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「対岸の紛争〜ラカイン族の苦悩〜」ミャンマー ラカイン州ミンビャ

The area on the opposite side of the Lemro River, is Pan Myaung village, Minbya Township. ミャンマー西部ラカイン州ミンビャ、レイミョー川の対岸に望むパンミャウン村(Pan Myaung village)。2019年10月。

船着き場に居たラカイン族の人たちに「パンミャウン村に渡りたいんだけど...」と尋ねると、一様に暗く困った顔をされ、「無理だよ。外国人を危険な目に遭わせるわけにはいかない。山の上に砲台が見えるかい?ミャンマー軍が占拠して村人を狙ってるんだ。戦場だよ」と全力で止められてしまった。

状況を知っていた上で尋ねたのだから私はタチの悪い観光客だ。「止めてくれる」と心のどこかで信じていた。ミャウーで訪れたラカイン族が避難生活を送る国内避難民(IDP)キャンプの人々の多くがこの村の住民だった。

現地を訪れた約1ヵ月前の8月24日、村を見渡せる山を占拠したミャンマー軍が集落に向けて無差別な砲撃を行い、16歳、9歳、6歳の子供が死亡した。他4名が負傷。ミャンマー軍のスポークスマンは関与を否定。「銃撃はアラカン軍(AA)によるものだ」と主張。2年前のロヒンギャ大弾圧で「ベンガリ(ロヒンギャの蔑称)が自分たちの村を燃やしたんだ」という支離滅裂な主張と何も変わっていない。(しかし当時ラカイン族も同様の主張をしていた...)

以下は事件の記事。ツイッターで「Pan Myaung village」を検索すると直視できない悲惨な写真もアップされている。しかし事件はラカイン族のメディアや一部の人権団体や活動家が報じてるのみで世界的には全く取り上げられていない。

■Villagers flee from homes due to artillery fire
https://www.dmediag.com/news/576-vff

11月18日にもこの村で砲撃を頭に受け70歳の女性が負傷する事件が起きている。

■Woman struck by stray bullet in Minbya
https://www.dmediag.com/news/886-wsb

このエリアでは6月から現在もインターネットが遮断されたままだ。個人的にミャンマーで最も思い入れのあるミャウーやミンビャ。想像以上に深刻な状況を目の当たりにして言葉を失った。

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