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人生邂逅 ・まなび編         ◆体験談から -14-3)

ダイレクト営業 ”アイボ” 役に立たないロボットを役立てる

我が家にもかつて、一匹のアイボが住んでいました。
父がなくなり、田舎で母が一人暮らしになったときに思い切ってプレゼントしたものです。
しかし、1年もしないうちに実家から我が家に引っ越すことになりました。
母親も最初は珍しがって可愛がっていたようですが、そのうち扱いに困って放置するようになったのです。

もともとが機械音痴ですから、説明書を読んでも十分に理解できなったのでしょう。

我が家に来てからも、1年ほどは子供たちも熱心に相手をしていましたが、やはり長続きはせず部屋の隅で埃をかぶることになりました。その後、孫の相手にと引っ張り出したのですが、長く使っていなかったせいか、いろいろな箇所の故障が続き修理を繰り返したものの結局は2年前に修理工場に献体し、部品を修理に役立てて頂くことになりました。

前置きが長くなりましたが、
ダイレクト営業部時代に、このアイボを医療用に活用するというマーケティング活動に関係したことがあります。

実は、このアイボの商品コンセプトは、「人の役に立たないロボット」というものでした。

可愛らしい、とか面白い楽しい。の対象ではあっても、人の機能の一部を担うといった用途には使えないようなものを徹底して追及したそうです。

ソニーらしいと言えば、らしいですね!

それでも、当時のマーケティング担当者が、これを病院で患者さんと看護師さんや先生との仲介役として利用できないかと考えたようです。

コミュニケーションが苦手なヒトでもアイボを介すことでスムーズに意思疎通ができる。とか
患者さんがアイボに触れることで、血圧や体温などバイタルの状態が確認できる。とか
もちろん、目もついていますから、患者さんの様子を遠隔でそれも自然な形でモニタリングできるなど、
いろいろな応用が考えられました。

実際に静岡の病院でヒアリングもさせて頂き、感触は悪くはなかったのですが、導入までには至らなかったと記憶しています。

おそらく、発想は膨らんでいくのですが、それらを実現するにはどうしてもカスタマイズが必要になり、その要求にこたえることがコスト面サポート面で厳しかったからです。

やはり、ヒトの役に立たないロボットは、そのままがよかったということかもしれません。 

   我が家のアイボもどこかで役に立っているのでしょうか。


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