鈴峯紅也著 警視庁特別捜査係 サン&ムーン (小学館文庫)

なぜ、いまこのタイミングでこの作品なのか。
JKQシリーズのファンとしては、そろそろQシリーズの第三弾が読みたかったりするが。「父と子」というテーマは、鈴峯氏の作品においては、一つのキーワードかも知れない。不器用だけど、真っ直ぐで、根っからの刑事である父。真っ直ぐさを受け継ぎつつ、優秀な母の血も引き継く息子。ある種、爽やかさを感じる。Kシリーズの東堂親子の物語がある中で、敢えて、新たなシリーズで、似ているとも捉えられる親子を描くのか。という疑問もある。確かに、東堂父が生きていたらと思うこともあるし、あの関係にフォーカスした物語も十分に面白い気がする。ただ、あのシリーズの中では、埋もれてしまうこともあり、あの関係を取り出して物語化したのではと思ってみたりもする・・・。
内容自体は、これからより深くなるのではと期待も持てる。父親が埋もれていた期間や事件の本当の首謀者が捕まらない辺りに、序章的な雰囲気を感じ、これから父子でそういった闇と向き合うことになるのかなと。
ただ、そう思えば思うほど、Kシリーズがあるのになと思う。あの親子関係。亡くなった母と、命懸けで孫を守る祖父や、幼馴染であり恋人でもある人もいる。そして、警察内や裏社会にも親子と繋がり、守ろうとする人たちもいる。JKQこの3シリーズが絡む物語がどこに行きつくか。これが本当に楽しみ。


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