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【#06】レモン汁で寿司を食う

どうも、コバーニャです。
突然ですが、皆さんは今回のタイトル、
『レモン汁で寿司を食う』を見て、
どんな内容のお話しだと思いましたか。

ミニシアター系のインディペンデント映画のタイトル?
文才のある個性派芸人のエッセイのタイトル?
前衛的すぎていろんな想像力が働きますよね。

それではさっそく答えを見てみましょう↓

---以下、本編---

先日、友人家族とお花見に行ってきました。
といっても、まだ桜は全然咲いていなかったので、
単なるピクニックになってしまったのですが。

下の子がちょっと体調崩してしまっていたので、
奥さんと下の子はお留守番で、長女と僕の2人での参戦です。

最寄駅から電車で数駅、そこからバスで数分のところにある、
比較的有名な桜の名所の公園が舞台です。

電車を降りてバスに乗る前に食料を調達しようと思い、
駅に併設してあるお洒落なスーパーで買い物をしました。

・自分用のお寿司(奥さんがいないので奮発だ!)
・三種の味のおいなりさん
・合鴨のパストラミ
・プチシュー詰め合わせ
・ポテトチップス
・ビール2本

長女と2人でキャッキャしながら買い込んでいたのですが、
お寿司に醤油がついていないことに気づきました。
そう、お醤油は、
併設してあるコーナーからセルフで取るシステムだったのです。

「忘れないようにしなきゃね〜」
なんて娘と話しながら小さな醤油の袋をカゴに入れ、
いざ、レジに向かいました。

レジは最近は当たり前になってきたセルフレジです。
自分で商品のバーコードを読み取っていきます。

セルフレジということは、もちろん袋に入れるのもセルフです。
エコバックを忘れてしまったのでレジ袋も買います。

意気揚々と食料の調達を済ませ、
バスに乗り、公園に向かいます。

少し公園内を彷徨ったあと、無事に友人家族たちと合流。
シートを敷いてさっそくビールの缶を開けます。

しばらく談笑したのち、
小腹が空いてきました。

さあ、お寿司の時間です。
お寿司はシェアしないで1人で食べちゃう。

しかしここで問題が発生しました。
袋の中に醤油がないのです。
あれ〜おかしいな〜怖いな〜。

その習慣、
走馬灯のように先ほど寄ったスーパーの中での出来事が蘇ります。

お、俺は、カゴから醤油の袋を取り出したか?
醤油の袋をレジ袋にちゃんと入れたか?

その瞬間、目の前が真っ暗になりました。

醤油のない寿司。
それはまるで二日酔いで半分死んでいる山岡士郎、
いや、違う。
それはまるでレンズのないライカ。

これは、奥さんがいないことを良いことに、
1人で寿司を食べようとした罰なのでしょうか…。

その時、一緒に買った合鴨のパストラミが目に入りました。
燻製された合鴨の赤身肉の間に、
彩を添えるようにカットレモンが挟まっていたのです。

これだ!
僕の中の海原雄山が叫びました。

雄山は鬼気迫る顔で合鴨のパストラミからレモンを抜き出すと、
寿司に勢いよく絞り始めたのです。

それを見ていた山岡士郎も栗田ゆう子も快楽亭ブラックも
人間国宝で陶芸家の唐山陶人も息を呑みました。

レモン汁がかけられたウニを割り箸で手に取る海原雄山は、
まるで宝物を見るかのようにウットリとそのウニを見つめると、
静かに口の中に運ぶのです。

そしてその瞳から、大粒の涙を流すのでした。

今までは当たり前のようにメーカー側が醤油を同封してくれていました。
今までは当たり前にようにレジの人が
「醤油ついてませんが大丈夫ですか」と声をかけてくれました。
今までは当たり前にようにレジの人が醤油を袋に入れてくれていました。

そんなこんなで、
海原雄山は寿司をレモン汁のみで食うことになったわけです。

こんな展開、タイトルからは予想もつかなかったのではないでしょうか。
つかなかったですよね?
百歩譲って想像ついたとして、
海原雄山の登場までは予想つかなかったでしょ。

肝心の味はどうだったかって?
醤油で食べた方が美味しいに決まってるでしょうが!
せっかくのお寿司が台無しですよ!!
(これに塩があったらまた違ったのかもしれませんが)

以上、おしまい。

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