見出し画像

あそどっぐインタビュー6日目 その4 「怒りのホスピタル(修正版)」

■ 2020年3月11日 収録分

あかほし(以下「ほし」): 私、嫌なことがあったときって、怒りが大きいんですよ。
あそどっぐ(以下「あそ」): なるほどね、うん。
ほし: あそさんはそういう時、どうなる?
あそ: う〜〜〜ん。そうだねえ。どうなるんだろうなあ。う〜ん・・・やっぱちょっと距離を置く・・かなあ。うん。
ほし: 知的なアプローチですね。
あそ: 距離を置くのがいちばんだろうね。
ほし: その距離の置き方って、どんな風にするんだろう。相手への言動を変えていくのか、それとも自分の心のなかをパチッと変えちゃうのか?
あそ: どっちかっていうと、夫さんの方に近いのかもしんないね。こう、すこし閉ざすような・・・かんじじゃないかなあ、うん。(「怒りと家族と(前編)」)
ほし: そうかあ。
あそ: うん。でも「これはどうもならん」っていうときは、ま、闘う。
ほし: 闘う。あそさんがいちばん闘ったのっていつなんですか?
あそ: いちばん闘ったのは、もう〇年ぐらい前かなあ。
ほし: へえ〜。
あそ: 病院の先生と闘った・・・ぐらいやね。あとはもう、なんもないな。
ほし: そのとき、何があったかって聞いてもいいですか?
あそ: なんかねあのね、もう急激に・・・ちょっとまってね吸引するから。
ほし: はーい。

あそ: なんかね、日頃の不摂生もたたって急激に障害が進んだときがあったんだよ。〇歳ぐらいだったのだけど。で、息をするのもままならない。
ほし: ええ。
あそ: てかもう、24時間息苦しいのね。
ほし: おお、うん。
あそ: で、病院とりあえず行って診てもらって。で、まああの〜アホい先生で、診察受けてると「コイツは勉強してないな」っていうのが分かって。
ほし: ああ、うんうん。
あそ: でもその先生がなんやかんや言って「入院して検査する」って。で、「何の検査するのか?」って聞いても、なんかしどろもどろであんまり説明できんで。よく分からんまま入院させられて。治療法もなんか、納得いかなくて。

・・・
・・・
・・・

この続きは、あそどっぐとあかほしが話し合った末、ボツになった。
以下は、そのボツを受けて、あそどっぐとあかほしが再収録したものです。

■ 2021年10月27日収録分

ほし: ん。
あそ: もしもし〜。
ほし: あもしもし〜。
あそ: あ、おひさしぶりです〜。
ほし: おひさしぶりです〜。うい、元気っすか?
あそ: まあまあ、まあまあだね(笑)
ほし: (笑) そっか。 
あそ: そっちはどう?
ほし: こっちは・・・

あそ:なんかごめんね連載とめちゃってて。
ほし: あ、いや、ぜんぜん。私がホントの雑誌の記者とかだったらヤバいんだろうけど・・・そこはまったくなんの問題もないので気になさらず。あの〜、この「怒りのホスピタル」編どうしようかねえって、先月お電話したじゃないですか。
あそ: うん。
ほし: あの時しゃべったような話とかも、今日はできたらいいなと思ってます。
あそ: うんうん。
ほし: で、ちょうど先日あそさんがTwitterで「ワガママと切り捨てないで」とシェアしてたニュース記事・・・(2021年10月15日に「筋ジス病棟の未来を考えるプロジェクト」が筋ジス病棟の実態を調査、公表したことを受け、あそどっぐは「介助を受ける側から声をあげるのは、凄く勇気のいったことだと思う」とコメントしている)
あそ: そうだね、まさにあれと被るよね。
ほし: ね、被るよね。
あそ: うんうん。でもああいう人たちが出てきてよかったなって思うな。訴えをするっていうかあの・・・問題提起をするっていう。ありがたいね。
ほし: ねえ。うん。あの記事読み直そうと思ったら消えちゃったね。
あそ: なんかねえ、あの〜〜批判的なコメントとか、コメント欄が荒れたら、AIが自動で削除するシステムになってるっぽいんだわ。
ほし: あ〜そうなの!?
あそ: うん、コメント欄が荒れてたから・・・
ほし: 「記事のコメント欄を読んで悲しくなった」って書いてたね、あそさんも。
あそ: うん。でもまあ消しちゃったんじゃないかな?何日か前に、同じ文章で新しいのが出てたけど・・・たまたま見つけたんだけど、やっぱコメント欄はまた荒れてたね。(←じっさいの記事とは別ですが、この記事で当時の概要は分かります)
ほし: あ〜そうなんや。ね、すごいかぶるよね、「怒りのホスピタル」編と。
あそ: うん、まさに、すごい。
ほし: う〜ん・・・
あそ: う〜ん・・・

ほし: あれですよね、時期とか、場所とかが分かると・・・
あそ: そうだよね、いろいろ困る人も出てくるだろうし。
ほし: そうっすよね。病院・・・あ、「病院」って言っちゃいけないのか? どこからNGなのか分からなくなってくる(笑)
あそ: そうだね、ややこしいよなあ、これなあ。うん。
ほし: なあ。
あそ: そうなんだよねえ。

ほし: その〜、今回あそさんが「怒りのホスピタル」編を載せるのがむずかしいと判断した・・・そこでどんなことを考えたかっていうのを、ピーが入らない感じでしゃべってもらっていいですか?
あそ: まずは・・・関わった病院の人とか、関わった人たち、病院含め、それ以外の人とかも、関わってる人たちの迷惑になるのはやだなあっていうのがひとつ。あともういっこは、あの〜これを出すことによって、嫌な気分になる人と・・・楽しい気持ちというか、そういうなんか、肯定的な気持ちになる人がどれぐらいいるかなって考えたときに、「つらい」とか「やだな」って思う人の方が多い・・・だろうなっていう風には思ったよね。とくに、何かをした人じゃない・・・たとえば病院に居ざるを得ない人、いま何をどうやっても現状を変えられそうにない人が見て「おれたちのかわりにやってくれたぜ」みたいな、そういうスッキリなるかんじでもないなって思って。うん。で、ちょっと、もうすこし、文章を考えてもらえたらうれしいなって思ったのかな。うん。
ほし: そっかあ。じゃああれですね・・・非現実的な話だけど、「怒りのホスピタル」編を無修正で出したとしたとき、あそさんとトラブルがあったその人だけに届くんであれば、それはきっとアリだって、思うんですよね。
あそ: そうだね。その人ならべつにね、イヤな気持ちになるのは、ぜんぜん・・・かまわんけど。
ほし: (笑)
あそ: 関係していない人も、なんかあんまり気持ちのいい感じにならないんじゃないかなあ、あれ。っていうのが正直なところかなあ。
ほし: その〜、あそさんと似たトラブルの渦中にある人が無修正版の「怒りのホスピタル」編を読んでどう思うかな?というのはどんな風に思いますか。
あそ: そうなんだよね、そこなんだよね。それも・・・やっぱりあんまし、スッキリしないんじゃないかなっていう風には思ったね。僕と同じ立場の人が読んで、痛快になったり「そうだそうだよくやった!」っていうかんじでもないなっていうか・・・こう、思いっきり闘ってるかんじでもないから。
ほし: まあね、うん。
あそ: 何か世の中が変わりそうなあれでもない。「ああ、そういうことがあったんだな」っていうので。だから同じ境遇の人も、そんなにスッキリはしない・・・って考えると、これを読んで、う〜ん・・・だれがしあわせになるかな?っていうのがあるかな。それで、ぼくの場合はすこし待ってもらいたいってことだったかな。やっぱり芸人やってるから・・・うん、まあこれはもうあまねさん(=あかほし)の作品だからぼくとは関係のないものかもしれないけど、一応原稿チェックもさせてもらってるから、やっぱ芸人やってる以上は、自分が関わったものでは、だれかしらがなんかハッピーになってもらいたいなとは思う・・・けどね。
ほし: そっかあ。
あそ: うん。

ほし: わたしがひとつ思ったのはね、その、あそさんと同じ状況に立たされた時に「あ!こういうふうにアクションする世界があるんだな」っていうのが、届く人には届くと、なんかよかったりすんのかなとは少し思いましたね。
あそ: うんうん。そっか、そうだなあ。
ほし: けっこう・・・その、ウッと身動きがとれなくなる人のほうが、きっと多いと思うので。
あそ: そうだね、泣き寝入りというかね。言われるがままっていうのは・・・多いかもしれないね。ああそうだなあ。うんうん。
ほし: と、あとはまあ、その・・・なんだろう。あそさんはその状況で、モノ申すのも実際むずかしかったところを、ブっちぎったと思うんですけど、その〜「むずかしかった」っていうこと自体も言えない。そういうところでもまた、苦しんでる人もいるんだろうなと思ったんですよね。で、そこであそさんが「こういうことがあった」って言うと、すこし、その・・・なんだろう。閉ざされたとびらというか・・・
あそ: なるほどね。
ほし: 「無難に閉じておこう」という判断で積もり積もったかなしみのようなものが、ひらかれて、風通しがよくなるかなっていうところが、すこし惜しくはあったけど・・・まああそさんは芸人だからな。強制はできない。
あそ: そうだなあ。そういうかんじだったらまあ・・・ちょっと変えればアリっちゃありだったのかもしんないね。今回の文章はね、そうだなあ。
ほし: そうねえ。う〜ん。ただ、あれですよね「病院が特定されてしまうと・・・」っていう話がね。
あそ: そうだね、関わってくれた人が・・・うん。あんまり人が特定されるようなかんじだと、よくはないかなあと思うね。
ほし: ねえ。あそさんが現在進行形で関わっている人も、含まれるもんね。
あそ: なかなかね、むずかしいよね。
ほし: ね。

ほし: あそさんが「僕より上の世代はもっと苦労してた」って言ってたけど、今の状況に輪をかけて大変な中で、さらにこういう問題があるにもかかわらず・・・言えなかったのだろうか・・・どうなんすかね、そこのところ。聞いたことある?
あそ: そうだねえ、う〜〜〜ん。病院とのトラブルっていう・・・う〜んそうだねえ。なんていうかなあ・・・うんやっぱり昔からまあ、あることではあるよね。うん。そうやねえ。今やっと、病院以外の場所でも暮らすっていう選択肢ができはじめたところだから、う〜ん・・・・・・そもそもそういう問題に気づけないというか・・・?というのはあるのかなあ。
ほし: ああ〜。
あそ: うん。「それしかない」。そういう状況は、長い時間あったんじゃないかと思うね。だから問題だっていうのに気づく間もなく、もう、一択。はじめから選択肢がひとつだったっていう、時代は長かったんやないかなと思うね。
ほし: じゃあ、あそさんは端境期ぐらい?
あそ: そうだと思うね、うんうん。でも現状としてはまだ、あの〜なんていうかなあ、自分の生きる場所を選べない状況にある人はたくさんいると思う、ね。
ほし:そうかあ。
あそ: うん。

ほし: ちょっと話がもどるけど、まわりの人に話とかしたんですか?親とか。
あそ: 周りの人。まあでも僕の人生だからね。う〜んそんなに、うちの親はぼくが決めたことに反対するっていうのは大人になってからはほとんどない、ね。
ほし: こういうことがあったって話はした?
あそ: あ〜じっさいにまああの〜、病院にもいっしょに行ったし。
ほし: あ!一緒にいたんだ。
あそ: 一緒にいたね。
ほし: あ〜そうだったのか。
あそ: ・・・で、そのあと、行く病院がなくて、1ヶ月半ぐらい息も絶え絶えで、っていうときは実家にいたね。
ほし: そうだったんだ。
あそ: だから、親にはけっこう迷惑かけたね。
ほし: 当時なんて言ってたんですか?ご両親は。
あそ: うん、親もなんか病院側には怒ってたよ。うん・・・ぼくとおなじ気持ちだったんじゃないか、とは思うね。
ほし: そうかそうか。でもそんなに「あれはねえよなあ」っていう話とかはなかったんだ?
あそ: いややっぱ怒ってたよ。親も怒ってたね、たぶん、うん。
ほし: そっかあ。じゃあその〜、あのかっこいいおじさんに相談したりはしたの?
あそ: かっこいいおじさん?
ほし: あの熊本の・・・(「あそどっぐがリスペクトする、おっちゃん」)
あそ: あ〜・・・とはしゃべってないかなあ。
ほし: あ〜そうなんや。
あそ: そうだねえ、うん。
ほし: そうかそうか。じゃあもう周りに相談とかはせず、あそさんとご両親でその状況を・・・
あそ: そうだね。

ほし: あそさんがね、Twitterでもあのニュースを紹介してたけど「命がけの訴え」だからっていう話をしてたじゃないですか。
あそ: うんうんうんうん。
ほし: あそさんが闘ったときも、まあそれこそ命がけだよなあれな。
あそ: そうだね、自分は完全に命がけだよね。うんうん。
ほし: その時とダブったかんじ?あのニュースをみて。
あそ: うん、まさにかぶったね。
ほし: そうかそうか。
あそ: 現状としてあの、障害が重い人をみてくれる病院っていうのは、今ものすごく少ないんだよね。
ほし: そうなんだ。
あそ: そうそうそう。だから、彼らも今いる病院追い出されたらみてくれる先がみつかるかっていうと、そうじゃない状況だと思うし。
ほし: ああ。
あそ: で、かといって病院からはなれてひとり暮らしをするのがいいって言っても社会に受け入れ体制がないから、そういう、地域で暮らすっていうのもむずかしい状況だし。どこにも行き場はない状況での、必死の訴えなんだと思うね。だから僕の時とかぶったね。それでまあ、Twitterに載せるのはだいぶ悩んだのよ。長いこと。記事を読んでから。
ほし: うんうん。
あそ: あの〜芸人の、ね。くだらないことをのせるためのTwitterだから。
ほし: (笑)そうですね。
あそ: うん(笑)で、ああいうくだらないのをのせるやつだから、そこにね、ちゃんとしたのをのせるのはどうかなって考えたんだけど、どうしてもね。いろんな人に知ってもらいたかったし・・・のせたんかな。うん、なんか応援・・・応援って言うあれじゃないね。たぶん自分自身のこととしてのせた。
ほし: そうかあ。
あそ: だからまあ、現状として障害の重い人たちがいる場が、まだまだ世の中にないっていうのが根本的な問題だよね。
ほし: あ〜そうか。あれか。その〜、身体が動きにくいと、きっとなにかと働きにくいんだろうと想像しますが・・・お金が少ない人が多いのかなって思ったんですけど、そうなると医者の方も「儲からないからやらない」って人がいたりするんですかね?
あそ: あ〜、そうね。まあでも先生は、健康保険やらなんやかんやがあるから・・・そこらへんはそんなあれ〜おおきな問題じゃないと思うかな。お金の面的なことはね。
ほし: ・・・なんで広がらないんかな?
あそ: やっぱり「人ごと」なんだと思う。
ほし: ああそう。
あそ: 自分とは関係ないことだからね。大多数の人にとっては。
ほし: うん。
あそ: だから「まあなんとか、死なない程度にいさせれば、いいんじゃないの?」っていうかんじなんだと思うわ。
ほし: あ〜・・・・
あそ: でまあ、世の中っていうのは多数決だから。患者の・・・そのなかでも数の少ない重い障害の人の言葉と、お医者さんたちの言葉では政治に対する発言力もちがうだろうし。
ほし: う〜ん。
あそ: うん。
ほし: へえ〜〜〜、そうかあ。
あそ: うん。で、まあ今回こういう映像があるっていうのを調査して、公にこうやって訴えるっていうことは、知ってもらうっていう意味で、すごくいいよね。今回、ワガママだっていうふうに世の中はとらえがちだったから、そうじゃないんだよっていうのと、いっしょに訴えれたらいいのかなあ。うん。
ほし: そう、かあ〜。
あそ: なかなかねえ、むずかしい。
ほし: むずかしいねえ。そっかあ。
あそ: うん。

ほし: その時はあれか?まだ芸人になる前だから・・・「世に知らしめてやる!」とは思わなかった?
あそ: そうだね(笑)世に知らしめてやるとも思わなかったなあ。だから今回のあの記事読んで・・・こういうやり方で変わっていくのがいちばんいいよね。ちゃんと世間を巻き込んで考えてもらうっていうので、問題提起するっていうことになってたから。これはとても・・・こういうやり方がいちばんいい。うん。だからね、いっしょに病院とね・・・現場の看護師さんたちもまあすごくたいへんなんだわ、人手がなくて。患者の人たちもそれわかってると思うから。お互いがしあわせにこう、楽しい状況になれるように・・・お互いにとってメリットのあることだから。こういうふうに訴えていくっていうことがね。
ほし: ホントそうだよね。ハタケは違うけど、子育て界隈。保育園に子供が入れないってことで親同士でギスギスしたりとかって、どうやらあるみたいなんだけど。でもそこって親が結託して、偉いおじさんたちに怒るべき話であって・・・
あそ: うん、そうなんだよね。
ほし: 親同士で脚引っ張り合ってる場合じゃないんじゃないのっていう。
あそ: そうなんだよね、目指してるところはおなじところなはずだからね、うん。
ほし: なんか、ひじょうに、今の話はよくわかりますね。そうかあ。へえ〜・・・なんだ、あそさんが総理大臣になればいいのかな?
あそ: (笑)ロクな国にはならんと思うわ。自分自体けっこう・・・ワイロはいっぱいもらうよね。
ほし: (笑)まだ、地球にさ、めっちゃ障害が重い人が大統領っていう前例はない・・・よね?
あそ: うん、聞いたことはないなあ。
ほし: あ、そうなんだ。どんなんなるんだろうね?
あそ: どんなんなるんだろうなあ。
ほし: ずいぶん変わりそうな気もするけど。
あそ: うん、まあ僕はよしたほうがいいよね。
ほし: (笑)そうかなあ。でもさっきの、患者さんと看護師さんが同じ方向みてよくなるほうに動けばっていう視点って、あそどっぐ大統領よい視点だと思うんだけど。
あそ: まあでも患者さん側はみんなそう思ってるんだと思うよ。患者さんたちはね。うん。
ほし: そっかあ。いや〜・・・なかなかね、そこで、さ。なんだろう。「雑にあつかう看護師さんは敵」とか「こんなにいっぱいいる患者が敵」っていうところでストップしちゃうと、エラいおじさんたちの目論見どおりというか。
あそ: そうだね、うんうん。
ほし: 「下々の者がケンカしておる」っていう・・・
あそ: (笑)
ほし: 「黒幕である俺のところに被害はない。チョロいぜ、はっはっはっ」っていう・・・悔しくてしょうがないわ。まあだからといって政治家になりたいとは思わない。なれないし。いや〜。どうなんだろうね。

ほし: その〜・・・「怒りのホスピタル」編を、無修正でネットに投げ込むと、燃えると思うんだけど。炎上すると思うんだけど。なんかこう・・・炎上しないかたちで、ああいう、秘められちゃったものをリリースする方法ってなんかないのかしらって思って。
あそ: そうだよね、むずかしいよね。
ほし: 過激な話題であればあるほど、どっちがいいとかどっちがわるいとか、なんとか。「コイツを悪者にしよう!」とかいうことになりがちなんだけど・・・
あそ: うん。
ほし: そうじゃねんだよな。
あそ: うん、そうじゃないんだよね。言いたいことはね。
ほし: ね。なんだろうなあ・・・どうしたらいいんだろうね(笑)
あそ: (笑) むずかしいね、これね。どういう風に書けばいいかね・・・むずかしいよなあ。
ほし: 仮に私がね、あそさんが載せないでくれって言ってるのにさ、勝手にあげてさ。あそさんとトラブルがあった人物が特定されて、その人がめちゃくちゃネットリンチにあって自殺したらいいなとか、まったく思ってないんですよ。
あそ:うんうん。
ほし: ・・・ね。
あそ: そうだよねえ。
ほし: あそさんと関わった時のその人と、今のその人がおんなじ性格というか・・・おんなじ状態であるかも分からないしね。
あそ: そうだね。今ね、どんなかんじかも分かんないしね。
ほし: だから振り返ってみて、あそさん視点からはこうだけど・・・「今のあなたはこれ読んでみてどう思う?」っていうのが、わたしは聞いてみたいのだけど、ホントはね。
あそ: うん、そうだね。
ほし: で、お互いねえ「実はこう思うのよ」っていうのを言って・・・
あそ: うん。
ほし: それをみんなが見てて、う〜んって考えればいんじゃないかと思うけどね。
あそ: うん、そうやねえ。まあでもいま思うと、その〜・・・イジワルしたお医者さんは、もちろん好きにはなれんのやけど、ね。でもさっき言ったように、あの〜重い障害もってると、診てもらえる病院があんまりないっていう、現状はずっと変わんない。その現状がさせた行動なんだろうね。てかその、その人個人がわるいっていうよりかは、もう全体の仕組みのなかでまあ・・・そういう人がうまれてきた・・・
ほし: うん、うん。
あそ: ってことなんだと思う、ね。うん。
ほし: そうだよね。実際その人がいなくなったあとも・・・
あそ: そう、変わってないわけだから。
ほし: 残像のように。
あそ: うん。
ほし: そうだよなあ。
あそ: で、まあその医者がぼくに言った「どうせウチでしか診るところないんだから、ワガママ言っちゃこまるよ」っていうのは、現状から言うと・・・正しいこと、なんだよね。間違ってはない。じっさい診てくれるところはないわけだから。
ほし: うん、うん。
あそ: だから、世の中の仕組みが変わるとうれしいなって思うね。うん。だからすごく、こないだの記事みたときはなんかすごい・・・ちょっと明るい兆しが見えたようなかんじがしたね。
ほし: そうかそうか・・・うん。なんか〜・・・なあ。
あそ: うん、なんだろうね。どう文章にしたらいいんだろうね。

ほし: でもなんかその〜なんだろう、こう、その人個人がっていうんじゃなくって・・・状況ありきのその人の態度だったり、言葉だったりって言うのは、まあ、そのとおりだなって思って。
あそ: うん。
ほし: おたがいがそこのなんだろうね、相手がそう言わざるを得ない状況?
あそ: うん。
ほし: ・・・を見れたらよかったのかもね。お医者さんのほうも、あそさんがその〜、まあ訴えをしたわけじゃないですか。その訴えをせざるを得ないバックグラウンドも見れたらよかったのかもね。
あそ: うん、そうだね。
ほし: まあ結果として、どうするかっていうところが変わらなかったとしても、そこの〜・・・ねえ。だってお医者さんのほうは自分から見た、あらゆる状況をひっくるめた言葉をぶつけてるわけだから。そうやって一方の事情だけ受け取れ、お前の事情はしったこっちゃないけどな、っちゅうのはなかなかキツい話ですよね。
あそ: まあそうだね。
ほし: わかって言ってんのかなあ?
あそ: ううん?どうなんだろうなあ・・・うん、分かって言ってるんだろうね。
ほし: あ〜「この状況だから言わなあかん」ていう?
あそ: う〜ん、どうなんだろうね。
ほし: 微妙な線ですよね。なんともなあ。なんだろう。まあ、お互いに、ね、状況というか・・・そう言わざるを得ない理由があるわけじゃないですか。
あそ: うん。
ほし: それをなんでおんなじまな板にのせられないのかっていうね。
あそ: そうだねえ。なかなかねえ。
ほし: だから片方の理由だけが勝つって言うのは、ちょっとね。う〜ん・・・
あそ: そうだねえ、なかなかね、そうならないんだろうな。
ほし: だからその、お互いのね、事情をさあ、1回おんなじ台にのっけて。で、それを2人でながめて「まあ、現状見るとこっちかな」っていうのを2人で決められたら・・・
あそ: まあそうね、そういうかんじな世の中だったらね、もっとね。問題もおきないんだろうけどね(笑)
ほし: (笑)
あそ: そうではないんだよね。
ほし:お互いの事情をおなじ土俵にのっける前に、物事がすでに決まってしまっているってことがすんごい多い感じがして・・・
あそ: まあね。こちらは立場上どうしても弱い立場にあるからね。むこうは「診てやってんだ」っていう立場ではあるだろうから、同じ土俵にのりましょうっていうと、なかなか現状はむずかしいんだろうね。
ほし: ヤだなあ。
あそ: (笑)
ほし: いやその、なに、あそさんとトラブった先生がさ、もうほんとう〜に阿曽太一という人間の全人格がきらいきらいで・・・とかならまだ分かるんだけど(笑)
あそ: (笑)
ほし: まあそれはそれでどうかと思うけど(笑) でも、きっとべつにそういうんじゃないじゃん。
あそ: うん、たぶんね。
ほし: だから、なんかなあ〜と思って。う〜〜〜ん、なあ。どうしたらいいんだろうね。そこって法律では守れないのか?
あそ: う〜ん、そうだねえ。う〜ん。

ほし: 伊藤詩織さんっているじゃないですか。
あそ: ああ、はいはい。
ほし: 彼女の『Black Box』っていう本を読んだんですけど、強姦の条件が・・・1つは性交があったか。2つめが合意があったかっていうところが、裁判の争点になるらしいんですけど。
あそ: うん。
ほし: その〜合意があったかっていうことを、第三者にどう証明するのかっていうところがめちゃくちゃむずかしいらしくて。
あそ: うん、そうだよね。
ほし: こぼれ落ちるんでしょうね・・・法律からも、そういうものって。
あそ: そうだねえ。
ほし: いやあ〜・・・。どうしたらいいんだろうね?なんかAIがあいだに入ってくれりゃいいのかな?さっきの、炎上したら削除するのとおんなじように。
あそ: ねえ、どうなんだろうねえ。
ほし: AIが医者と患者が会話してるのを聞いてて「これ合意とれてないっすよね?」って言って・・・
あそ: (笑)
ほし: 待ったが入るみたいな。
あそ: そやねえ。
ほし: なんか・・・究極その、なんかその〜、どんな場面でも合意があったかどうかっていうのって当事者でさえ・・・
あそ: なかなかね、むずかしいよね。
ほし: そう。究極、説明はできないじゃないですか。
あそ: ね、お互いの感情というか・・・なにかの問題だからね。
ほし: でもたしかに、生きていて「あ、これはお互いに一致したな」っていう瞬間もあるじゃないですか。
あそ: うんうんうん。
ほし: お笑いなんてその、目に見えない合意の最たるものだと思うけど・・・あるにはあるんですよね。
あそ: でも客観的に見てね・・・。あの〜なんていうかなあ、法律っていうかまあ、罰則もないゆるい法律なんだけど「障害を理由に障害のない人と違う扱いをしてはいけない」っていう内容の法律があるんだけど。
ほし: へえ〜。
あそ: 「障害者差別解消法」っていうのがあって、障害を理由に障害のない人とちがう扱いをしないようにしようっていう、まあ当然のこと・・・だと思うんだけど、そう考えると、現状、病院を選べないっていうのはそれはもう障害者・・・だからだよね。それはやっぱし世の中の仕組みはおかしいんだろうな。まあそう言っても数ないからしゃーないやんとはなるんだけど、うん。
ほし: う〜ん・・・へえ〜・・・それなんか「サラリーマン寝夫」みたいなかんじじゃないけどさ(注1:文末参照)。
あそ: うん。
ほし: あそさんがさ、その、なんかオシッコするのに、だれかが助けたらさ、それもその法律違反になるのかな?
あそ: ん?なにが・・・
ほし: 障害あるからって扱いを変えるのがダメっていう法律があるって話だったじゃないですか?(編注:「サラリーマン寝夫」の舞台は、「人類みな平等」が実現された近未来の世界。寝夫は北極への転勤を言い渡されてしどろもどろに”平等”を覆そうとする)
あそ: ああなるほどなるほど、うんうんうん。
ほし: 「障害者差別解消法」をわざと曲解すると、介護は全員法律違反になってしまう・・・?
あそ: でも、障害なくてもおしっこしたくても何かしらの事情でオシッコできない人がいたら、ぼく、たすけるよ。
ほし: (笑)
あそ: (笑)オシッコするのたいへんだもん。
ほし: そうだね(笑)なんか頭が混乱してきたなあ。
あそ: 難しい問題だよね。
ほし: いろいろむずかしいな。

あそ: う〜〜〜ん・・・ま、今回の話をどうまとめるかというと、要点としては・・・重い障害をもってると診てくれる病院が少ないっていうのが1点。と、そのために「ウチしか診てやるところはないんだから」っていう、なんか、若干パワハラだよねこれは・・・的な発言を受けて、ぼくはブチ切れて、病院を出て行ったと。
ほし: (笑)
あそ: で、死にそうになったと。
ほし: うん・・・(笑)
あそ: っていう・・・のは、まあ事実だし、その2点は書いてもらっても問題はないよね、たぶんね。
ほし: すんっ・・・ごいダイジェスト(笑)
あそ: 時期さえ書かなければね。
ほし: そうだね、うん。ダイジェストすぎる・・・(笑)
あそ: かなりのダイジェスト。納得いく治療法の説明をされず、高圧的な態度を取られたので、ブチ切れて、出て行ったと。
ほし: (笑)
あそ: 後先顧みず出て行って、死にかけましたよっていう(笑)
ほし: (笑)
あそ: うん、っていうことになるのかなあ。
ほし: そやなあ。
あそ: どうなんだろうね、分からないよね。
ほし: これで通じるんだろうか(笑)・・・もうあとは今日われわれが話した内容からみなさまで想像していただくしかないですね。
あそ: どの程度つたわるのか分かんないけど(笑)
ほし: ん〜・・・あそさんが、その〜タイムスリップして、その、バトルする時のじぶんにまた同じことやれって言う?
あそ: あ、やっぱ言うよね。やっぱ自分のあの、人としての人格っていうか・・・人でありたいよね、やっぱね。そこのプライドを捨てるぐらいなら、あの〜死んだ方がいいかもなあ。うん。
ほし: それ、あそさんのご両親も肝すわってますよね。その〜・・・「死んじゃうから病院戻れ」とは言わなかったわけでしょ?
あそ: そうだね、うん。この先も、そういう状況になったら治療を受けずに家に戻ってくるつもり。
ほし: そっか。
あそ: なんかね、あの〜「やってやってんだぞ」的な態度を取られてまでは生きたくはないよね。
ほし: うん、うん、うん。いや〜・・・すげえなあ。う〜ん、OK、振り返り編はいったんここでカット入れます。

注1:日本一おもしろい障害者パフォーマーを決める「SHOW-1グランプリ」で披露したあそどっぐのネタ。舞台は近未来。世のバリアフリー化も進み、サラリーマン寝夫は北極への転勤を決意するが・・・?「あそどっぐ、はじめてのバリバラ

追記:2021年10月26日、一連の騒動を受けて「筋ジス病棟の未来を考えるプロジェクト」が公表したnoteはこちら→ 「この度の報道に関して、筋ジス病棟に入院中の皆様へ

次回、「ネタの話

あそどっぐ
1978年佐賀県生まれ。熊本在住。お笑い芸人。
あかほしあまね
1991年東京都生まれ。『コバガジン』のライター。


前回の記事はこちら 「怒りと家族と(後編)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?