警視庁公安部 片野坂彰 紅旗の陰謀 濱 嘉之

 ここ最近、警察小説を読もうという気がなかなか起きないでいた。読みはするも、世界に入り込めないことも。現実世界がコロナにより、ある種、小説の世界のような空気感だからか。日常における刺激が警察小説だったのが、違和感のある日常に、より異質な刺激を求めなくなっているのかもしれない。そんな中、この人の作品は、新作が出れば必ず読む。小説を愉しむのはもちろんだが、世の中を知るというか、リアルとリンクする事件の背景を把握するために読んでいる面もある。中国、北朝鮮、トルコなど、ニュースで流れる事件の裏でひしめき合う世界を感じることが出来る。作品を重ねることに複雑になる世界。日本を舞台にというか、まだ、軸だった時代から、中継地というか、小さいポイントになりつつあることを感じる。黒田でも、青山でも、手に負えない、片野坂の時代へ。正直、事件の相関性を追うことに精一杯になってしまう。小説ではあるも、ある面ではリアルとして、読むべき作品。


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