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『ピサの斜塔、斜め45度事件』 短編小説

「ここで速報です。あのイタリアにある有名な建築物“ピサの斜塔”が、つい先ほど突然45度まで傾いてしまったようです。現場付近では入場規制が行われているようです。おっと、中継が繋がるようですので繋いでみましょう。現場の斜木ななめぎさん」

『はい、現場の斜木です。私はたまたまイタリアを優雅に旅行中だったのですが、ピサの斜塔が45度まで傾いたということで、リポーター魂に火がつき、休暇そっちのけで現在中継を繋いでおります』

「まじっすか。そりゃどうもお疲れ様でございます。入場規制が行われているということですが、現場はどのような状況になっていますか?」

『現場では警察車両が多数止まっており、多くの警察官が現場の対応に当たっています。ピサの斜塔の今にも倒れそうな斜め具合に、涙を流す者や発狂寸前の者まで、多種多様な人間が入り交じっており、警察もだいぶ苦労している様子が見受けられます。もはや世紀末って感じです』

「なるほど。世紀末ですか。なんだかとってもヤバそうですね。」

『はい。中々にカオスな状況となっております。近くにいた人にインタビューしてみたところ「なんてこった、そんなのあんまりだよ(涙)」、「あれヤバいっすよね(笑)」等、喜怒哀楽が噴水のように溢れていました』

「インタビューまでしていただいて。どうもサンキューです。そういえば圧倒的余談ですが、斜木さんの苗字には“斜”の漢字が含まれていますが、何かこの斜塔に対して思う事はあったりしますか?」

『そうですねぇ。ありますね。ありすぎますね。もはや仲間みたいなもんですからね。同じ斜め同士、お互い斜めに生きていこうぜって一方的に約束していたんですけど、まさかここまで斜めになるとは思いませんでした。斜めも度が過ぎれば斜めじゃなくなっちゃいますからね。なんとか彼にも斜めのままであり続けて欲しいなと思う次第です』

「やっぱりそうですよね。そうなりますよね。もはやそうならざるを得ないですもんね。はい。また状況が変化しましたら中継を繋いでいただけますか?」

『はい、まだ数日はイタリアに滞在するつもりなので、状況が変わり次第また中継でお伝えします。現場の斜木からは以上です』

「斜木さん、休暇中にも関わらずどうもありがとうございました。いやー驚きましたね。まさかピサの斜塔がこんなことになってしまうとは。世も末ですね。はい。そんな感じで現在も倒れることはなく、斜め45度のポジションでなんとか踏ん張っているようです。今後の動向が見逃せません」

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