【映画】22年目の告白-私が殺人犯です-

本当に黒くて、暗い闇が心の内側に潜んでしまったら・・・。

やっとの思いで見た『22年目の告白−私が犯人です−』。ミステリー好き、サスペンス好きだけど、殺害シーンはいつまでも経っても受け付けないです。今回も手で画面を隠し、耳を塞ぎ観るシーンがあり、酷いツライはあったけど、ここからどうなっていくの?と見入ってしまう映画でした。

かつて5人の命が奪われ、未解決のまま時効を迎えて連続殺人事件。その犯人が、事件から22年後、突然みずから名乗り出た。会見場に現れたのは、自身の告白本を手に、不敵な笑みを浮かべる曾根崎雅人という男だった。顔をさらし、肉声で殺人を告白する曾根崎の登場にネットは熱狂!賛否両論をまき散らしながら本はベストセラーに。それだけでは終わらない。マスコミを連れての被害者遺族への謝罪、刑事への挑発、そしてサイン会まで。そのすべてがあらゆるメディアを通じて発信され、SNSで拡散されていく。それは、日本中を巻き込んだ新たな事件(ゲーム)の始まりだった……。(公式サイトより)


曾根崎(藤原竜也)がどうして事件を起こしたのか、はたまた22年が経って再び事件を起こすのか、という話が進んでいくのかと思ったら"正義”と"悪”がひっくり返ったような結末で全く予想をしていなかったけど、視聴者が疑問に思っていた伏線を回収してくれたおかげで見終わった後は後腐れもない感じが良かったです。

ラストの戸田丈(早乙女太一)が刑務所の中で仙堂俊雄(仲村トオル)を刺しに行くシーンだけは物語との繋がりが見えず疑問点として残るけど、事件の被害者としての描写は本編中では視聴者のお察し能力に委ねていた部分があったから、ここも最後の最後で回収にしているのと、それぞれの事件での被害者はどこかで犯人への憎しみの気持ちを晴らさないといけなかったのかなと解釈します。そして、仙堂が自ら望んでいた死に方では絶対死なせないという意味合いも込めて。だって、肉親が痛めつけられて殺されていく姿を目の前で見せられて、それでも善良の気持ちを持てなんて思えないでしょう…。

だから(曾根崎として別人となった)拓巳も牧村(伊藤英明)も法で裁くことを決めたのが強いなと思いました。むしろ時効が無効となっていなかったら残酷すぎます。

それから仙堂は最後自分が殺人を犯すきっかけとなった事件から「どんなことがあっても拭いきれない深い闇」を抱えることになったと語っていて、それがどんなに深くて消えないものなのか、映画を見終わるまで考えさせられました。やっぱり、日々傷つき、傷つけられ、酷い目に遭ったり、そういう場面を目にしたとしても、そこまでのショックはないのかもしれない。この映画に出てくる人たちには共通して「闇」を抱えて生きているような眼をしていました。

そこはもう演技力にただただ圧巻としかいいようがないです。
藤原竜也さん、伊藤英明さん、仲村トオルさんのことは前々から大好きでしたが、やっぱりその通りで大好きになる熱い演技!テレビ局で3人揃ってのシーンは実力派…!と目を凝らして観てしまうし、伊藤さんの妹・里香が絞殺される動画を感情を押し堪えながら涙を浮かべて見るシーンは個人的に一番印象的なシーンです。愛する妹を悼んでの涙は兄そのものだったし、単純に役者凄いと思うところでした。私的MVP。

ミステリー・サスペンスもののトリックって一度もすっきり見破ったことはないから、変に謎を残されると困ってしまうんだけど、今回のように視聴者を置いてけぼりにしないところも見やすくて展開の盛り上がりではしっかりと緊張感を与えてドキドキもさせてくれて面白かったです。

22年目の告白−私が犯人です−
制作年 2017年 上映時間 117分
監督 入江悠 脚本 平田研也、入江悠
出演 藤原竜也 伊藤英明 夏帆 野村周平 石橋杏奈 竜星涼 早乙女太一 平田満 岩松了 岩城滉一 仲村トオル 松本まりか 矢島健一 ほか



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