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法務の役割

今回は、法務自身が法務の仕事をどう捉えて、何をやっていくべきか考えたことについて記している。法務と縁のない人には、伝わりづらい話だが、誰にでも分かるように書いたつもりである。

法務って何?

「法務をやっています」と言っても、ピンと来てくれない人も多い。

「ホーム…?」

「会社内の法律関係の仕事…例えば契約書チェックしたりとか」

という補足説明をしたりすると、なんとなく伝わるが、これは本質ではない。

求人を見たりしていると「上場準備」の前後あたりで「コンプライアンス体制の強化」が必要になってきて、初の法務専任者を立てるパターンが多い。

会社は上場するとそれだけで様々な制約が増え、監視の眼も増える。ちょっとしたコンプライアンス違反も目立つようになる。

そんな中、適切に法的な課題を解決して、地雷を避けながら事業を推進していくには外部の弁護士だけでは十分とは言えない。

そこで「法務」というポジションを置くことになるわけだ。「法務に」求められているのは、大ざっぱに、広めにいうと「適切な(主に法的な)リスク管理」だ。

法務の優先順位

例えば、それまで法務のなかった数百人規模の会社に、初めての法務専任者として迎え入れられた場合、何をすべきかということを検討する。

一般的に法務が担当しうる仕事は、主なところで以下の通り。

・契約書の確認
・契約書の作成
・社内の法律相談
・コンプライアンスに関する社内研修講師
・コンプライアンス体制の運用、整備
・弁護士、関係省庁との折衝
・知財関連
・取締役会、株主総会の運営・事務

こちらの記事にもよくまとまっていた。

法務のない会社でも上記業務は基本的に存在するので、事務作業としてできるものは総務がこなし、それ以外の専門的なものは弁護士に相談するという体制が多い。

法務のない会社は、法的義務のないもので、かつ、弁護士等に依頼するにしては細かすぎるものが放置されていると考えられる。

そうなると、ノーチェックで通されている契約書の確認だったり、コンプライアンス教育だったりが未開の地で、かつ、取り掛かりやすいところと言えそうである。

しかし、それも必ずしも正解ではない。

法務はリスク管理全般が仕事

もともとノーチェックの契約書をチェックすることで確かにリスクは下がるだろうが、そのリスク低減量は微々たるものである。契約書チェックに時間を取られ、他の重要なリスクを見逃してしまうのであれば本末転倒。

仮に「会社全体のリスク管理」がミッションであるとすれば、まずは会社全体のリスクを把握して、優先度をつけて、順に手当てしていくのが正しい手順だ。

ここで、法的視点はマストではあるが、法的視点以外も入れなくてはならない。世間様は厳しいので、法的には問題なくても「これっておかしくない?」って事があれば容赦なく燃やされてしまう。

法務は、他社の炎上事案を研究し、世の中の「社会通念」がどうなっているかに敏感であるべきだ。ここが難しいところであり、頭が凝り固まっていると見逃しちゃうリスクになるのである。

こういった視点で「自分一人しかいなかったら、自分はこれをここまでやるべきで、これは捨てるべきである」という整理をすることにより、法務としての価値・役割を自らハッキリさせる作業というのは大事だ。

「契約書は法務が全件チェックするものである」という固定観念で、スピード重視で機械的に契約書確認をしていると、法務はAIに取って代わられてしまう。

具体的に何をすべきかまで踏み込めず申し訳ないが、リスク管理の観点で仕事を進めると、内部監査の業務とぶつかってしまうのでは…とふと思った。

2019/09/12追記

「法務の本質」というタイトルをつけた割に内容が浅かったので、「法務の役割」という名称に変更した。あと、最近巷でよく聞く「攻めの法務」についても、できること・やるべきことを具体的に検討したいな、と思う。



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