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癒されるキャラも世代で違う?ちいかわとミッフィーを比較分析

 こんにちは、knownsインターンのMoneです。

 突然ですが、皆さん癒しは足りているでしょうか?現代社会では、日々の生活を送る中でストレスや疲労感を感じる機会も増えているのではないのでしょうか。
 例えば、会社で理不尽なことで怒られたり、学校の課題に追われる日々に苦しんだりと、挙げるとキリがないですよね。

 そんな私たちの心を穏やかにしてくれる存在、それは「癒しキャラクター」です。人々の疲れた心に潤いをもたらしてくれる「癒しキャラクター」は多くの人に愛されています。

 今回は、キャラクターの中でも、全世代から人気のある「ミッフィー」と、最近若い世代からの支持を集めている「ちいかわ」を取り上げたいと思います。


「ちいかわ」と「ミッフィー」

ちいかわとは?

引用元:アニメ「ちいかわ」公式サイトより

 「ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ」は、作者ナガノ氏による作品で、2020年からTwitter(現在のX)で連載しており、2021年には単行本化されました。2022年10月時点で累計部数は電子版を含め100万部以上に達しています。
 さらに、2023年3月24日時点で公式アカウントのフォロワー数は206万人に達し、2022年4月からはめざましテレビにてアニメが放送されています。

ミッフィーとは?

引用元:dickbruna 日本のミッフィー情報サイトより

 ミッフィーはオランダのデザイナーである、ディック・ブルーナ氏が描いた絵本の主人公のうさぎの女の子のキャラクターであり、うさこちゃん(日本名)またはナインチェ・プラウス(オランダ名)としても広く知られています。 
 2017年の2月時点では、絵本シリーズが日本国内で累計5000万部以上、全世界で累計8500万部以上の発行部数を記録しています。その後も長く愛されている作品です。

好感度と認知度

 「ちいかわ」と「ミッフィー」の認知度と好感度は以下です。

Knowns Biz調べ
性別:全性別 年代:全年代 キャラクター (動物モチーフ)
好感度×認知度のグラフ
Knowns Biz調べ
性別:女性 年代:20代以下 キャラクター (動物モチーフ)
好感度×認知度のグラフ 

全性別、全年代で絞った時の「ちいかわ」の好感度と認知度
好感度 45%
認知度 49%

全性別、全年代で絞った時の「ミッフィー」の好感度と認知度
好感度 56%
認知度 85%

性別:女性 年代:20代以下に絞った時の「ちいかわ」の好感度と認知度
好感度 46%
認知度 74%

性別:女性 年代:20代以下に絞った時の「ミッフィー」の好感度と認知度
好感度 71%
認知度 91%

 上記のグラフから、「ちいかわ」は全性別、全年代での好感度と認知度がそれぞれ45%と49%であり、「ミッフィー」の56%と85%に比べてかなり低くなっていることが分かりました。
 しかし、性別を女性に、さらに年代を20代以下の若者に絞った場合、興味深い数値が浮かび上がりました。それは、この特定のグループにおいて、「ちいかわ」の認知度が74%にまで大幅に上昇しているのです。

消費者の割合


Knowns Biz調べ:ちいかわ 基礎分析


Knowns Biz調べ:ミッフィー 基礎分析

  まずは、基礎分析をみてました。「ちいかわ」と「ミッフィー」の年代別の認知度は以下になります。

ちいかわの認知度
20代
20~24歳 74%
25~29歳 70%
30代
30~34歳 62%
35~39歳 55%
40代
40~44歳 48%
45~49歳 42%
50代
50~54歳 39%
55~59歳 27%

ミッフィ―の認知度
20代
20~24歳 88%
25~29歳 91%
30代
30~34歳 90%
35~39歳 86%
40代
40~44歳 88%
45~49歳 83%
50代
50~54歳 82%
55~59歳 80%

 上記のグラフから「ちいかわ」の認知度は、年代によって大きく変化することが分かります。
 世代ごとに見ていただくと、「ミッフィー」の認知度の数値の変化が緩やかなものになっているのに対し、「ちいかわ」の認知度は、20~30代と40~50代で大きな差が見られます。

 「ちいかわ」は20代以下の若者からの認知率が高い一方で、40代以上の層からの認知率が低いようです。この差の理由として、「ちいかわ」が2020年からTwitter(現:X)にて連載されているという事もあり、年齢別のSNSの利用率が関係しているのではないかと思われます。

 続いて、Knowns Bizを使用しそれぞれのSNSの利用状況を見ていきます。

Knowns Biz調べ
左 ちいかわ イメージ分析 (性別:女性 年代 :20代以下 認知あり)
右 ミッフィー イメージ分析 (性別:全性別 年代 :全年齢 認知あり)

 SNS利用状況のグラフをみると、「ちいかわ」のSNSの利用者の割合が「ミッフィー」と比べて約14%高いです。
 そして、最も閲覧しているSNSでは「ちいかわ」はTwitter(現:X)がトップにランクインしているのに対し、「ミッフィー」はYouTubeがトップにランクインしている事が分かります。
 「ミッフィー」はYouTubeチャンネルを展開しており、日本語バージョンや英語バージョン等、各国で専用のチャンネルを運用し再生回数を集めているようです。

 「ちいかわ」と「ミッフィー」のTwitter(現:X)の利用率を比較すると「ちいかわ」は30.9%、「ミッフィー」は18%と「ちいかわ」が約13%高いです。更にInstagramの利用率でも約15%の差がついていることが分かります。

 この事を踏まえて、年代別のSNSの利用率を見ていきます。


Knowns Biz世代別分析(x世代)     Knowns Biz世代別分析(z世代)


SNSの利用率

X世代 77.9%
Z世代 93.7%

Twitter(現:X)の利用率
X世代 14.5%
Z世代 23.6%

 Knowns Biz世代別分析をみると、X世代のSNSの利用率が77.9%なのに対し、Z世代の利用率は93.7%となってます。
 更に、Twitter(現:X)の利用者数もX世代が14.5%、Z世代が23.6%となっておりZ世代の利用率の方が9.1%高いです。
 上記の数値を踏まえると、40代以上のSNSの利用者数は相対的に少ないことが見て取れます。
 このことから、40代以上の層における「ちいかわ」への認知度が低い理由として、SNSの利用者数が若年層に比べて低いという事実も関連しているのではないかと考えられます。

 SNSの利用状況以外にも、世代によって作品の理解や受け止め方が異なるという事も、世代間で好感度に大きな差が見られる要因になっていると考えられます。
 続いて、それぞれのブランドイメージを比較しながら分析していきます。

ブランドイメージ


Knowns Biz調べ
左 ミッフィー イメージ分析 (性別:全性別 年代:全年代)
右 ちいかわ イメージ分析 (性別:女性 年代 :20代以下)

“ほのぼのする”“心温まる”「ミッフィー」

 「ミッフィー」のブランドイメージを全年代、全性別に絞り、全キャラクター(動物モチーフ)の平均イメージと比較してみました。平均イメージと比較してみると、“ほのぼのする“と“心温まる”が比較的高いことが分かります。
 シンプルな線と色彩で描かれたキャラクター「ミッフィー」は視覚的にも魅力的であり、幅広い層へ親しみやすさを与えています。素直で無邪気、勇気があり、常に新しいものへの好奇心旺盛なミッフィーとその家族や仲間たちは、世界中の人々から愛され続けています。

 ストーリーでは、彼女が凍える小鳥に小屋を作ったり、転校生を庇ったりといった行動を通じて、強い正義感を示す一面も見せています。
 これらのキャラクター性が、「ほのぼのする」だけでなく「心温まる」というブランドイメージを形成していると考えられます。

 全世代から人気と言われる1つの理由として「ミッフィー」は、親子や世代を超えて愛されているからだと考えられます。
 「ミッフィー」は2020年に誕生から65周年を迎えており、今では幼い頃に「ミッフィー」の絵本に親しんだ世代が成人しています。あるいは子供を産み家庭を持っている人もいるのではないでしょうか。
 子供たちは彼女の可愛らしさに惹かれ、大人たちは子供時代の記憶を連想させるノスタルジックな要素に魅力を感じている人も多いのではないかと考えられます。

“ほのぼのする”けど“ダーク”な「ちいかわ」

 「ちいかわ」のブランドイメージを認知度の高い20代以下に絞り、全キャラクター(動物モチーフ)の平均イメージと比較してみると、「ミッフィー」のブランドイメージには見られない“ダーク”や“ちょっと変わった”が見られます。

 「ちいかわ」は主人公であるちいかわとその友人のハチワレやうさぎたちの日常が一話完結で描かれた物語になっています。
 一見、ほのぼのとした雰囲気が特徴的な「ちいかわ」ですが、主要キャラクター達は、現実の世界で生きている私たちと同じように「仕事の収入で生きていく」という現実的な背景を持っています。
 また、連作エピソードの中では、一緒に試験を受ける場面があり、その中で片方だけが不合格になってしまうという過酷なストーリー展開もあります。コンセプトとは相反した世界観や物語が「ちいかわ」の“ちょっと変わった”や“ダーク”などのブランドイメージを構築しているのではないかと思われます。

 「ちいかわ」が20代以下の若者の間で話題になっている理由の1つに、Z世代の社会背景が関係しているのではないかと個人的には考えられます。
 Z世代は、新型コロナウイルスの感染拡大などを経験し、不安定な時代を過ごしてきたため、将来への不安が強く、安定志向の方が多い傾向にあると言われています。
 不安定な時代を過ごしてきたZ世代は、同じように厳しい世界で頑張って生きている「ちいかわ」に何か通ずるものを感じているのかもしれません。

 続いて、「ちいかわ」や「ミッフィー」に好感を持つ方々にどのような特徴があるのか見ていきます。

消費者の特徴

 現在の消費者のサイコグラフィックの特徴を各キャラクターで見ていきたいと思います。

Knowns Biz調べ:ミッフィー サイコグラフィック (性別:全性別 年代:全年代)

 上のグラフでキャラクターごとに見てみると、「ミッフィー」の個人価値観では「時間にシビア」が、社会価値観では「自分より家族優先」がランクインしているのがわかります。
 計画を立てて行動でき、人に迷惑をかけず約束もしっかり守る「時間にシビア」は、日々ストイックな生活を送りながらも、作品に触れることでかわいいキャラクターたちに癒されているのかもしれません。
 また、家族や子供のエネルギーが自身の幸せになるという「家族優先」は、家族や仲間との絆を大切にする「ミッフィー」の物語に通ずるものを感じます。


Knowns Biz調べ:ちいかわ サイコグラフィック (性別:女性 年代 :20代以下)

 「ちいかわ」の社会価値を見ていただくと、「ミッフィー」には見られない「依存集中型」と「立場固定観念」がランクインしていることがわかります。
 自分はここまで。自分はこのレベル。と立場を決めつけているという特徴がある「立場固定観念」は、Z世代の特徴の1つであると言われている現実主義という価値観に共通するものがあるのではないかと思われます。
 上記で述べたように、Z世代は社会的不安定な時代の中で成長してきていると言われています。新型コロナウイルスの感染拡大以外にも、親世代の終身雇用の崩壊の影響を受けたり等の影響で幼少期に生活の困難さを体験している方も多いのではないのでしょうか。
 このことから、経済的にも非常に現実的であり、現実の生活を充実させることに重きを置く特徴があるということから、現実主義の方が多い傾向にあると言われています。

Knowns Biz調べ
上 ちいかわ サイコグラフィック (性別:女性 年代 :20代以下)
下 ミッフィー サイコグラフィック (性別:全性別 年代:全年代)

 「ちいかわ」と「ミッフィー」の両方の社会価値観を細かく見てみると、「ちいかわ」に「対人ストレス過多」、「ミッフィー」に「仕事憂鬱」がランクインしています。
 仕事にやりがいを感じられず、ストレスしかない「仕事憂鬱」と、常に他人の顔色を窺い、人の感情を繊細に感じ取ってしまう「対人ストレス過多」。
 ストレスの種類は違えど、どちらも日々の生活の中で疲労感を感じているように思えます。
 こういった日常生活にそれぞれストレスを抱えている消費者にとって「ちいかわ」や「ミッフィー」のような癒しキャラクターの存在は必要不可欠なのかもしれません。

 さらに「ミッフィー」と「ちいかわ」のそれぞれのグッズ需要を見ていきます。

グッズの需要

Knowns Biz調べ:ミッフィー サイコグラフィック (性別:全性別 年代:全年代)


Knowns Biz調べ:ちいかわ サイコグラフィック (性別:女性 年代 :20代以下)

 「ミッフィー」と「ちいかわ」をそれぞれ認知度の高い年代と性別で絞り、全体の回答率の平均と比べてみました。
  
 「ミッフィー」と「ちいかわ」のグラフを見ていただくと、どちらも「ぬいぐるみ」がトップにランクインしています。「ぬいぐるみ」に傍にいてもらうことで、癒し効果を求めている人も多いのではないかと考えられます。

ぬいぐるみ

ぬいぐるみ (ちいかわ)



ちいかわマーケットサイトより ちいかわ・旅行行きたいぬいぐるみS


ちいかわマーケットサイトより
ちいかわ×サンリオキャラクターズ デスクトップから見守るひっかけぬいぐるみ
(ちいかわ・マイメロディ)


ぬいぐるみ(ミッフィー)


ミッフィーハウス サイトより
ミッフィー ハンドメイド ドール&クリスマスドレス [JUST DUTCH][miffy]


ミッフィーハウス サイトより
[BTT-001WH] コーデュロイミッフィー ぬいぐるみ 23cm ホワイト
[BON TON TOYS Corduroy nijntje][miffy][Dick Bruna]

 今回は数あるぬいぐるみの中から、各キャラクターごとに2つずつピックアップしました。どちらもぬいぐるみですが、それぞれ独自の特性を有しています。

 「ちいかわ」のぬいぐるみは、通常のぬいぐるみに加えてキャラクタ―達がコスチュームを着ているぬいぐるみも多いです。
 上記にある、ちいかわ 旅行いきたいぬいぐるみSは、ちいかわがアロハシャツを着て観光の旗を持っています。
 更にちいかわは、サンリオともコラボをしており、ぬいぐるみやマスコット、トートバッグ等のコラボ商品も発売していました。

 「ミッフィー」のぬいぐるみは、通常のぬいぐるみの他にコーデュロイ生地で作られたぬいぐるみや、編みぐるみ等が発売されています。
 上記にある、ミッフィー ハンドメイド ドール&クリスマスドレスはぬいぐるみ本体にお洋服と帽子が付いており、着せ替え可能となっております。

 「ミッフィー」のぬいぐるみは、一貫してシンプルで洗礼されたデザインのものが多いのに対し、「ちいかわ」のぬいぐるみはポップなデザインの物も多く日本特有のかわいい要素が詰まっているように思います。

 更に、「ちいかわ」を見ていただくと、「ミッフィー」には見られないカプセル玩具がランクインしています。
 皆さんの中にもショッピングモール等で「ちいかわ」のガチャポンを見たことある人も多いのではないでしょうか。
 「ちいかわ」のカプセル玩具の中には、マスコットやフィギュアの他にも、エコバッグ、時計、アイマスク等のバラエティに富んだ物が商品化されています。


キタンクラブサイトより
ちいかわ エコバッグ
キタンクラブサイトより
ちいかわ いっしょにがんばろ!ダンボールウォッチ
キタンクラブサイトより
ちいかわ アイマスク

まとめ

 今回は、全世代から人気のある「ミッフィー」と最近若い世代からの支持を集めている「ちいかわ」を取り上げ、様々な角度で比較していきました。

ミッフィー

  • 全世代での知名度が高い

  • 消費者の特徴として、「自分より家族優先」「仕事憂鬱」が ランクインしている

  • ブランドイメージは「ほのぼのする」「心温まる」

  • ぬいぐるみは全年代に受け入れられるシンプルな作りであり、洗礼されたものが多い

ちいかわ

  • 20代以下の若者の間での知名度が高い

  • 消費者の特徴として、「依存集中型」「立場固定観念」がランクインしている

  • ブランドイメージは「ほのぼのする」「ダーク」

  • ぬいぐるみはポップで日本特有のかわいい要素が詰まったデザインのものが多い

 両作品とも癒しを与える作品ですが、それぞれ独自の特徴を有しており、様々な層の顧客を集めていることが分かりました。

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