見出し画像

中華SFアンソロ『時のきざはし』より 昼温(ジョウ・ウェン)『沈黙の音節』

 『沈黙の音節』これは面白いです。長編なら第2の『虐殺器官』もあり得たのではと思います。

 可音(コーイン)は子供のころは叔母にかわいがられていました。叔母の死によって心を閉ざしてしまいます。失うことが悲しいから、そもそも親しくならなければ失う悲しみも背負うことはない。そんな可音(コーイン)の考えに深くため息をつきながらも首肯してしまいます。当時13歳であった可音(コーイン)は自分を守るため、叔母との思い出をすべて記憶から消し去り、感情を表に出すこともなくなります。

 可音(コーイン)も大学生になり、彼氏の手助けもあり、次第に過去に向き合う心の準備を整えます。叔母とのふれあいがいかに大切な思い出であったかを思い出します。そして、目を背けていた叔母の死と、その真相に近づいていきます。そこで明らかになる。。。

 読んでいて、非常にわくわくしました。まだ8本も短編が残っている本著。次は一体どんな話なのでしょうか、楽しみです。


▽前回


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?