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「タイ人は働かない」というバイアスの罠にはまる人へ。


今回は、タイメンバーが「この人となら仕事を頑張りたい」と思ってもらうにはどうすればいいかについて、最近よく考えるテーマなのでまとめていきたいと思います。

社内外問わず、「タイ人メンバーが思うように動いてくれない」とよく耳にします。もちろん、自分も例外ではなく、上記と同じようなことを何度も感じてきました。

不思議と人間は何かしら問題に直面すると、その事象をパターン化する習性があります。例えばタイ人の1人のメンバーが働かないだけで、「タイ人は」と国民性でパターン化してしまいがちです。

自分も例外ではなく、「タイ人だからか」とつい考えてしまいます。おそらく他の国で働いている方も同じような経験があると思います。

多くの方がこの問題に直面してから、現地スタッフに向き合うスタイルがバラバラになっていくと思います。

例えばある程度階級の高い人であれば、権力を行使してメンバーに従ってもらうといった方法も取れると思います。タイではヒエラルキー文化が強いので、位の高い人の言うことに従い、その状況が嫌ならやめるという感じだと思います。

一方で、ポジションもそこまで高くなく、年齢が若い僕のような人間は、現地の文化やメンバーの特徴の理解に努めて、その状況にアジャストしたマネジメントを取り入れていくことが大事だと思います。

また最近感じることは、僕の周りのタイメンバーは、

「誰についてきたいか」
「誰についていけば得するのか」
「誰と仕事をすれば多くを学べるのか」

といった視点を重視しているようにも感じます。

日本の若年層にも傾向としてあるかと思いますが、その組織にいて自分はどれだけ個人のスキルを高め、多くの経験を積むことができるかを常に考えています。

最近は辞めそうな若いタイ人メンバーと1時間ほどミーティングをしたり、辞めた社員とも都合が合えば会ったりしてカジュアルに意見交換をします。

その際に、

「給料は大事。給料は大事だけど、どんな経験を詰めるかもすごく大事。」「A社の給料が多少高くても、B社での経験が魅力的であればそっちにいく」

とよく耳にします。

しかし、これは全員にいえるとは限りません。
僕の周り(ITベンチャー企業)のタイ人の感想なので、状況が変われば考え方も変わるでしょう。

ただ「タイ人が働かない」「言うことを聞いてくれない」のは決して国民性の問題ではなく、自分自身の考え方に問題があるパターンがほとんどだと思います。

「タイメンバーはこういう人についていきたいのかもしれない」と思った瞬間が最近あったので、そちらをまとめていきたいと思います。

タイ人も「やる気がない」わけではない

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僕がこちらにきた時も、「タイ人は仕事をしない」と言った話をよく耳にしました。僕は基本的に自分の目で見るまで、噂話などを鵜呑みにしないタイプなので、自分が実際にそう感じるまではそう言った固定概念は信じないように心がけていました。

たしかに、時間が経つにつれて

「日本人と比べて細かいところを気にしない」
「遅刻はよくする」
「アウトプットの最後の詰めが甘い」
「定時では必ず帰る」
「仕事中にスマホをいじったり、おしゃべりする」

といった日本とは少し違う文化を肌で感じるようになります。それが日本人にとっては、仕事をしていないようにうつっているかもしれません。

もちろん、違いをあげ始めたらキリがありませんが、国が変われば文化も働き方も変わって当然だと思います。

かくいう僕も「日本人と働く方が楽だよな、、」と思う局面は多々ありました。

「この仕事まだ終わってないのに帰っちゃった。」
「1日の効率あげればもっと業務量増やせると思うんだけどな〜」

と不満に感じることもたくさんあります。

一方で、彼らが目の前の仕事にハマった時、想像力を発揮して前向きに取り組んでくれることも多くありました。

ランチの時間を削ってでもやらなければいけない仕事をしていたり、月曜日に大事な仕事があるから土日に綿密に準備してきたりと、決して仕事全てにやる気がないわけではないのです。

やる気がないときはおそらく、仕事がルーティンになっていたり、新しい体験や学びがない日々が続いたり、また職場でのコミュニケーションが仕事の話だけになっていたりと、多くの原因が存在します。

日本人の場合でもルーティンの状況が続くと、ボーっとしていたり、生産性が落ちていたり、やる気がなかったりすると思います。

「彼らもきっと仕事を楽しくしたいはず。」といった前提で物事を見ると、対策が変わってくるかもしれません。

エンゲージメント高く働いてくれる秘訣とは何だろうか。

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「エンゲージメント高く働いてくれる秘訣とは?」と聞かれると、結論、僕も答えがまだ見えていないです。

ただ、各局面において「実はこうなんじゃないか」と思ったポイントを紹介していきたいと思います。

1.「仕事以外の会話」の質を上げていく。

最近チェンマイに行った時に、元社員のタイ人スタッフに会ってきた時の話のこと。

数名でバーで飲んでいて、酔っ払った勢いでメンバーから「かんさんの仕事のスタイルは嫌いだった」と言われました。よくよく聞いてみると、「普段は寡黙で、口を開けば仕事の話しかしない。あんまり笑わない。」とのことで、これは今から1年前の話でした。もちろん心当たりはあります。

しかし、僕も長く一緒に働いていたタイ人がやめたことをきっかけに、自分の態度を改めて見直し、そこからオープンマインドで何でも話すようになりました。

不思議なことに、考え方を変えてからはメンバーからもいろんな話をしてくれるようになり、また同時に仕事の相談やアイディアも提案してくれるようになりました。

僕はその状況を説明し、そのバーでもかなりフランクに話していたので、前と全然違う姿に元メンバーは驚いていましたが、「新しいかんさんになってよかった。今の方が全然いいよ!」と言ってくれて、深夜2時にトムヤムクンを食べてお別れしました。

過去の自分はタイ人が盛り上がっているのをみると「そんなトピック(言い方を悪くすればどうでもいい話)で盛り上がっていたの???」と思ったことが多々ありましたが、最近は僕もそういった会話に入って盛り上げています。

一見、無駄な会話で時間を消費しているように見えますが、タイ人の方は職場での人間関係を重視しますので、こういったカジュアルな会話にも注意を払っていく必要があるなと感じています。

2. 仕事を教えるよりも、仕事を見せる。

最近よく感じていることとしては、仕事を口頭で丁寧に教えるよりも、自分が一つの仕事を成し遂げて、その姿を見せる方がより効果があるなと感じています。

これまで口頭で仕事のプロセスや意義などを説明していましたが、最近では仕事を頼む前にまずは自分でやって見せてから任せるようにしています。

これは人によるかもしれませんが、あまりやったことない仕事など、失敗を恐れてなかなか動き出さない人もいます。例え難易度が低い仕事でも、彼らにとっては初めてなので実際にどのように進めるかを目で確かめたいのです。

そのため丁寧に口頭で仕事のプロセスを教えるだけでなく、自分がやって目の前で結果を出すことで、自然と彼らも動き出してくれるようになると思います。

3. 難易度の高い仕事を定期的に振る。

「自分でも成功するかわからない」と思う仕事を任せてみたことがありました。失敗した時のリスクはそこまで大きくはないのですが、チーム全体的に緊張感が伴う仕事です。

例えば、メディア運営であれば、ビジネス界の大物への取材など、そういった機会を作り出し、「失敗したらそれ以降の付き合いはなくなるし悪い噂が広まる。」、「成功すればメディアとしての幅が広がるし、業界からの信頼度が増す。」といった結果が待ってる中で、メンバーに任せたことがあります。

本当は自分がもっと絡んで、なるべく失敗しないようにしたいところですが、そうすると、その仕事を終えた時に充実感がそこまで感じないと思うので、1から任せることにしました。自分ができることとしては、失敗した時のフォローを入念に準備しておき、あとはメンバーに任せるだけです。

その仕事が始まる前、顔がひきつるくらいにメンバーが緊張はしていましたが、その仕事が一通り終わったあとにはかなり充実した感情で満たされているようでした。

その日の夜には、「貴重な機会を作ってくれてありがとう」「この分野の勉強が足りないと思ったから頑張る」と各メンバーの方からわざわざ個別でメッセージもくれました。

自分からすると、任せることはかなり勇気のいる行為ですが、そのリスクをとるだけの効果はあるなと感じています。

先に国民性などは考えない。

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彼らをどうやって鼓舞するか、といったことを考える際に、国民性を先に考えない方が近道だと感じています。

目の前のメンバーがやる気を出すきっかけになるものとは、またその人の心理状況について考えることが大事ではないかと思います。

国民性のせいにしていて、チームビルディングがうまくいったケースなどはみたことがありません。

メディアではよく「〇〇の国では、仕事する時にこういう傾向があって〜」とありますが、それもほんの一部だと思います。それが全てに当てはまると鵜呑みにせず、目の前の事実だけを見るスキルも必要になってくると思います。

「人」に関しては答えがなく、日々アップデートする必要があるので、また気づきがあれば更新していきたいと思います。

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