20231208

 『コタツがない家』の最新話を観た。小堺一機や安田顕など客演が絶妙で素晴らしい。物語も終盤へと向かう中で、吉岡秀隆演じる悠作が下した決断と彼の涙ながらの訴えは、少し振りが大きすぎる気もしたが、ここで初めて彼が11年ぶりに描き始める漫画のタイトルの表紙画がメタ的にドラマと重なるという構造にはグッときた。毎回、終盤に登場するキッチンカー「ブロンソン」の女店主・霞田和恵が話す大阪弁が和む。演じる野々村友紀子は放送作家で、吉本(NSC11期生)出身ということだ。
 ここまでは夫婦というより、小池栄子演じる万里子の父親や息子といった家族に万里子が振り回される印象だったが、ここへ来てようやく夫婦間の問題の核心に一気に舵をきった。これからの展開が楽しみだ。どうしてもホームドラマとなると、家父長制が前面に出てしまうのは否めない。今作でも小林薫演じる舅の山神達男は、じっさいかなり昭和の価値観を引きずる男である。しかし、万里子が大黒柱的役割を果たす娘の家に居候し、家事をこなすことで彼の権威は失墜し虚脱されている。この辺りは巧だと言える。脚本家の金子茂樹は前作『俺の話は長い』で向田邦子賞を受賞している。ここでの小池は神がかった演技だったし、それが今回の初連ドラ主演へと繋がったのだろう。
 『俺の話は長い』でも中年ニートの日常と家族を描いた、令和という時代を反映したホームドラマだった。もう一人、ホームドラマの旗手と言えば、森下圭子である。『とんび』や『義母と娘のブルース』などで知られる。平成は山田洋次と橋田寿賀子によってホームドラマが形作られたように、これからは金子が新しいホームドラマの系統を築いていくかもしれない。

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