「語学の天才まで1億光年」を読んだ2023/08/20

ちまちま、ちまちま、英語を学習している。
といっても毎日NHKのラジオを聴くぐらいだが。
話せることに関しての憧れもある。
あちこちの辺境と呼ばれる国に行って、現地の言語に触れている高野秀行さんはどのように言葉と触れ合っているのだろうか?

優れた語学の才能の持ち主といわれる著者だが、本人曰く、そうではないらしい。
もっと耳がよくて記憶力がいい本当の「語学の天才」がいるらしい。
天才でないとするならば、私が考えるに、著者は「語学に対して好奇心の塊」なのでは?と考える。

まず冒頭から、英語の学習方法について「どうやったらラクして覚えられるのか」を突き詰めたあげく、教科書の最初から最後までの動詞の頻出度を調べるという暴挙にでる。
ここからしてもう驚きだ。そして感心するのはもちろんだが、笑える。なんでそっちに行くねーん!
そして、大学一年のインド旅行。そこで起こった出来事にまた度肝を抜かれてしまう。なんでやねーん!語学の才能以外にこの人、「持ってるな」と思わせるエピソードでもある。

とにかく、面白い。
本書は、これまで著者がしてきた世界の辺境のルポを、語学をテーマに振り返る、といった内容だが、語学に関する考察も、学術的な考察と、あちこち旅をしてきた著者ならではの実感があわさって、興味深い内容になっている。
例えば、日本人の言語観とコンゴ人の言語観には納得だし、言語内序列の話にはさらに、納得。
スペイン語についての話は、英語ではなくスペイン語を学習することにしておけばよかったわと思った。
あと言語によって「ノリ」に違いがあるとか、言語に関する考察は、様々な言語に触れあってきた人ならではの実感だと思う。

現地語を学んで、たちまち現地の人気者になってしまうのはさすが。
あと、好奇心が大きすぎて、いろいろなところに飛び込んでいく著者には最初から最後までびっくりだった。
どのエピソードも、普通に生きていると出会えないものばかりで、これこそ本を読むことの醍醐味だと感じる。多分自分が一生行くことのない国を本をとおしてみることができるのだから。
辺境に行った際の話ではない翻訳のアルバイトの話でさえも、とてもエキサイティングであった。
誰でもそうだが、必要がなくなってしまうとたちまちやる気を失ってしまう。だが、そういいつつもこれをやろう!と思った時の著者のパワーは人の何倍あるのだろう。
勉強の際に使用したノートの写真なども掲載されているが、やはりこういったコツコツした勉強は必要なのだと思った。これもパワーのなせる業なのだ。

語学に興味がない人が読んでもとても面白い本書。
きっと言語を通じて、世界に興味が湧いてくるはず。

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