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3年目の「Rohingya Genocide Memorial Day」

「Rohingya Genocide Memorial Day」(ロヒンギャ大虐殺を忘れない日)。3年前の2017年8月25日にミャンマーラカイン州北部で起きたロヒンギャ住民に対する大弾圧。多くの命が奪われ、隣国バングラデシュに逃れた人々の帰還の目処は立たぬまま、世界の関心は日に日にアップデートされロヒンギャの存在は忘れ去られようとしている。

ミャンマーにおけるロヒンギャに対する長い差別の歴史や、大弾圧の予兆は数年前からあったにも関わらず最悪の事態を防げなかったのは日本含め国際社会にも責任があると思っている。

在日ロヒンギャのコミュニティが在る群馬県館林市では、今年も在日ビルマ・ロヒンギャ協会(BRAJ)を代表しアウンティンさんがメディアに呼び掛け声明を出し記者会見を行った。

去年はバングラデシュの難民キャンプでロヒンギャ難民による平和を祈る大集会が行われ、バングラ政府がコントロールできない規模になり、結果的に難民救援・帰還委員会(RRRC)のカラム長官らが更迭され、キャンプ内でインターネット制限が課されフェンスが設置されてしまった。

バングラでは今年は去年の教訓や何より新型コロナの影響もあり「静かな集会」に落ち着いたようだ。アウンティンさん等も当初は都内で会見をするか調整していたが結果的に館林の事務所で静かに行われた。

新型コロナの影響等で今回はBRAJの会長らは出席せず、アウンティンさん一人が取り仕切った。彼のトーンも幾分か低いように感じた。ロヒンギャ問題を他人ごとのようにあしらうミャンマー政府にとことん寄り添う日本政府に対してもいたずらに刺激せず「日本とミャンマーの経済関係も回さなくては中国が進出し本末転倒」と言う。彼も貿易の会社を経営しているだけに現実的にならざるを得ない。

ミャンマーで11月に行われる総選挙でもロヒンギャの立候補者の多くは登録を拒否され、ミャンマーに60万人程度残っていると言われてるロヒンギャや隣国の100万人近いロヒンギャに投票権が与えられる見込みもなく「スーチー氏や今年の選挙には期待できない」と冷静に述べた。

ミャンマー国内で違法薬物が製造され、バングラでロヒンギャが末端の売人として働かされている。難民キャンプ内の治安悪化が人身売買や売春につながり、ボート難民を生む。引き続き避難民への支援でそうした状況悪化を食い止めたいと呼び掛ける。

懸念されたキャンプ内での新型コロナの感染拡大は一段落ついたが、バングラデシュ自体の感染者は急増し続けている。モンスーンによる洪水被害も深刻で石鹸やマスク等の衛生用品は不足しているという。そして「ICJ」「ICC」「R2P」等のコードネームのようなお馴染みのキーワードも飛び交うが、そこは過度な期待をせず状況を見守るしかない。

アウンティンさんは心なしか疲れているように見えた。厳しい現状に加え現地に撮影にも行けない状況だが、彼を含めロヒンギャの人たちに希望を持ってもらえるような明るいニュースを届けたい。自分たちに何ができるか。

新畑克也

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