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不用品回収業者だけを悪者にすれば万事解決なのか?

不用品回収業者によるトラブルに関する記事です。
この記事にあるような事例は言語道断であり、非難されてしかるべきです。
ただし、どのような業界にも一部の悪徳業者がいるように、このような業者の事例もまた一部のものであり、多くの不用品回収業者が誠実に事業を営んでいるのも事実です。
(適法性の議論もありますが、ここで書くと長くなり本稿の趣旨とずれてしまいますので、また別の機会とさせて頂きます。)
とはいえ、業界内でこのような事例が発生してしまったことについては、一般社団法人日本リユース・リサイクル回収事業者組合(JRRC)という業界団体の代表を務める者として事実をしっかり受け止め、このようなことが起こることがないよう引き続きコンプライアンスの徹底を啓蒙して参ります。
(※この記事の業者とJRRCとは一切関係はございません)

この記事の中で興味深い点は、通常の記事であれば不用品回収業者だけを悪者にして注意喚起を促すのみに留まるところ、現行の制度や規制の問題点にまで踏み込んでいるところです。

同法(※廃棄物処理法)によると、家庭から出る不用品や遺品は「家庭系一般廃棄物」とされ、市区町村の職員か、自治体から許可や委託を受けた民間業者しか回収できない。ところが、指定された場所までは各利用者が自力で運ばなければならず、業者が自治体の許可を得られるケースも少ないことから、非力な高齢者を中心に、室内から運搬してくれる無許可業者のニーズが増加したとみられる。
※()内筆者注

元東京都職員で、不用品や産業廃棄物に関するコンサルタント業務を手掛ける北村亨さんは「マンションの上階に住んでいるおばあさんはどうやって不用品を捨てればいいのか」と、現行法は社会の実態に適応できていないと指摘。「国は規制緩和を進め、真面目な業者は参入できる環境を整えるべきだ」と話した。

今後ますます高齢化が進展していくわが国にとって、これは非常に大きな問題です。
現状の課題と現行の制度の間に歪みが生じ、そのしわ寄せがお年寄りなどの社会的弱者に来てしまっている格好です。
お年寄りにとっては不便この上なしです。
知ってか知らずか、違法と言われる業者に頼むのも致し方ないことです。
その結果として、悪徳業者による被害を受けてしまうという悪循環にはまってしまうのです。

この記事で北村享氏が提言されているように、規制緩和を行い真面目な業者によってこのような課題を解決できる仕組みを作るべきです。
なお、規制緩和といっても、誰でも彼でも自由に参入できるべきではなく、緩和部分はあくまで例外的かつ限定的なものとして、参入できる業者も厳選する、というのが望ましいと思います。
これだけで十分に課題解決に向けて前進できると思います。

#日経COMEMO #NIKKEI

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