くまちゃん

なんかかく

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最近の記事

ショウキさん

これは私が変なバーで働いていた時の話である。 変なバーと言っても別段怪しい店ではなくて、大雑把に言えばコンカフェに近い形態なんだと思う。 自分たちより10くらい歳上の女店長と、5〜6人のキャストが在籍しており、半分は男の子だった。 店長は宮崎あおい似のなかなか気が強い人で、常連客のほとんどは店長に弱かった。 余談だが、自分の経験上宮崎あおいとかYUKIに似た雰囲気の顔の女は高確率で気が強い。 私がショウキさんに初めて会ったのは、入店して間もない頃だった。 彼は店長目当ての客

    • 鐘憬

      家電とか給湯器でやたらお喋りなやつとか、音楽が鳴る機種がある。 でも自分が今まで住んだことのある家にそのような給湯器はついていなかったし、手持ちの家電にもそういうのはひとつもない。 給湯器も電子レンジも炊飯器も洗濯機も全部、うちにある物はピーピー鳴るだけで味気ない。 同時に使おうものなら何が鳴っているのかわからないことすらある。 通話越しなどで、他人の家の喋るタイプのお風呂が沸いた時は羨ましいとすら感じるし、久々に実家に帰った時は新しく買い替えた電子レンジから陽気な音楽が流れ

      • 花を飾る

        花瓶に花を生け、部屋に飾ること。 特別なことではないけれど、高尚で豊かな生活の象徴だと思っていた。 何かに使うわけでもなく食べられもしない花をわざわざ買ってきて、専用の花器に生けるわけだから。 ある時、それまで花を飾る習慣がなかった私は、今まで気に留めたこともなかった近所の花屋で花を買った。 きっかけは何だったのか忘れてしまったけれど、暖かくなりはじめた頃で機嫌が良かったのかもしれない。 丸い花弁が幾重にもふんわりと重なった、ラナンキュラスという大ぶりの白い花を選んだ。 花瓶

        • 沸騰おばさん

          あれは確か中学の頃の、家庭科の授業だったと思う。 その日は味噌汁を作る調理実習で、火にかけた鍋の湯が沸くのを同じ班の生徒と待っていた。 すると先生が来て、鍋を見るなり「もう沸いとるで!」と私たちに怒鳴った。 鍋を確認すると、底の方から小さな気泡がぷつぷつとまばらに浮き立っているような状態だった。 沸騰といえば、水面がぐらぐら揺れて大きな気泡がとめどなく沸き立つ様子を想像していた私たちは、納得がいかないまま鰹節の出汁を取ったのであった。 おそらく先生は本当にあの状態を沸いている

          6:16

          レースカーテンから青白い光が透けて見えます。 カーテンをめくって窓を開けてみると、微かな春の香りがして、室温より少しつめたい風が肌に触りました。 季節特有の空気の香りがあると思いますが、春は殊更良い匂いがします。 今日のこの空気を私がいちばんに吸い込んだような気になって、それからシャワーを浴びてベッドに潜り込み、爽やかな一日の始まりは台無しになるのです。

          星の瞬き

          某アイドル育成リズムゲームアプリの話です。 本日で9周年。 最近はそれほど熱心に作品を追っているわけでもないし、アプリなんてほとんど触っていません。 しかしとても思い入れのある作品の記念日なので、今日はここでそっとお祝いをさせてください。 最初は、身の周りの友達がこぞって始めていたので自分もなんとなくインストールしてみたという記憶です。 それまでこういうアイドルコンテンツには全く手を出したことがなく、イラストが好みだというだけの軽い気持ちで始めたのですが、同時期に始めた誰より

          盛者必衰

          何かにつけて大盛りを選んできた人生でした。 何を食べるにしても、とりあえず大盛りで注文する。 初めて食べるもののときは、食べ切れるかな〜?などと不安に思うのですが、実際に食べきれなかったことはほとんどありません。 犯罪以外ならご飯を残すことがこの世で一番悪だと思っている節があるので。 ともかく、それで苦しんだことはあまりなかったし、なんなら足りないこともありました。 普通盛りですら食べきれない友達が信じられませんでした。 家でご飯を食べるにしてもデフォルトが大盛り、というより

          いい匂いのものランキング

          突然ですが本日は、個人的ないい匂いのものランキングを考えてみたので発表させてください。 選定条件はいつ嗅いでもいい匂いであること、身に纏いたい香りであることの二つです。 本当は湿布の匂いとかケーキ屋さんの匂い、炭火の焼肉の匂いなども好きなのですが、纏いたいではないので今回は対象外とさせていただきます。 では早速。 第5位 FIANCEE ボディミスト ピュアシャンプーの香り 5位は、どこでも買えるあれです。 駅とかロフトに売ってがち。 どこでも買えすぎるので身につけたい度は

          いい匂いのものランキング

          ネイリング

          ネイルを塗ることをネイリング、とかそういう言い方をするのかどうかは知りません。 ここ数年ネイルにハマっています。 ハマっていると言っても、熱心に手入れをしているとかサロンに通っているとかでもなく、自分で単色のポリッシュをべたっと塗って終わりなのですが。 最近はマニキュアって言わないんですよね。 ネイルポリッシュって言う。 みんなそう言ってるから、私も倣ってそう言っておきます。 それまでネイルに興味がなかったというわけでもないのですが、昔のポリッシュは今のものより圧倒的に乾きに

          ネイリング

          バッドコミュニケーション

          他人と会話をすることがなかなか好きです。 かつては苦手だったし下手だったし、その上人見知りもありました。 しかし接客販売をしていた頃、強制的に会話をしないといけない、明るく振る舞わないと怒られ人格否定されるような職場で揉まれ、今では随分楽しく会話ができるようになったような気がします。 これが本当の自分なのか?というと疑問ですが、元来は面白いことや楽しいことが大好きな性分なので、それを表に出せるようになったのは良いことだと思っています。 相手の方からいろいろと話してくれる場合、

          バッドコミュニケーション

          秋のくる頃

          冷やし中華が大好きです。 しかし世間的には、麺類界で最弱と言っても過言ではないほど人気がない麺料理だと思います。 というより、みんな夏が過ぎると同時に存在を忘れ去ってしまうので、麺類人気ランキングには参加すらできていないのかもしれません。 一年中出してるお店なんて見たことないし、家で作らない限りは夏しか食べられないものなので。 でも夏以外は食べたらダメなんて、そんなルールはないので、私は一年中いつでも食べたいです。 季節外れな話題だな〜と思われるかもしれませんが、あえてこの寒

          秋のくる頃

          泳遠少女の思い出

          swimmerという雑貨ブランドをご存知でしょうか。 言葉で説明するなら、ファンシー、ポップ、レトロ、そしてチープでキッチュ、そんな感じの独特の世界観を持つプチプラ雑貨ブランドです。 私は小学校低学年から専門学校に入る頃までこのブランドの雑貨集めに傾倒しており、鞄、財布、文房具、靴や服、食器、なんでもあったのでなんでも買った覚えがあります。 とはいえ私が生まれ育った田舎にswimmerの直営店など存在しなかったので、それほど大きくもないショッピングモール内の、小さいセレクトシ

          泳遠少女の思い出

          魅惑の角

          小さい頃からの癖なのですが、布を重ねて縫ってあるような硬い部分をいじくりまわすのが大好きです。 具体的に説明すると、親指の腹と人差し指または中指の中節でその部分を挟み、永遠に捏ねる作業が好きです。 これまで数多のタオルの角から枕カバーの角、ぬいぐるみの耳、さらには服の袖やら制服のファスナー部分まで、いろいろなものを弄り倒して破壊してきました。 この、角を捏ねる、という行為からしか得られない快感や安心感のようなものが確かに存在します。 私にとっては。 あまり同じような人には出会

          破れ鍋に綴じ蓋

          こんな言葉がありますが… 私のBluetoothイヤホンはケースの曲面に充電端子の差し込み口がついているので、なかなか充電が上手くできなかったりします。 角度を試行錯誤して差し込んでみたり、認識したらその角度で固定しておかないといけない。 明らかな設計ミスじゃん!と思っていたのですが、うっかり踏んで曲げた端子を試しに差してみたら一発で認識して、しかも多少動かしても接続されたまま! もうこれ専用にしようと思っています。 こういう時に使う言葉ではないように思うが、破れ鍋に綴じ蓋、

          破れ鍋に綴じ蓋