警視庁一課八係 警部補・原麻希「イエロー・エンペラー」吉川英梨 宝島社

原麻希シリーズ
いよいよ、警察小説の域を超えた気がする。シリーズを重ねると登場人物も人生を重ねる。警察小説だからこそ、重ねる人生は凄惨さが増す。はじめは、その凄惨さである事件にフォーカスされるが、次第に、凄惨さに立ち向かう登場人物たちにフォーカスが移る。主人公の強さと対照的な存在が堕ちていく姿とその周辺の人たち。シリーズを重ねるためには、主人公を逞しく、その分、脆さを周りに転嫁していかなくてはという部分もある。その転嫁にエグさを感じる本作だった。ここから、どう続くのか、何をもってシリーズを完結させるのか。いま、一番、気になっているシリーズ。



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