見出し画像

Unveil:ロヒンギャ問題とフェイクニュース

8日は親交のある久保田徹さんのトークイベントへ。テーマは「ロヒンギャ問題とフェイクニュース」。久保田さんは現在22歳の若さで大学生でありながら今の日本でロヒンギャ問題に関する豊富な知識や取材量を持ち、実績を重ねる新進気鋭のドキュメンタリー映画作家だ。

彼が向き合ってきた、ミャンマー西部ラカイン州シットウェで2012年から6年以上も劣悪な国内避難民キャンプと呼ばれる収容所に隔離・収容されたままの13万人近いロヒンギャ。2017年8月末のミャンマー軍による掃討作戦という名の虐殺、弾圧により、バングラデシュへ追い出された70万人を越える人々。日本で群馬県館林に逃れコミュニティを築き、地域に馴染む努力や日本の難民認定制度等で苦労をしながら、母国の家族や同志を救いたいと願う人々。久保田さんのドキュメンタリー作品はそうしたロヒンギャの状況や問題を学び、考えることができる貴重な教材でもある。

今もラカイン州では外部とアクセスを遮断されたエリアで村が燃やされ命の危険にさらされている人たちが居る。そしてバングラデシュの難民キャンプは大量のロヒンギャが流入した時期よりは混乱は落ち着いたかのように見えるが、家族が殺されレイプ被害に遭い、1年半でその傷が癒える筈はない。「もし自分が..」と想像してみて欲しい。

残念ながら今のミャンマーは「ベンガリ(ロヒンギャ)は自分たちでアピールするために自分たちの村を燃やしたんだ」というとんでもない話がまかり通り、警察による虐殺の情報を掴んだ記者は逮捕される状況にある。私は感情的になりがちだが、久保田さんは冷静だ。彼は多角的に問題を分析し独自の視点で取材や作品制作、発信を続けている。今回の「フェイクニュース」を主題にした試みも彼らしくて興味深かった。情報が溢れる現代だからこそ、嘘と真実を見分けるスキルが必要になる。

「ロヒンギャ問題って複雑」や「ドー・アウンサンスーチーを責めるのは筋違い」と、そこで思考を止める人がいるが、それは結論どころか問題の入口にも立っていない。今も彼らは存在すら否定され、理不尽に罪もない命が削られている(シットウェの国内避難民キャンプなんて正直、残酷な生き殺しに他ならない..)現状を多くの人に知って欲しいし、早急に閉じ込められた人々を救い、この地域の安定のために何が出来るか考えてみて欲しい。

そして人々の「無関心」は何とか変わって欲しい。悲しいかな、ヤンゴンに行くと常々それを肌で感じるのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?