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日本のGDPはどうなるのか(その5)

日本の国際競争力は急速に低下していると言われています。
欧米の先進諸国と差を開けられているだけでなく、中国、インドなどと比べても劣っている分野が見られます。
日本は世界の中で、どのような立ち位置を目指すかを明確にする必要がある時期に来ていると思います。
今回は日本のGDPがどのようになるかについて書いてみようと思います。

5.アジアの中の日本


長々と書いてしまって申し訳ないとは思うものの、念のため、一人当たり名目GDPについて、日本がアジアでどれくらいの位置にいるかを説明しておきましょう。

アジアの一人当たり名目GDPの2000年から2021年の推移を示したのが図5です。

【図表5:アジアの一人当たり名目GDPの推移<単位:米ドル>】

出所:UN

アジア圏のトップはシンガポール。2021年度は6.7万米ドル(150円/米ドルで換算すれば1,050万円)なので日本の1.7倍です。
日本はシンガポールに次いで2位です。が、シンガポールとの差は年々広がっているように見えますね。

韓国は3位です。安定的に上昇しているから、数年したら日本を抜いてアジア圏では2位になるでしょう。

4位はブルネイです。過去には日本を抜いて2位になった時期もありました。
ブルネイを知らない人もいるかもしれません。ブルネイはカリマンタン島(マレーシアやインドネシアがある島)の北部に位置する東南アジアの国です。鉱物性燃料(石油・液化天然ガス等)が主な輸出品目です。
筆者は「ブルネイがどんな感じか一度見に行ってみよう!」と思ったことがあります。観光地などを探してみたものの、全く興味を惹かれるものが無かったので止めたことがあります。

さて、アジアにおいても世界と同じことが言えます。

つまり、一人当たり名目GDPが高い国は人口が少ないのです。
シンガポールは564万人、ブルネイは44万人しかいません。人口が少ないから経済規模としては大きくないものの豊かな国になります。
世界中から富裕層の多い国と認識されているのは小国です。

6.総括


ここまでの話を纏めてみましょう。
国力は以下の計算式で表すことができます。

GDP = 1人当たりGDP × 人口

中国やインドのように人口が多い国は経済規模が大きくなりやすいものの豊かさ(1人当たりGDP)は伸びにくいでしょう。
逆に、シンガポールやブルネイのような人口が少ない国は、経済規模は小さいものの国民は豊かです。

私個人としては、日本国民一人一人が豊かになれば日本のGDPが伸びなくても構わないと思います。

人口減少過程に入っている日本は、移民などで人口を増やす大国モデルを目指していくか、人口は少なくても豊かな小国モデルを目指していくかを決めないといけない時期にあると思います。

<おわり>

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