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株価変動の要素分解について

こんにちは、Figurout の中村です。
HoooldersAnalytics という上場企業の企業価値を分析、モニタリングする経営/IR向けダッシュボードツールを展開しているスタートアップを経営しています!

株価はなぜそのように動いたのか?

上場企業にとって企業価値のベースとなる株価は重要な指標ですが、「株価がなぜそう動いたのか」はとてもむつかしい問題です。
多くの経営者の方やIR担当者の方も、日々Yahooファイナンスや証券会社口座で自社や競合のチャートを見ながら、自社が株式市場からどのような評価を受けているのかを読み取っていますが、「株価」は様々な思惑が入り混じる複雑系ということもあり、変動理由を読み取るのは非常に難易度の高い仕事です。

分からない株価変動があればすぐに証券会社に聴く人もいれば、エクセルで色々とデータを蓄積して独自の判断基準を持っている人、また「短期株価は見ても仕方がない」とあきらめてコントロールができる自社の経営数値に集中すべきだというスタンスをとっている人など、株価に対する向き合い方は様々です。

一方、「経営にとって企業価値は最重要な指標の1つで、その企業価値がもっともダイレクトに表れるのは株価である」ということは紛れもない事実。上場企業の経営者、CFOやIR責任者など「投資家との対話」と通じて企業価値と業務で直接的にかかわる方は、この難易度の高い問題に対してどのようにアプローチしていけばよいのでしょうか?

株価の変動要因を構成要素に因数分解する

Figurout では、「上場企業が株価という指標とどう向き合い、管理していくべきか」と向き合い事業開発をおこなってきました。
まだ、株価の変動理由を評価するための明確な結論は出ていないのですが、株価とどのように向き合うべきかの"型"が少しずつ見えてきたように感じています。

それは、株価の変動理由を評価する上では、
株価に影響を与える①市場要因 ②業界要因 ③個社要因 の3つの変動要素に分解した上で、それぞれの変動理由を評価するべきだ
ということです。

株価変動理由を読み取る思考プロセス

「株価が3% 上昇した」という事象があった際、その変動要因が唯一の原因に帰着することはまずありません。
雇用統計や金利水準を受けてまとめてポジションを修正するファンドや、業界の先行きを読み取りながら投資をするファンド、日々の値動きや板の状況を見ながら取引を行うヘッジファンドや個人投資家など、様々なプレイヤーが様々な理由によって売買に参加しています。
そんな多数のプレイヤーが行動する理由を1つの切り口で読み取ろうとするのが間違いで、まずは自社の株価変動を ①市場全体の値動き ②業界の値動き ③自社独自の値動き の3つに要素分解して、それぞれの原因を要素として探し評価する、ということが有効です。

【ある日のA社の値動きの要素分解例】

株価変動の要素分解例

例えば、自社の株価が+3% 、プライム指数が-1%、業界平均(ベンチマーク平均)の株価平均が+2%だったとすると、市場全体の値動きは-1%、業界独自の値動きは+3%、自社特有の値動きは+1%で、それぞれの変動に対して理由となる要因を見出すことができます。

「変動理由」については、投資のブラックボックスで、「私募ファンドや大口個人が買った」など外からは計り知れない要因が原因であることも多いですが、「自社」「業界」「市場全体」の値動きがどうだったかという"ファクト"を認識することが、出発点です。

実際、上場企業の経営者やバイサイドの経験のあるベテランIR責任者の方などは、Yahooファイナンスで自社と競合、市場指数のチャートを眺めた上で、無意識のうちに頭の中では上記のような処理を感覚的に行っているはずです。

先日公開した IR noteマガジンの検証記事においてもこの考え方に基づき、①市場全体 ②各企業のベンチマーク ③各参画企業 それぞれの平均の指数を出すことで IR note マガジンへ参画することの株価への影響度の評価を行っています

 IRnote マガジンの効果検証記事より引用


HoooldersAnalytics での機能紹介

このような経験に基づき、弊社のHoooldersAnalytics では、下記のような機能を実装しています!

■ベンチマーク企業平均との比較機能
こちらは9月に実装した機能ですが、ウォッチリストに登録している企業の平均チャート(点線)を表示することができます。

ベンチマーク企業平均との比較チャート

■昨日の市場動きを一覧でウォッチするダッシュボード機能

株価は重要指標なので、経営者やCFO、経営企画やIRといった各業務に携わる面々が、各自Yahooファイナンスなどで自社や競合などの株価をウォッチし、頭の中で上記のような要素分解を行っています。
その精度には個人差もありますし、「時価総額」という企業にとって非常に重要な指標が、無料の一般サイトで読み取られエクセルで管理されているというのは、DXが進む昨今においては遅れていると感じます。

今回、Figurout では、そういったサイトで「経営者が行っている情報収集」を一覧性のあるダッシュボード機能をリリースいたします。

ダッシュボード機能

これにより、経営者が頭の中で感覚的に市場の影響度を差し引いたりしているものを、より定量的に判断しながら、データとして蓄積していくことができるようになりました!

トライアルはこちらから
https://lp.hooolders.com/

ダッシュボードの形についても、上記のような「株価の要素分解」をより分かりやすく可視化することができるような形など、まだまだ模索しながら改善していく予定です
「自社ではこういう考え方をしている」とか「こういう見方の方がいいんじゃないか」など、ご意見いただけると嬉しいです^^

今回は「株価"変動"」についてでしたが、より重くて本質的な「企業価値」についてもそのうち書いてみたいと思います!

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