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花とリアリスト

花束をもらった。

厳密に言うと、花束をもらった人からもらった。
退職にあたっての贈り物だったそうだが、
リアリストには荷物でしかないらしい。

花束を入れた紙袋を、大事に抱えて持ち帰る。

花には心弾ませるなにかがあるようだ。
私に贈られたわけではないのに、
持っているだけで、割とうれしい。

茎を斜めに切って水につける。

家にちょうど良いものが無かったので、
花瓶はグラスで代用する。
昔、科学館で買った全面に素数が描かれたグラス。

とてもデジタルな花になった。



そんな日々は一週間ほどで終了した。

机に落ちる花びらを集める心地よい仕事は、
習慣になる前に無くなってしまった。
花束は役目を終え、私の役目も終わった。

リアリストにはそんなささやかな生活と、
枯れた後も、処分が楽だったことを伝えた。

「絶対に燃えるゴミですもんね」

リアリストはそう言って、
へらへらと無邪気に笑っていた。

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