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マインドフルネスと反芻思考


マインドフルネスとは?


私たちは、普段、目の前のことに取り組んでいるようでいて、実は過去や未来のことを考えて、「心ここにあらず」の状態になっていることが実に多いことがわかっています。特に、過去の失敗を思い出したり、未来の漠然とした不安が頭をよぎったりと、ネガティブな感情が心に浮かんでいることが多いのです。マインドフルネスは、そのような状況を脱却して、「今ここでの経験に、評価や判断を加えることなく能動的な注意を向けること」を指します。

また、そのような状態になるために、マインドフルネス瞑想という技法があります。マインドフルネス瞑想は、仏教的な瞑想に由来しますが、マサチューセッツ大学医学部のジョン・カバットジン博士が、臨床的な技法としてマインドフルネス・ストレス低減法を確立しました。マインドフルネス・ストレス低減法では、テーラワーダ仏教の伝統的な瞑想法が基本的に取り入れられていますが、どのような宗教を持つ人でも、あるいは宗教を持たない人でも気兼ねなく参加できるように、宗教性は注意深く排除されています。

不安の強さとマインドフルネスの効果


マインドフルネスは誰にでも同じような効果があるのでしょうか。

米ニューヨーク市立大学心理学部のアネット・M・マンクス博士らは、不安感の強さとマインドフルネスの効果に関連があるのではないかという仮説を立て、67人の大学生を対象に、調査を実施しました。この研究では、不安感の強さとマインドフルネスの状態をアンケートで調査し、その時の心拍変動の値をセンサーで測定しました。心拍変動とは、「心拍のゆらぎ」のことで、リラックスの時に活性化する副交感神経の活動レベルがわかります。

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