をかけ湯で流してから水風呂へ頭のてっぺんまでダイブ。このルーチンを何度か繰り返した。
整う、という感覚はまだよく分からないのだが、体の芯が熱い状態で水風呂に入った時の毛穴がキュッと閉じる感じ、もっと言うと全身から汗をかいた体を刀鍛冶のように水にジュッと浸けて冷やす感じ?そうすると自分が借りてきた身体のような、REBOOTしたような気分になった。
そういうことにしておこう。