20240329

 三宅唱監督の映画『きみの鳥は歌える』を観た。2018年に函館シネマアイリス開館20周年を記念して佐藤泰志の同名小説を、舞台を東京から函館に移して映画化した作品。佐藤の小説は『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』『オーバーフェンス』と実写化されていて、どれも趣深い作品になっている。柄本佑演じる主人公が同じ書店で働く石橋静河演じる佐知子と、同居する友人の染谷翔太演じる静雄とのひと夏の関係性を描いた青春物語。それぞれが互いに深く入り込まず、惰性で過ごすものの、その絶妙なバランスもすぐに崩れてしまう若さゆえの儚い日々、24時間オープンのスポーツ娯楽施設、クラブ、ワンルームの狭い部屋、20代だからこそ許された遊び方が懐かしく感じられた。クラブのシーンでOMSBのライブ映像が出てきて、とても良かった。三宅監督と言えば、『ケイコ 目を澄ませて』や最新作『夜明けのすべて』で絶賛されているが、その片鱗はすでにあったことが窺える。

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