Amazonに届くのもあと少し?お騒がせなSHEINのマーケ戦略
こんにちは。ライターのSakai Natsumiです。
みなさん、SHEINというネットショッピングを使ったことはありますか?
SHEINは中国の会社が運営するオンラインショッピングプラットフォームです。超激安の商品が大量に売られている、ファストファッションの極みのようなサービスです。
TikTokやインスタ、YouTubeなどのショート動画を見始めると次から次へと動画が流れてきてあっという間に何時間も経っていた、という経験はみなさんもあると思いますが、私はSHEINを見始めると同じ現象に陥ります。
おすすめ商品がどんどん提案されるので、寝る前にSHEINを開いた日には寝不足確定です。(これは、買う買わないに関わらず笑3時間くらいみてても何も買わないこともあります笑)
労働環境問題やパクリ騒動など、何かとお騒がせキャラなSHEINなので、そちらの側面で名前を聞いたことがある方も多いかもしれません。
今日は一旦そこは置いておいて、マーケティングの面でSHEINをみてみたいと思います。
だってこんなに短期間で急成長を遂げたSHEINのマーチャンダイジング、気になりすぎます!
認知率にまつわる話
認知率51.1%、その中で顧客は14.9%、購買経験があるのは18.3%にとどまっていますが、潜在顧客が32.7%とまだまだ大きな成長の可能性を持っているサービスです。
SHEINの顧客は20~34歳が中心で、特に20代=Z世代から支持されています。
(キッズ服の扱いも豊富なので小さな子供がいる方も買っていると思われます)
顧客に多い34歳以下に対象を絞ると、認知率は65.2%、顧客は24.4%(購買経験あり28.7%)と全体で見るより若い世代に特に浸透している印象を受けます。
現在の認知率ランキングをKnowns Bizで確認すると、RakutenFashionやadidas、NIKEをおさえ、ZOZOTOWNに次ぐ2位にSHEINがつけています。
正直こんなにランキングが上位とは予想外で、私も驚きました!
さらに満足率のランキングでも2位にランクインしています。
上位5位を見ると、ブランドの公式ストアや同じグループのいくつかのブランドが集まった複合オンラインショップが並んでいます。
利用者が、目的のものに辿り着きやすかったり、元々ファンだったりするので満足度に繋がりやすいのではないかと考えます。
SNSプロモーションが強い
また、SHEINの特徴としてSNSを使ったプロモーションに優れていることが挙げられます。
自身のアカウントの充実も大切ですが、それよりも力を入れているように見えるのが、セレブリティを通してブランドを広めることです。
SHEINはまず、"アメリカの"セレブリティに着用してもらったり、イベントに招待したりして認知率を上げて行きました。
サイトを見てみるとわかると思うのですが、中国発感をほぼ出していません。
アメリカ発!と言われればそう見えるような。モデルもアジア人は少ないですし、中国サイトによく見かけるような、文字化けやおかしな日本語訳もほぼありません。(口コミの翻訳は別として)
多かれ少なかれ「中国産」に対し世界が抱いているイメージはあまり良くない事実があると思います。それをしっかりと客観視し、それに対応するマーケティングプロセスを踏んだことは、大きく評価するべき部分だと思います。
さらに、多くの人種がいるアメリカでビジネスを行うことはそれだけ多くの情報を得られるので、世界進出にとても効率が良いと考えます。
また、強力な影響力を持つセレブリティだけでなく、ある程度のフォロワーを抱えるインスタグラマーなどさまざまな国の、さまざまな体型の、さまざまなバックグラウンドを持ったインフルエンサーが着用し投稿することが多いSHEIN。
(インフルエンサーコラボクーポンを発行したり、インフルエンサーに服をプレゼントしたりしている)
世界中のインフルエンサーがSNSにSHEINの投稿をすることで、多様性を持った"現代の"ブランドというイメージを確立すると共に、大きな宣伝力を獲得しています。
インスタで"shein"と検索するだけでたくさんの結果が出てきます。
ハッシュタグの数字も驚くほど大きいです。特に#sheinについては日本語ではなく世界規模のハッシュタグなので、どれだけ世界がSHEINに注目しているのかわかります。
商品にまつわる話
主にSNSを通してプロモーション活動をしてきたと話してきましたが、ここからは"中身"についてみて行きます。
SHEINの強みは大きく分けて3つあります。
①商品数
②低価格
③回転の早さ
例えば「白 ワンピース」と検索するだけで約5000件の検索結果が表示されます。
大人っぽいリラックス感のあるものからミニ丈、カジュアル、綺麗め、さまざまなテイストの白ワンピースを揃えています。(①商品数)
そしてその5000着のワンピースのほとんどが、3,000円以下です。(②低価格)
毎日のように新商品が出てくるので、来週同じ検索をかけたらまたガラッと内容も変わります。(③回転の早さ)
そりゃネットサーフィン(え、死後?笑)ならぬSHEINサーフィンで寝不足にもなるわけです。
ファッション商品において、回転が早いということはイコール、トレンドを取り入れるのが早いということです。
例えばパリコレで発表された最新トレンドやバズっているキャラクターを、2週間後にはSHEINの服に落とし込むことが可能ということです。
最近Y2K(2000年ごろのファッションスタイル)の流行により、カーゴパンツが人気ですが、SHEINもしっかりとその流行をキャッチしています。
また、先日BLACKPINKの記事の「筆者のひとこと」で触れたNewJeansのMVに登場したパワーパフガールズ(これもY2Kの流れ)もすでにSHEINのアイテムに採用されていました。
最新ファッションを安価に身につけられるというのは、流行に敏感な若い世代にはかなり魅力的であることは簡単に想像できますよね。
どんなイメージを持たれているのか?
ブランドイメージ分析には"コスパ・経済性"、"話題の・流行っている"、"トレンディー・憧れ"などがあり、お金をかけずに流行りのファッションを楽しめるサービスであることがここからも分かります。
商品数の多さは、デザインだけでなく幅広いサイズやカラー展開にも対応しています。
大きなサイズのSHEIN CURVEというジャンルもあれば、ファンデの色展開もかなり多いです。
ただ、クオリティについては少し懸念点があって、サイズ感や商品の色が写真と違うこともあるようです。
そこは、レビューを書くとポイントが溜まるシステムでカバーしています。ユーザーが世界中にいるということで、レビュー数も必然的に多く提供されています。
ある程度ハズレがあるのは消費者も承知の上利用しており、レビューを見て自分の責任で買っている印象を受けました。
それも、安価だから成り立っていると言えます。ちょっとイメージと違かったけど300円のタンクトップだからまあいいか、と。
SHEIN顧客の価値観
ここでは、Knowns Bizのソシエタスクラスター分析に注目してみます。
SHEINでは、値段を気にせずどんどんカートに入れられるのが楽しみのひとつだったりします。(どんぶり勘定タイプ)
また、これもまた安価という理由で、欲しいと思ったら迷わず購入に踏み切れるのも満足感が高いです。(快楽思考)
それに付随して「お得感重視消費」や「お得新品消費(主義)」、「コスパ消費」の上位ランクインは必然です。
ファストファッションは被りやすいという点がネックだったりしますが、これだけ商品数が多く商品の入れ替わりも早いので被りにくいというのも嬉しいポイント。(オンリーワン消費)
加えて、トレンドをいち早く自身のワードローブに迎えられるのも選ばれる理由かもしれません。(トレンド・限定重視消費)
また、まだまだ新しいサービスだと使うきっかけがなくてなかなか手が出せない、、という方も多いと思いますが、現在SHEINを利用している人は新しいものを積極的に試してみる精神があると思われます。(イノベーター消費)
ハロウィンや、誕生日、結婚式で使えるデコレーショングッズやドレス、コスチュームも多く扱っていることから、イベントでの利用目的も多いと考えます。(ネタ消費)
SHEIN の展望〜GAFASの誕生?〜
2023年5月、日本ではみんながGWで浮かれている(?)頃。SHEINからビッグニュースがリリースされました。
マーケットプレイスの開設(参考リンク)
つまり、SHEINという大きな枠にいろんなショップが入るようになるということです。
引用文の中にも"アマゾン"が出てきていますが、システムとしてはほぼAmazonと同じことをしようとしています。
SHEINのマーケティング能力でさらに顧客情報量が増えれば、SHEINがAmazonに追いつき、追い越す日も来るかもしれません。
日本ではGWでみんなが浮かれている頃、SHEINは世界侵略に向け着々と歩みを進めていたんですね。
GAFA(ガーファ)にSが仲間入りして、GAFAS(ガファス)になる日もそう遠くはないかも!?(そう期待させてくれるような会社というだけで注目する価値、学ぶことがあるのではないかと思います!)
ちなみに、SHEINとAmazonを比較すると、、
認知率はまだまだAmazonが圧倒しているようです。
またSHEINは80%近くの利用者が女性なのに対し、Amazonは男女比がほぼ半々。年齢層もSHEINは若い世代に集中していますが、Amazonは幅広い世代に顧客を持っています。
今の所、認知と利用者の幅が圧倒的に違う事実があります。
イメージ分析のグラフをみると、Amazonの”利便・合理性”の棒グラフが目立ちます。Amazonの配達の早さが”利便性”の評価にかなり影響していると思います。
SHEINは低価格帯の商品が売りなのでその点はグラフにもわかりやすく表れていますが、海外発送なので届くまでに時間がかかる(それでも海外発送にしては早い10日前後で届く)のが、Amazonを相手に世界で戦う際には課題になりそうです。
世界各地に倉庫を持ち無双するのは時間の問題かもしれません、、
まとめ
SHEINのポテンシャルが高いことを、これまでたくさん話してきましたが、結局何がすごいのか?
SHEINのすごさ
・アメリカからマーケットをスタートさせたこと
・インフルエンサーたちの活用方法
・新商品を出すまでのスピード感
・超低価格商品
・世界規模のマーケティング力
・そのマーケティングを元にした国ごとの戦略
そんなSHEINを積極的に利用するのはどういう人たちなのか?
SHEINの利用者(現状)
・ファッションが好き(被りたくない・流行り物が好き)
・質より量が欲しい(安いのでたくさん買える)
・34歳以下の顧客の割合が53%
・SNS(特にInstagram)で情報収集をしている
今は"アーリー層とその周りで影響を受ける人"が中心に利用している現状がありますが、これからどんどん認知が広まっていくのは確実です。
認知率が上がると安心感も上がり、若者だけでなく幅広い世代で使われるようになるでしょう。
今は中国国内より米国などが強いようですが、中国にも逆輸入のような形で広げた場合は中国の莫大な人口から成る巨大マーケットも手中に収めるわけなので、恐ろしい成長を再び遂げそうです。
マーケットプレイスのローンチや利用者層の変化などにより、今の激安価格帯に少し変化が起きることも予想できますが、その辺りどのように展開していくのか、SHEINのビジネス力に期待したいところです。
筆者のひとこと
私、去年の10月に結婚式を挙げたんですが、実はSHEINをかなり活用しました!
結婚式はお金がかかるので、"削れるところは削りたくて.."といった気持ちでSHEINで使えるものを探し始めたのですが、蓋を開けてみるとかわいいアイテムがたくさんありました。
ピアスに関してはあれも使いたいこれも使いたいと悩み、最終的にたくさん購入して本番でいくつか付け替えたりして。笑
その後も友人の結婚式などフォーマルな場に使い回しており、大満足です!
「使うかわからないけど買ってみよう」という買い物の仕方ができたのも、SHEINの安さが理由です。
確かにまだまだ問題点も多いサービスかもしれませんが、利用者側も賢く自分の選択に責任を持って使うならとても便利だと思います。
ちょっとだけ結婚式で役に立ったものを紹介して終わります!
私用のピアス
子ども用の髪飾り
子連れのカジュアルな式で、お金をたくさんかけるつもりもなかったのでSHEINで色々見つけられて本当に助かりました!
私は今も、何度も着ることないだろうなというイベントや季節ものの服やアクセ、子供服は特に、"SHEINサーフィン"したりしてます笑
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