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【番外編】サンライズ出雲の旅〜シングル・ツイン旅行記〜

 首尾よく切符を確保できてから、出発の日まではあっという間に過ぎました。
 私の出発日は金曜日だったのですが、金曜日に仕事を終えて出発するなんて、最高の贅沢ではないですか。昼間っからウキウキしていました。

 東京駅に到着し、まずは切符を発見しなければ、と思っていたところ、予想通りの小さなトラブルが。発券場所がわからない…。
 
通常は「e5489」の券売機もしくはJR東海の窓口で発券可能なのですが、当日乗車する券は有人窓口で発見してもらう必要があります。スーツ交通チャンネルで予習をしていたつもりですが、ここの手続きについてはスーツ先生と違う状況でしたので、多少、焦りました。私は改札内で手続きをとりましたので、JR東海の窓口でないところで発券していただきました。
 それから、旅のお供として、移動中の車内で読む本を探しにオアゾの丸善に行きました。旅の楽しみに胸を膨らませながら、一時間かけて店内をうろつきましたが、結局、この1冊!という本を決められず、閉店時間である午後9時を迎えてしまいました…。
 気持ちを切り替え、東京駅に戻り、改札内のコンビニ「New Days」で食料を購入しました。翌日の朝食はもちろん、飲み物も調達しました。
 
 さぁ。次はあの手続きです。

 シャワーカード争奪戦です。

 私はネット上で見つけた情報をもとに、出発の30分前にホームに到着しました。どの車両でシャワーカードが販売されているのか。すでに生成されている列の長さから容易に識別可能でした。
 普通なら30分という時間は待つのも苦痛な長さではありますが、こと、サンライズ出雲となると、待つ時間も”ボーナスタイム(by Youtuber 西園寺さん)”でしかないです。

 いよいよ、サンライズ号入線!ですが、シャワーカードの列が後ろ過ぎて、立派な車体を拝められませんでした。線路上にはカメラを構えた人たちが多く並んでいて、サンライズ人気を目の当たりにしました。

はじめまして!

 シャワーカードについては、私の前に10名に満たないほどの方が並んでいましたが、無事に購入できました。

 シャワーカードを購入してから、いよいよ予約した部屋「シングルツイン」に向かいました。
 入って最初感想。狭っ。いや、本当はこんなこと言っちゃダメなんです。だって日本で唯一定期運航している寝台列車なのですから。ネガティブな評価はご法度です。
 ですが、本当に狭いんです。Youtuberの誰もこんなこと教えてくれなかった。ドア閉めると特に狭さが際立ちます。上の空間は十分なのですが、横の空間は不十分です。もちろん、個人差がありますので、普通の体形の方は気にする必要ないと思います。
 まず、上下あるベッドのうち、下のベッドを不要と認定し、すぐさま、シートアレンジしました。 

シートをアレンジしました

 荷物を個室に入れた後は、車両鑑賞です。ホームに出て、車両の先頭に向かい、今まで動画上でしか拝見できなかった車体を拝みます。
 その傍ら、車両に乗る訳ではなく、手ぶらでサンライズ号を眺める方数名を拝見しました。おそらく、サンライズ号に乗らない(もしくは、乗れない)方で、いつかはサンライズ号に乗ってみたいという欲求をお持ちの方なのだと思います。サンライズ号を見つめる視線にいとおしさがにじみ出ていました。明らかに。わかる。わかるぞ、その気持ち。傍らからサンライズ号を見つめる人を傍らで見ながら私は一人心でつぶやいたのでした。
 そんな方達には申し訳ないのですが、車両に乗って旅ができる喜びを一層感じました。

 いよいよ、車両は東京駅を出発。目的地出雲市駅に到着までのおよそ13時間をどう過ごそうか。これを考えるのが楽しみだったのです。起きていても寝ていても、13時間経過しないと自由の身になれないのです。この制限された自由こそが自由を自由たるものと感じさせるものでした。
 私は弾丸ツアーなので、夜更かしで車窓の景色を眺めるより、早めに就寝し、目覚まし代わりに流れる早朝岡山駅到着のアナウンスに備えることにしました。
 シャワーは朝起きてすぐに入ることにして、ベッドに横になり、少し、窓から見えるビルの明かりや夜景をぼんやり眺めていました。しばらくして気付きました。寝たいけど寝付けない!
 ベッドの堅さか、枕との相性か、寝台列車に乗ったという興奮からなのか。原因ははっきりとわかりませんが、寝付けなかったのは間違いないです。 
 車両の進行方向と平行に体を横にしているのですが、車体が横揺れするたび私の体も横揺れするので、ベッドから落ちそうになるほどではないものの、安定さを欠く姿勢にならざるを得ず、眠りやすい体勢を保つことに苦労しました。 
 寝ては起き、寝ては起き。浅い眠りを繰り返しつつ、朝を迎えました。
 朝5時ころ、岡山駅に到着するまでにシャワーを浴びようとしたのですが、先客がいらっしゃったので、しばらくラウンジで時間をつぶしました。ラウンジには、パソコンに向かう方、朝ご飯を食べている方がいらっしゃり、いろんな過ごし方で朝を迎えたのだなぁと少し感慨にふけりました。
 シャワーの制限時価は6分。これも予習していましたので、心の準備は万全です。普通に体を洗えば十分な時間でした。

 岡山駅で出雲号と瀬戸号で車体を切り離し、以降、出雲号単独の旅です。ここからの時間はのんびり過ごしました。外の明るさもあって寝付けなかったのですが、伯備線の景色を堪能できました。この時間は出雲号に乗らなければ味わない贅沢だ。そうやって、一人、悦に浸りました。

 天候や事故による大きな遅れもないまま、無事、出雲市駅に到着しました。13時間、もっと、いろんなことやろうと思っていたのですが、出雲市内での時間の過ごし方や身支度など諸々の準備で想像していたほどのんびりゆったりできませんでした。

無事に到着

 とにもかくにも、サンライズ出雲号に乗車し、人々が眠る時間に日本を横断し、山陰地方まで足を延ばせたことに感動を覚えました。
 この長い文書を簡潔に表現すると、長年乗りたいと思っていたサンライズ出雲号に13時間もの長時間乗れたという興奮が終始冷めなかった出雲路でした。