見出し画像

昔の看板が右から左へ書かれていた訳

 普段ぼくらが、目にする看板や標識は、文字が左から右へ進む。いわゆる横書き文字である。

 今書いている書き方がまさしく横書きである。

 子どもの頃、年季の入った昔からある店の看板の中に、横書きだが、文字が右から左に進むものがあった。子どもながらに、なぜ反対に書いているのだろうと不思議に思ったことがあった。

 あの頃は、ふしぎだなと思っても、それがなんでそうなっているのかなど考えずに、不思議は不思議のまま留めていても問題なかった。そして、そのうち、そのこと自体を不思議と持ったことも忘れていた。

 この間、金田一秀穂さんの『ことばのことばっかし』を読んでいたときの話である。

横書きの場合、日本語は、左から右へ書いていく。古いものは右から左へ進む。縦に一字書いて、次の行に書く、というカタチをとるので、右から左になる。

 縦書きスタイルで、一字書いて改行、それを続けていくと、確かに右から左へ文字が進んでいく。なるほど、縦書きだから、右から左に進んでいくのか。あの看板は日本語として正しい書き方をしていたんだと、今になって気づく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?