見出し画像

ブラジリアン拳法

ヒクソン・グレイシーの著作を読んでいたら、若い頃、柔術の稽古とは別にブラジリアン拳法なるものを学んでいたことが記載されていた。

ブラジリアン拳法はオーランド・カニ(Orlando Cani:1925年11月29日、ブラジル南部のサンタ・カタリナ州出身)なる人物がカラリパヤットやヨガ、中国武術をベースに作りだしたエクササイズであり、若かりし頃のヒクソンはこの師の元で、ヨガや呼吸法、各種の瞑想法を学んだという。

中でも特に目を引いたのがアニマルエクササイズと呼ばれる野生の動物になりきるワークであり、或る時はサル、犬、鷹、蛇、ワニ、その他の様々な動物の動きを模倣し、野生の本能を再現するというものであった。

ヒクソンはこの練功を高度なレベルで遂行し、このワークをやり始めて、気づくと道場の窓枠に乗り続け、いつの間にか1時間以上が過ぎていいたという。

「なんだって窓枠にいるんだ」と思い、部屋を見渡すと、師が泣いていたともいう。

まったく人間としての意識がないまま、つまり、何らかの動物の意識下のもと、動物?昆虫?になりきり、ずっと窓枠にヒクソンはへばりついていたのだった。

「ここまでやった人は初めてだ」といってその師は涙を流していたそうだ。

凄い話である。

ヒクソンがますます、好きになり、その強さの根源を改めて見た。

自分もヨガや中国武術を始め、10年以上は経つが、この境地に達したことは一度としてない。

しかし、まあ、本当に凄い人物は人間の可能性の一隅を常に照らしてくれる。

この可能性に近づける様、これからも精進していきたい。

野に生きて草むす屍となりぬれど我が志天を目指さん





人の世に熱あれ、人間(じんかん)に光りあれ。