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取締役会事務局は、案外やること多い

ここ2年ぐらいで色々やってきたが、取締役会事務局というのはなかなか深くて、責任があって、やることの多い仕事である。とはいえ、ただの会議体運営と変わらない部分も多く、法務がやるべきことなのか?という疑問はあるが。

●ペーパーレス化
コロナ前に導入。大量の資料を全部印刷して配布していたのを廃止。参加者側からは若干不便になったと思うが、共有のGoogle Drive にアクセスすれば良いだけのものを印刷するデメリットが圧倒的に大きかった。差し替えも容易になった。

●議事録クラウドサイン化
取締役会で説明をした上でクラウドサイン化を進めた。それまでは、次回の取締役会で押印していたが、コロナ発生により集まることがなくなったため、電子契約で対応することとした。

●資料送付の早期化
社内規程上では、3営業日前に取締役会資料を送付することになっていたが、資料も含め2営業日前に送付していた。社外役員等からも、資料はできるだけ早めに送ってくれと言われていたので、これを是正。

とはいっても、ギリギリまで更新する資料もあるので送付回数が増えたという意味では、事務局側の負担は増えた。パスワード掛けて資料ちまちま送るより、Google Drive上の資料を整理して、最新にしておくのほうが見やすいし、事務局も楽。

●議案サマリ作成義務化
何で取締役会に上がってきたのか分かりづらい議題が入りがちだったので、提案取締役/提案根拠/決議目的等の起案事項を整理したサマリ作成を義務化。

●議事録記載 充実化  / 添付資料簡易化
もともと結論しか書いていなかったが、過去の指摘が生かされないことも多いため、特に社外役員の発言。懸念点などはある程度しっかり残すように改善。事務局の負担はかなり増え、議事録作成が数カ月かかる事態も頻発したが、優先順位を見直し、改善済み。

他方で添付資料はそれまで全部載せていたが、決議事項と直接関係のない参考資料の添付は外すことにした。紙であっても電子であっても大きくなりすぎる事を避けるため。

●社内役員内で事前擦り合わせのオペレーション追加
議長である代表取締役と社内の取締役の認識が擦りあっておらず、取締役会上で、侃侃諤諤の議論を始めることに社外役員から苦言を呈された。社内役員同士の認識は、しっかり揃えるように執行役員会等で「取締役会議題の確認」をする議題を入れてもらった。

●タイムテーブル作成
重要性の大小にかかわらず、議論が長引くことが頻発。2時間で設定していても4時間近くになることも…。というわけで、議題毎に発表時間と質疑時間の目安を記載したタイムテーブルを作って配布することにした。

それでも重要議題の場合は、大幅に時間を超える事はあるが、サクサク進むところは進むようになり、オンタイムで終わることも大分増えた。

●取締役会実効性評価
コーポレートガバナンス報告書に書きたいという気持ちと、社外役員からの要望を受けて実施した。私の上司とともに、アンケート&インタビューを全役員に対し一人ずつ実施してなかなか大変だったが、役員の本音が聞ける貴重な機会となった。

●参考書籍
取締役会事務局をピックアップしたニッチな書籍が最近出版されたが、非常に面白かった。各社、議題はどれぐらいあって、どれぐらい時間がかかっているのだろう? 資料のボリュームはどんなものだろう?
気にはなっていたが、世の中にそういった情報はなかったと思っていた。

商事法務がまとめてくれた。ありがたや。
取締役会でのお菓子は、こんなのがいいよ、という超ニッチな情報までカバーされていて楽しい一冊。オススメ。


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